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なつかし劇場/カネと共に去りぬ

小学校の夏休み。
近所の友達は、群馬とか栃木の田舎に行ってしまい。

都内が田舎の小生とこうちゃんは取り残されておりました。


お金も無いし、今日もこうちゃんと土手でもブラブラしようかと誘いに行ったものの、丁度お使いに出たとの事。

こうちゃんの母ちゃんが、


「まだ時間かかるから、中で待ってなよ」


と言ってくれると、奥の方から、こうちゃんの父ちゃんの声が、、、。


「何だい?裸族ちゃん来たの?おいさんの部屋に来なよ」


今にして思えば。

ウチと同じ3Kの団地です。
玄関の会話はまる聞こえ。
おいさんの部屋などあるわけ無く。


寝室兼用の居間に入ると。


ニコニコしながら、四畳半の真ん中に置かれたちゃぶ台を前に、あぐらをかいてるおいさん。

大工さんで、坂上二郎似のおいさんは、さし向かいに座るように座布団を出してくれます。

こうちゃんの母ちゃんが、冷蔵庫の氷入りのカルピスを手渡してくれ、また台所へ。


そして、いきなりおいさんのラブコールです。


「裸族ちゃん面白いし、好きなんだよ〜」


この時、おいさんの呼気からは高レベルの放射性アルコールを検出!

見ると、一升瓶をかたわらに置き、湯呑みであおっておられます。


「裸族ちゃん、アレやってよ。ホラ!カトちゃんのアレ!」


小生、おいさんに何度か披露している。


「チョットだけよ〜ん。アンタも好きねぇ!」


と、畳に横になり、なまめかしいストリッパーを再現する、カトちゃんマネをやると。


「ブハハハ!」


と大爆笑。


「お菓子食べなよ〜♡」


と貝ヒモや、あたりめ、なとりの珍味を勧めてくれ、次の演芸をうながしてまいります。


「ヘックシン!こりゃ、すんずれ〜すますた」


「ブハハハ!」


お下のコンテンツがお好みなのか「ウンコ!チ〜ンチン!」に至っては転げ回るほどの大爆笑。


やがておいさん。


何を思いついたのか、小ぶりの湯呑みを出してきて、一升瓶からお酒をなみなみとつぐと。


「裸族ちゃん。コレ全部飲んだら、お小遣いあげちゃ〜う♡」


と、その横にハラマキから取り出した千円札を置くのです。

何故、終始オカマコトバなのかはさておき。

千円と言えば、当時の小学生にはとんでもない大金です。
子供心にマズイと思った小生。


モジモジしていると。


「よ〜し!一口飲んだだけで、2千円だ !」


とさらに千円札をハラマキから出し、王手をかけるようにちゃぶ台に叩きつけた瞬間。

小生の頭上を、ソニックブームが駆け抜けました。

くだんの会話を台所で聞いていたのでございましょう。

突然現れたこうちゃんの母ちゃんが、小生の頭越しにマッハビンタを繰り出したのです。


「ズパァァァン!!」


おいさんを見ると、左のほおを両手でおさえながら、ウルトラマンからトドメのスペシウ厶光線をくらった怪獣のごとく、スローモーションで畳に倒れ込み、、、。


ドデ〜〜ン!


瞬殺でございます。


ちゃぶ台に置かれた2千円はこうちゃん母ちゃんから小生に授与され。


こうちゃんと二人で憧れの東京マリンに行く事になるのですが。


一刻も早く、こうちゃんに見せたくなり、右手と左手に千円をかかげてビクトリーダッシュ!

ちょうど、団地の入り口に入ってきた、こうちゃんに駆け寄り、


「ほらっ!こうちゃんの父ちゃんから、二人におこづかいもらったよ!」


大興奮の小生がこうちゃんにくだんの2千円を見せると。


「父ちゃんが2千円もくれる訳ねえじゃん!」


とびっきりの笑顔で千円札を空にかかげ、ギラギラの太陽に透かして確かめる、こうちゃんと小生でございました。






最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族 





なつかし劇場集|torirazoku|note(ノート)




このなつかし劇場は拝啓、関東平野#73 全員、煎餅食っちゃってるで、読み上げて頂いています。ぜひ聴いてみてください!




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