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信じたい気持ち-Vice:オンラインカルトの話を見て想うこと。

Viceのドキュメンタリーをよく見る。製作者のドキュメンタリー対象者を理解しようとする姿勢が、そこに映っている人たちの人間性を浮き彫りにして面白い。 The Believerシリーズはアメリカ&ヨーロッパに現在存在する”カルト”に踏み込んだもの。中でも、下記のユニカルトは、何だか考えさせられた。

21世紀に成長期を過ごした若い世代をミレニアムという。そして、このユニカルトはオンライン上で活動し特にミレニアムに人気があるという。私が見る限り、ユニコーンを崇拝し、妖精や魔法を信じ、思い描いたコトは現実になると説くこのカルトは、何となく前からあるニューエイジ思想、ペーガニズム、ファンタジー、サイファイの融合かつ、自分の信じたい部分だけを抜き出して信じちゃえばいいじゃん。というとても軽く、また(意図的に?!)かなり安っぽいビジュアルで押す(昔でいうところの)サブカル(?)。かなりキテるなー。

でも切実なのは、そこに集まる若者たちのあり方だ。とても敏感で傷つきやすく社会の中で生きていきづらい、精神的に辛いところにいる人ばかりだ。多分、「カルト」に入る人はそういう人が多いんだろう。私も人のことは言えない、敏感で傷つきやすい、面倒臭い人間である。だから、こういうので何かに繋がっていたい欲求、自己肯定欲求を充したくなる気持ち、結構わかってしまう。

このビデオを見ている私を見た長女(12歳)、「わあ、可愛いお化粧!可愛い洋服!」と教祖のユニコールさんの突飛なビジュアルに関心たっぷり。この人カルト始めたんだって。ユニコーンを信じてるらしいよ。というと、もっと関心した様子。やばい、うちの娘(ハリーポッター、魔法、妖精、吸血鬼大好き)、簡単にユニカルトに入るな。と思った私、自分の実体験を元に、魔法とかを言い訳にお金を摂ろうとする商法について、娘に話す。

私がね小学校6年生の時、子ども向け漫画雑誌の裏に、何でも願いがかなう魔法のペンダントの広告が載ってたんだ。その時好きだった男の子に振り向いて欲しくて、お小遣い出して、そのペンダント買ったの。その男の子の写真ちっちゃく切ったやつをそのロケットペンダントに入れて、その子が私を好きになってくれますようにって。

叶った?

全然。その子は他の女の子が好きだったみたい。でもね、もしあの時、誰かが私に「そんなのインチキだよ。お前騙されてるよ。」なんて言われたら、多分私、そういって教えてくれた人に、頭にきてたと思うな。だって、信じたかったんだもの。魔法だ、って思ったらワクワクして、そのワクワクが嬉しかったんだもの。だから、多分、ユニカルトに入る人も、信じたいんだろうね。信じたい気持ちが強い時は、他の人が何をいっても、そのアドバイスを聞くのは難しいんだよね。

ふーん。

でもね、私が買ったペンダントで誰かがお金儲けをしていたのも事実なんだよね。子どもに、これ魔法だよ、っていってインチキでお金をとってた大人がいたんだよね。それっていいことだと思う。

いや、よくないと思う。

そうそう、難しいよね。インチキに引っかかった人は幸せで、でもインチキをするのはやっぱり倫理的によくない。インチキには引っかからない方がいいよね。

うん。。。

この会話の中で、明らかに思い出したのは、私は、あの頃、魔法のペンダントを本当に信じたかったのだということ。多分、本物ではないことは安っぽいプラスチックの作りから見てわかったけれど、それでも、いつかラピュタの石みたいに、突然光を放って、不思議な力が生まれるかもしれない、という想像を1%くらい捨て切れなかった11歳の私がいた。切実に、この世界には魔法がある、という可能性を残してくれるものにしがみつきたい私がいた。

だから、ユニカルト。入ってしまう人の気持ちはやっぱり3%くらいわかってしまう。信じたいんだよ。


ちなみに、下のビデオはマルチ商法のドキュメンタリー。これもまた、自分は大きなものの一部だ、と感じ、繋がり、信じたい人たちが、どんどんお金を失って、友達も失って、という話。びっくりするほど、周りにこの手の商法に関わっている人がいる。ドテラとか、オーガニック化粧品とか。切ない話よ。


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