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民間企業を経験した教員として意識したこと・活かせたこと【進路指導編】

今回は、進路指導編です。


学歴について

 高校の進路指導で一般的に求められること。それは進学実績ではないでしょうか。高校は進学実績をつくることに必死で、本当にその生徒の希望や将来のためになっているのか?とても疑問でした。

 前職(商社)での話。同期が50名ほどいました。みな大卒・大学院卒ですが、旧帝大、国公立、私立いろいろいて、出身学部もばらばらでした。そして会社の上司、先輩、後輩もいろいろなバックグラウンドをもっていました。学歴と仕事ぶりや業績の関係性、相関性は全くありませんでした。感じたことは、積極性、コミュニケーションスキル、マナー、そしてその仕事が好きかどうか、だったように思います。

 なので、旧帝大や国公立、難関私立大学に何人進学したとか、そういうことではなくて、生徒本人がこの大学でこれを学びたい!という思いが何より大切だと思います。(進学実績は高校を希望する中学生の数に影響するため、わからないでもないですが、それならば進学してその生徒がどうなったのか、まで追跡した情報開示もあると良いと思います。

 私は地方で教員をやっていましたので、特にその傾向は強く、何ならどの高校の出身だったか、が大きなステータスになっています。私も高校は地方のいわゆる有名な進学校出身ですが、前職(東京)ではそんなものは何の意味ももちませんでした。

 その人の価値は、どの大学(高校)を出たか、ではなくて「何をしてきたのか」「何ができるのか」「これから何がしたいのか」なのだと実感しました。

高校生活で大切なこと

 したがって、高校生のうちから自分がどんなことをしたいのか、興味のあることを見つけてどんどんやっていくことが大切だと思います。なかなか目標や興味関心がないことも多い(というかほとんど)ですが、知識や経験を広げる、社会を知ることが第一歩だと思います。

 高校教員をやっていて違和感を感じたことは、「苦手な教科を特に勉強して、点を取れるようにしなさい。」「良い大学に進学したり良い企業に就職するために、我慢して勉強しなさい。」といった教育です。

 苦手教科を克服したところで、特に目立った特徴のない人になるだけで、これといった魅力のない人になるだけです。自分の「得意・好き・興味」をどんどん伸ばすことこそ、魅力的な人になり自分が輝ける仕事につけると思います。(もちろん、そのプロセスにおいて苦手なことを克服する必要もあるわけですが。)そして、「勉強は我慢してやるもの」という感覚がそもそも違っていて、勉強そのものが楽しいと思えるようにすることが教育者として必要なのだと考えます。

 最近は、探究学習やアントレプレナーシップ教育など自分の興味関心に基づいた学習が重要視されるようになってきていて、とても良い傾向だと思っています。

就職指導について

 少し話は変わりますが、私は高校で進路指導部に所属し、進路指導に携わってきました。生徒の進学や就職の相談、進学・就職の手続き、履歴書など応募書類の添削、面接練習、また大学や企業担当者との窓口として業務にあたってきました。

 就職メインの高校だったこともあり、企業担当者との関わりが強かったです。私は企業での経験があり、客先折衝の業務も頻繁に行っていたことからこの仕事には自信をもってストレスなく取り組むことができました

 進路指導をしていて嬉しかったエピソードを紹介します。
高校生の就職に関して、高校と企業をつなげるため、高校教員と企業担当者との情報交換会が年に何度か開催されます。

その際、とある企業の方から、
「失礼ですが、ずっと先生をやられていますか?」
と聞かれ、
「いえ、実は新卒から4年間は会社勤めをしていました。」
と答えたら、
「やっぱりそうでしたか。これまでお話ししてきた教員の方と違ったので。」
と言われました。

 どの発言に対してなのか、それとも全体的な話をふまえてそう感じられたのかわかりませんが、違ったみたいです。が、民間企業での経験が活きているようで嬉しく思いました。

 民間企業を経験されて、教員になられた方あるいは教員を目指す方は、意識しなくても、違った視点や違った感覚で教育に携われると思いますし、組織において重宝されると思います。

民間企業での働き方を知っている

 民間企業を経験された方は、民間への就職活動の経験、そして民間企業で働くイメージがあります。また、自分がいた業界のことをよく知っています。生徒の進路相談に対して、さまざまな選択肢を提示することができます。これは結構大きいと思います。

 一つの例を紹介すると、進路に悩んでいる生徒に教員や公務員を進めがちな傾向があったりします(私がいた高校だけかもしれませんが・・・)。いろいろな選択肢がある中で、その生徒の適性などを見極めて勧めるなら良いのですが、どう見てもその生徒には違うでしょう、といったことが発生してしまっていました。

まとめ

 民間企業での働き方を経験していることは、生徒に会社で働くイメージをもたせたり、「社会に出たら~」の説得力が格段に上がります。生徒からも興味津々で質問されます。また、勉強する意味についても違った視点で伝えられることがあるのではないかと思います。企業での経験がある方は、その経験をどんどん生徒に伝えてもらいたいと思います。

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