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昔やり手中国人バイヤーに忠告された「モノに賞味期限は無い、長期間ブームとなっているものは買えるだけ買え」

 プレオープンを間近に控え飲食店の最終準備段階に入った。飲食業では在庫管理はFIFOが基本である。食材には賞味期限がある為、これは言うまでも無いのだが、最近それを考えているうちにふと思い出したことがある。

 飲食業は私がこれまで携わっていたアパレルやITサービス系の在庫管理とは全く異なる。特にアパレル業界においては、「サイクリカルファッション」(周期的な流行の繰り返し)の概念が重要であり、一度流行したアイテムは時間を経て再び人気を博す可能性がある。この観点から、アパレル製品は「非消耗品」として扱われ、適切に管理されれば長期間の在庫保有が可能なのだ。


 何年前だろうか当時、私がアパレルをやっていた頃、当時そんなに資金力もないただのアルバイトをしていた大学生の私に広州の取引先のおじさんが「そんなに小ロット?こっちは良いですけどわざわざせっかく来てくれてるのにもったいなく無いか?靴や服なんて賞味期限が無いのだから買えるだけ買え」忠告された事を鮮明に思い出した。

 彼は問屋でこの広州中央卸売市場の一帯をバイヤーとして仕切っていた。労働条件は良く無いものの、価格競争ではあの一帯のお店に勝てるところは世界中探しても無いだろう。また、その頃アパレル業界では同時にZaraやH&Mの普及もあり低価格高コスパのアイテムがネット上でもブームになっていた。その為、彼はいずれ売れるいずれ広州の洋服産業がとんでもなく成長することを確信していたのだ。その2年後、実際にSHEINがそこに目を向け一躍広州は世界のバイヤーの聖地となった。

 先月たまたま自分が取り扱っていた商品の時価をネット上で見る機会があったのだが、3〜4年前に比べ5倍以上の時価になっていてそれにも驚いた。要は、経済学の観点から見れば、この事例は資本資産の価値が、経済活動と直接関連していることを示す。市場が機能している限り資本社会である以上、資本資産をもっていれば、資本価値は上昇していくということだ。だから買えるだけ買え。となるわけだ。

 当然のことながら経済学的別の視点で見ると、機会費用というものもある。これは資本資産を保有することの重要性そのものだ。機会費用は、ある選択を行った結果として放棄される次善の選択の価値を指す。アパレル業界での小ロット購入の選択は、将来の大量販売機会を逸する可能性があるため、高い機会費用を伴う。逆に、資本を利用して大量に商品を購入することで、将来的な価値上昇を享受することができるため、機会費用は低減されるということだ。






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