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[読書記録]その扉をたたく音(瀬尾まいこ) / 繋がる三部作、楽しみ

「もう少し、あと少し」と繋がっている「その扉をたたく音」。「もう少し、あと少し」と繋がっている「君が夏を走らせる」。
「君が夏を走らせる」を読んで感想を書いた時、
タルシル📖ヨムノスキーさんがコメント欄にて教えて下さって、それから、必ず読みたいと思っていました。


なんと結果的に外側から読んでいます。要であるところに触れるのを楽しみに。

そして中学生の時の駅伝大会の話が出てくると、「これだ」と密かに思ってきゅっとなります。
他の物語の登場人物の一人の、その後の人生がどうであるかを丁寧に見られるなんて、とても贅沢で、そして面白い。瀬尾まいこさん、やってくれるぅ!とあちこちでみんな、手を叩いただろうな。それを思うだけでもちょっと楽しい気持ちになります。

この「その扉をたたく音」で主人公となっている宮路くん、また飄々とした善良な人で、憎めません。そこに渡部くんの地に足のついた、それでもやっぱりちょっととぼけた感じの好青年。

ともに何かを作ること、何かを目指すこと。さらに俺と同じように心を躍らせてくれているのなら、どうしようもなくうれしい。こんな日が一日でも長く続けばいい。そう思った。

「その扉をたたく音」瀬尾まいこより


宮路くんの無意識な善良さからはじまる二人の作る音の世界に、どんどん色が加わって、小さな「そよかぜ荘」がふんわりした空間になっていくのは、読んでいてとても心地よかったです。なるほどバンドサウンドってそりゃ楽しいはずだね、とワクワクします。二つの力が合わさることで、一つと一つではなく、二つの力の何倍にも大きな一つになって、「できる」と思うこと。想像するだけで胸がドキドキします。
今を再びときめく「東京ブギウギ」、それに「上を向いて歩こう」、私は聴いたことが多分ないと思うのですが、「心の瞳」…。「聴く人を考えたセットリスト」、「独りよがりの感情で歌わないように…」。

いじわるや悪人は全く描かれていなくて、みんながお互いを深すぎず思い合って生きること、認めること、壊れること、おしまいまで受け入れあったような空間。
そこにこそ再起の道が広がっていたんだな、と納得しました。
年の功ってこうやって使うのですね。私もいつか忘れてしまうのかな。忘れたくないな。


三部作、どれもが丁寧にかすかに繋がって、あたたかいお話になっているんだろうと思うので、三つが頭の中で揃うのがとても楽しみです。

扇の要となる「もう少し、あと少し」も近いうちに読みます。

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