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ハンサムじゃないとダメですか? ──かたすみの女性史

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歴史ドラマの主人公が女性なのは、もちろんうれしいけれど、 エンターティメントの悲しさ、ドラマの女主人公は、みな有能で勇ましく、美人で自信満々の“勝者”です。 来年のNHK大河ドラ… もっと読む
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#草いきれ

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その9)

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その9)

壺井栄をナメるなよ !(その9) 栗林佐知→(その8)からつづき

■ 泥沼の「草いきれ」論争

 じっさい、徳永直の作品「草いきれ」は語るに落ちる。
 子持ちの独身男がどんなに大変かは身に迫る。しかし、

《経済力が同じなら男やもめは女やもめよりはるかにみじめである》p39

 という見解はいかがなものか。そんな母子家庭が何軒あるというのか。
 それに、自分の靴下を繕い、きんぴらをつくるのは、

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かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その8)

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その8)

壺井栄をナメるなよ !(その8) 栗林佐知
←(その7)からつづき

■ 「草いきれ」

 先ほど、「妻の座」についてたくさんの論評がでたのが、“少し後のことだ”と言ったが、この“少し後”のことについて話そう。
 壺井栄の「妻の座」の連載終了・出版は、1949年だが、その「論争」が起こったのは、1956年の後半~57年のはじめのことだった。
 以下、順を追う。

 『妻の座』刊行から2~3年の間、

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