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コンサルやめるってよ 読書感想文②V字回復の経営

前回の読書感想文

 前回アップロードしたのはこちらの”極アウトプット「伝える力」で人生が決まる”であった。非常に読みやすく、コミュ障と言われている人たちを始め、全ての社会人に共通して使えるテクニックがわかりやすくしかもサクサク読める形式で書かれていたのを紹介した。もしもどんな本書きになった方は是非私のnoteを読んで、さらに実際に本を取って読んでみてインプットして現実世界に影響を与えれるアウトプットを少しでも始めてくれたら嬉しい限りだ。

今回の読書対象”V字回復の経営”

 元経営コンサルタント、事業会社で社長などをされた三枝さんの有名な著書である。コンサルにいた頃の教科書の一冊だが未読だったので有給休暇のタイミングで読むことにした。著者がコンサルタント時代にこれまで経験したリアルな経営難に陥った会社を立て直したものをMixしてストーリー仕立てに仕上げた本である。簡単に起承転結で概要だけ紹介する。

起・・・経営不振に陥った日系企業、2年で黒字化できないと事業撤退と決める。
承・・・経営改革を行うため少数専任部隊(タスクフォース)が結成、事業の現状を数値化、改革ストーリーを検討
転・・・新体制発表、改革施策を実行
結・・・黒字化達成

学びについて

学び① 改革の根幹はヒト!!

 改革を進める上で社内の人間は大きく5に分類することができる。
横軸は改革能力、縦軸は人数(ボリューム)を示している。

社員の改革能力別分布イメージ

 改革を始めるに当たってもちろん緑で表現している改革先導者に該当するメンバを集めることが全ての始まりだ。ここに選ばれるものは、会社を変えようとする意思、思考力、ガッツがあることが必要条件となり、決して社歴や職位には依存しないことが肝である。なぜならばある程度のポジションがあるものほど改革によって自分が降格されたりポストを失うようなこと察知すれば社内政治を持ち込み改革を台無しにする可能性があることだ。
また改革能力は平凡で無害、または改革推進者になっていく改革追従者と異なり、改革抵抗者は改革から早いうちから外していくのが必要になってくる。そのまま腐って居座るか、自然と辞めていくものもいるが本格的に抵抗して邪魔をするものに関しては赤で示したような形で人事更迭も辞さない厳しい対応が経営者には求められる。
別の読書感想文にも書いたが、人間はどうしても脳の構造上見知らぬところに足を踏み込まない思考をもつところがあるため肩書が付きまわるヒトほど、また改革をせずにここまでやってきたものほどその傾向が出てしまうのであろう。未読の方は以下のリンクもあとで是非読んでほしい。

学び② やっぱり正しい数字で語らないとだめ

 「数字は嘘をつかないが嘘つきは数字を使う」とは有名な言葉だがこれを経営層が使っていたことが問題であった。そのため物語に出てきた会社では、誰一人として明確な赤字を把握していない実態があった。そこを紐解くところから改革は始まる。
 正しい数字を語る上で必要なことは売上〇〇億円、純利益◯◯億円といった明確な定義である。(コンサルギャグでいうとこのろKGI)
 明確な定義が決まることで、それを達成するのに必要な要素(KSF)、行動、その行動を評価する項目(KPI)といったもの繋がってくる。

KGI,KSF,KPI 転職における定義付け

 余談だが、私もコンサル時代の改革で会計領域で勘定科目(何にお金を使ったのか?という項目名)を国内外で共通化するPJを経験している。そこでもやはり全世界でどれだけお金を使っているのか明確になっていないことを課題感としてクライアントは持っていた。加えて、地域によって会計ルールが違ったのも問題だったため国際規格に統一も行った。

学び③ 改革は正しいコンセプトに基づいて

 数字を丸裸にした上で、「なぜこんなに赤字なのか?」という業務の問題点をタスクフォースのメンバーは調査した。 
 すると開発、製造、営業がバラバラの動きをしていたのが問題であった。もう少し詳しく言うと「どういう風に動くべきか」というコンセプトを持っていなかったのが原因の一つであった。そこで自社の強みと、市場価値をもとに9象限に切り分けてどこに注力すべきか?というコンセプトを打ち出しそれに基づいて開発、製造、営業が動くことで改善したエピソードがある。
下図のグレーの部分は自社の強みを活かせない、市場から求められていないのでスッパリとやめてしまう(開発しないし作らないし売らない)
 逆に緑の部分は注力して開発することで過去にないほどのスピードで新製品がリリースされ、製造品質も工場し、それが売り込まれることで収益を上げていく動きがあった。

コンセプトの概念

 このコンセプトで重要なのは市場価値という観点だ。簡単にいうと顧客がそれを使うことでどんなメリット、利益がえられるのか?ということになる。よく製品を生み出す際に前モデルから10%性能アップしています。というような言葉をきくがそれは果たして顧客が求めているものなのか?それが的はずれだったらなんの意味もない性能だよね?となりかねない。あくまでもモノづくり、コトづくりにおいてそれが顧客が得られるメリットかどうか?というのは重要なことになる。

学び④ 実行計画に落とし込むのは実際に行動する人で行うこと

 改革は仕事のありかたを変えるが、同時に働き手そのものも変えていかなければならない。上流のメンバだけで考えたものでは絵に描いた餅と化してしまう。(ベストエフォートとか言われる。)そうならないためには実際にコンセプトに基づいて働き手が施策レベル、タスクレベルまで悩み抜くことでオーダーメイドの改革の手順書が出来上がる。
 このエピソードを読みながらコンサル時代のことを思い出していた。うまくいくPJというのはやはり顧客の経営層、現場レベルのメンバがぶつかりながらも施策を作り上げていっていた。逆に構想からなにからなにまでコンサルにやらせることが多い顧客では、施策が実現性が低いものになり「そんなのできるかよ!!」と現場から抵抗勢力がでてきてしまいうまく行かないことも多かった。そのような企業はとっくに優秀な人材が抜けてしまいPJメンバにすべき人材もいないような会社だったのかもしれない。(もしくは人選をただの職位が高いだけの人を選んでいるナンセンスさがあったのかもしれない)

最後に

 本著では、他にも会社の構造を大きく変えるような施策もあったがこれはあくまでも”その企業の場合”ということで割愛する。改革はオーダーメイドで企業それぞれでヒト選び、明確なコンセプト、実行計画の3点は必須なのでそれだけをピックアップして紹介した。
 私が将来マネージャに昇進するときのためにマインドセットとして必要だろうということで読み、読書感想文という形で学びを残した。
 一旦、コンサルやめるってよの番外編としてもここで一区切りにしたいと思っている。実際に2024年1月から新たな職場で働き始めたので次は
「コンサル、事業会社に行く(仮題)」でシリーズを書いていこうと思っている。
 まだ未読の方はマガジンから全て無料で読めるので是非よろしくお願いします。



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