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【読んだ本】 「売る」から、「売れる」へ。 水野学のブランディングデザイン講義/水野 学

この本を一言で言うと...

商品が売れるための『ブランド』の必要性やつくり方が学べる本

読むべき人は...

① 企業や商品のブランディングに携わっている人

② クライアントワークで何かしらの課題解決を行っている人

③「デザイン」や「センス」という言葉に苦手意識がある人

読んで学んだことは...

①「売れる」ものをつくるには「ブランドをつくる」ことが大切。

売れるものをつくるには3つの方法がある。1つは「発明する」こと。2つめは「ブームをつくる」こと。ただ、今の時代は機能やスペックだけでは商品に差がつきにくくなっているため、この2つでは「売れる」をつくりづらい。
そこで3つめの「ブランドをつくる」が大切になってくる。機能やスペックだけに頼らず、消費者が「あの企業のものなら」「あのブランドなら」と共感して、商品を購買してくれることを目指したい。

② ブランドとは「見え方のコントロール」である。

ブランドとは、そのものが持つ個性や特徴、“らしさ” であり、その企業や商品が本来持っている思いや志を含めた特有の魅力のようなもの。ブランドをつくっていくには「目に見え、耳に聞こえ、身体で感じる、すべてのもののデザインをきちんとコントロールする」ことが必要。

③ センスとは「集積した知識をもとに最適化する能力のこと」である。

センスは天性の才能などではなく、蓄積した知識をもとに最適な解を導くこと。知識を積み重ねることで、後天的に誰でもセンスを磨くことができる。

④ ブランドづくりを始める際、まず企業の「目的」と「大義」を確認する

企業の活動は、すべて「目的」と「大義」から生まれているため、この2つを押さえておけば、ブランディングの方向性を間違えることはない。特に「大義」を明確にすることで、社員のモチベーション向上や、企業活動の幅を生み出すことにつながる。

中川政七商店の場合、大義を「日本の工芸を元気にする!」と打ち出したことで、自分たちが何をすべきかがはっきりと意識できるようになった。具体的には、本業以外で伝統工芸品メーカーのコンサルティング事業を始めるなど、新たにやるべきことも見えてきた。

読んで思ったことは...

① わかりやすい内容・文体で「ブランドづくり」や「センスの磨き方」について書かれていて、とても読みやすかった。1〜2時間で読了できます。

② クリエイティブディレクターという仕事の奥深さを知った。
ブランドをつくりあげることを目的に、あらゆるクリエイティブを統括しコントロールするクリエイティブディレクターという仕事は、感性や論理性、行動力や一貫性が求められる。「ブランドづくり」の必要性が徐々に言及されているいま、クリエイティブディレクターの席が1%くらいしか埋まっていない、というのも頷ける。

③ デザインを扱う仕事は「責任感」や「正義感」「覚悟」が必要である。
デザインは抽象的で言語化しづらいものだから、その分、素人相手の仕事では「ごまかし」が効く。また、クライアントやステークホルダーの好みや主観を優先して本質的に良いデザインを選択しない、ということも容易にできてしまう。
だからこそ、デザインを扱う者はより一層の(クライアントやステークホルダーよりも強い)「責任感」や「正義感」「覚悟」が必要であると思う。
余計に時間がかかってもお金がかかっても、本当に良いデザインを追求する覚悟が、デザインを扱う者に求められている。


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