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胡蝶蘭を捨てないで


交通事故から数日後、胡蝶蘭の鉢植えが5鉢届いた。
お見舞いではなくて。

数ヶ月前、知人のレストランが新装開店した。
開店祝に届いた花を飾っていた。
新しいお店に伺った際、花が終わったら
うちで引き取りますよと申し出ていたので
その株がうちに来たというわけ。

それで、花が終わった胡蝶蘭のお世話をする。
5鉢あって、それぞれ2から5個の胡蝶蘭の株が
寄せ植えになっている。


日本中どこでも、開店祝の胡蝶蘭の鉢は
花が終わったらひっそりと捨てられることになる。
時には大量に。
(最近は花屋さんに費用を支払って
引き取ってもらう方法もあるらしい、
人間にとって胡蝶蘭は商品である)

こんなボランティア、引き受ける必要がないのかもしれない。
いちばん初めはダメ元で引き受けたのだが。
胡蝶蘭の栽培?ハードルが高そうで。
無理かもしれないと思った。
でも最初の子たちもまだ生き残っている。
春に花を咲かせた子もいる。


私は植物がかわいそうでたまらない。
なんとか助けてあげたい。
個人の家では限界があり、
すでに20株もの胡蝶蘭の株がうちに
レスキューされている。
私の部屋は胡蝶蘭と共存。
この上に今回は15株がやってきた。


ほったらかしだと、放置されて
寒風の中枯れていく胡蝶蘭の子どもたち。

まるで捨てられたネコみたいな状態。
それまでリボンをつけて高値で買われ、
華々しくもてはやされた。
花が終わり用済みになれば捨てられ忘れられる。

人間とは実に自分勝手な生き物だと思う。


しかし、こうして毎日一緒に暮らす胡蝶蘭の精たちも、私を交通事故の際に助けてくれたのかもしれないと感じている。

目に見えないチカラとはそういうものだと思う。

ご縁があってうちにきた植物たちは、
がんばって花を咲かせる必要はない。
咲かせたければ咲かせても良い。
生きてるだけで大丈夫。
葉っぱだけでもかまわない。
今のままでいいのだ。

私は無理やり針金で固定された花茎を
針金から外して自由にする。
根の間に突き刺された太い針金。
簡単に抜けないよう曲げられている。

まったく、胡蝶蘭は虐待されている!
縛られて嫌がっている。
ぎゅうぎゅう詰めにされた大きな鉢から
どうやったら楽にしてあげられるか、
一鉢ずつ確認して考えてみる。

それぞれの鉢を観察すると、この胡蝶蘭の
生産業者の姿勢が見えてくる。
少しでも蘭に優しく丁寧に
扱っている業者さん。
あるいは無理やり針金をねじ込んで
最低限の水苔で植え付ける業者も。

どんな花の鉢も、売るとき最高に
きれいに見えるように作られていることは確か。
商品なんだから!

さて、植え替えるのは春になってから。
それまで温室より寒いけど
うちで元気でいてね。

もし私の管理が下手くそで
うっかり枯らしてしまったらどうか許して。
それまで毎日声をかけるから。

胡蝶蘭も私も、生きるのはゆっくりでいい。
生きていればいい。

まだ咲いてる子もいる


今日もすてきな1日をお過ごしください。
地球と宇宙にありがとうございます。

Have a nice time.
Take it easy.

(絵/ 虹のしっぽ アクリル画)

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