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脚本 夜の惑星【R18】#1

予告(あらすじ、人物表など)


*20字で改行しています

○ある高校
  昼休みを告げるチャイムが、

○その裏に広がる雑木林にまで
  聞こえて来る。

○雑木林の細道
  白衣を羽織った化学教師・松岡千秋(3
  0)が奥へと歩いていく。そのせかせか
  した足取り。
  辺りは木々に覆われて、昼間でも影が差
  している。
  千秋、ふと後ろを振り返る。
  あとからは誰もついて来ていない。
  千秋、再び歩きはじめる。
  行く手に掘っ建て小屋が見えて来る。

○掘っ建て小屋・表
  使われなくなって久しい小屋は、だいぶ
  ボロがきている。もとは農家の用具入れ
  か何かだったらしい。
  壁に板が割れてできた隙間がある。

○同・内
  千秋が屈み込み、壁板の割れ目から外の
  様子を伺っている。
千秋「……(緊迫)」
  と、足音が近づいて来る。
  制服姿の男子が見える。
  三年生の掛井充宏(18)が押し入るよ
  うに入ってくる。
  千秋と掛井、ぶつかるようにして抱き合
  い、互いに口を押しつけ合う。
  舌を絡ませ、激しく吸う。
  千秋、自ら服を捲り上げる。
  掛井がブラを押し上げ、胸を露わにす
  る。
  掛井、千秋の胸にしゃぶりつきながら、
  ベルトを外す。
  千秋、掛井のモノを掴み、股がるように
  して内に導き入れる。
  立った姿勢で繋がり、束の間、目を閉じ
  て抱き合う二人。
  掛井、すぐに腰をぐいぐい動かしてい
  く。
  千秋、壁に手をついて、掛井に合わせて
  腰を擦りつける。
  床板が軋む音と、二人の荒い息遣いだけ
  が聞こえる。
  掛井、千秋の片足を持ち上げてより激し
  く突く。
  千秋、掛井の首にしがみつくようにして
  声を抑える。
  加減知らずに突き上げる掛井、低くうな
  って千秋の中で果てる。
  千秋、しがみついたまま流れ込んでくる
  相手の体液を感じている。
  掛井が抜くと、千秋はぐったりとなって
  床に座り込む。
  二人、一瞬目を合わせる。
  掛井、すぐに視線をそらし、背を向けて
  ズボンを上げると、まるで逃げるように
  して小屋から出ていく。
  残された千秋、乱れた服のまま瞳をうつ
  つにさまよわせる。

○またチャイムが
  雑木林に響いてくる。

○雑木林の細道
  白衣を羽織った千秋、せかせかと歩いて
  いく。
  千秋、前方に気配を感じる。
  女子生徒二人が連れ立って細道を下って
  くる。
女子生徒1「あ、松岡」
千秋「先生、でしょ。あなたたち何してる
 の、こんなとこで」
女子生徒2「秘密。先生は?」
千秋「私は――、秘密」
女子生徒2「けち」
女子生徒二人、行く。
  千秋、女子生徒たちを見送る。
  その向こうから掛井が来るのが見える。
女子生徒1「掛井ぃ。何してんだよ」
掛井「何だよお前ら」
  千秋、向き直って歩きはじめる。
  少し行って振り返ると、掛井が女子生徒
  たちと来た道を戻っていくのが見える。
  掛井が振り返り、千秋を見る。
  二人、離れて一瞬見つめ合う。

○またもチャイムが
  雑木林に反響する。

○千秋の足が
  せかせかと行く。

○掘っ建て小屋
  千秋がドアに手をかける。
  同時にドアが開かれ、ぐいと腕を掴ま
  れて中に引き込まれる。
  掛井が先に来ていたのだ。
  千秋、体勢を立て直す間もなく唇を奪わ
  れるが、すぐに反応を返す。
  掛井、息せき切って千秋のスカートをめ
  くりあげ、下着をずり下ろす。
  千秋もまた掛井のベルトを外し、下着の
  中に手を差し入れる。
  二人、性器をまさぐり合いながら床に寝
  そべる。
  掛井を上にして折り重なり、上気しなが
  ら見つめ合う。
  掛井、千秋の膝を広げ、中に押し入る。
  千秋、ぐっと上気する。
  正常位で繋がるのははじめてだ。
  掛井、ぐいぐい腰を動かす。
  ぎこちないが一心不乱なセックス。
  千秋、掛井の尻を掴んでぐっと引き寄せ
  る。
  掛井の動きがいっそう早まり、やがて全
  身を硬直させて千秋の中で達する。
  千秋、掛井にぎゅっとしがみつく。
  絞り出した掛井、抜いて起き上がろうと
  する。
  千秋、抱きしめて離さない。掛井が体を
  離そうとすると、足を絡めて許さない。
  掛井、千秋を見る。
  千秋もまた掛井を見る。
  掛井、応えるように抱き返す。
  千秋、目を閉じて掛井の体温を感じる。
  それも束の間、掛井は千秋を振りほど
  き、立ち上がって服を身に付ける。
  掛井、ドアのところで千秋を振り返る。
千秋「明日も来て」
掛井「……」
  掛井、振り切るように行く。

○高校・点景
  柔らかい日が差し込んだ誰もいない教
  室、廊下、昇降口、校庭など、いくつか
  のショット。
  校歌が聞こえてくる。

○同・体育館・外観
  中で卒業式が行われている。
  校歌を斉唱する声が聞こえる。

○同・理科準備室
  白衣姿の千秋、スプーンでコーヒーをか
  き混ぜながら窓の外を見ている。

○同・廊下
  傾いた日が差し込んでいる。
  千秋の足音がコツコツと響く。
  と、向こうから掛井が来る。隣りにはカ
  ノジョらしき女子生徒。
  掛井、千秋に気づいて目をそらす。
千秋「卒業おめでとう」
カノジョ「ありがとうございます」
  千秋、掛井を見るが、掛井は視線を返さ
  ない。
  千秋、そのまま会釈してすれ違ってい
  く。気持ちを抑えながら角を曲がり、壁
  に背をつけて深く息を吸う。
千秋「……(胸が締めつけられて)」

○掘っ建て小屋・内(夕方)
  千秋、一人で台に腰かけている。
  壁板の割れ目から夕陽が差し込んでい
  る。
  千秋、床の埃がぬぐえている場所など、
  二人が交わった痕跡を見ている。

○千秋の部屋・内
  千秋とその母瑞恵(56)が一緒に荷物
  を梱包している。
  千秋は離婚したばかり。元夫の荷物はす
  でに運び出され、2DKの部屋はどこ
  かがらんとした印象。
  瑞恵、アンティークの写真立てを手に取
  る。
瑞恵「これは?」
千秋「捨てて。彼のだから」
瑞恵「結構いいモノみたいだけど」
  瑞恵、渋々ごみ袋に入れる。
  黙々と作業を続ける千秋。
瑞恵「千秋、あんたまだ諦めたわけじゃない
 んでしょ?」
千秋「?」
瑞恵「バツイチなんか珍しくないんだし、ま
 だいくらでも見つけられるんだから」
千秋「分かってるから」
  千秋、ふと手に取った簡易アルバムに、
  掛井の写った写真を見つける。学校行事
  で生徒数人と一緒に撮ったものだ。
千秋「……(思わず見入る)」
瑞恵「一人だとさびしいわよ」
  千秋、母の言葉を聞き流し、アルバムを
  ダンボールに詰めて閉じる。

#2

いただいたサポートは子供の療育費に充てさせていただきます。あとチェス盤も欲しいので、余裕ができたらそれも買いたいです。