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期待と攻撃 〜沖縄の離島プチ移住で起きたこと

期待すると、それが外れたとき

思い通りにならないことに落胆したり、苛立ったり、ひどいときは攻撃的になってしまう。

人に対しても、自分に対しても。

6月から沖縄の離島の宿で働いていますが
当初の予定より2カ月早く、9月末で辞めることになりました。

一応、宿の都合での退職なのですが

私自身も、このままだと精神的にもたない、辞めたいけど辞められない、どうしよう…と案じていたので

正直ホッとしています。


ゆったり流れる時間。細かいことにこだわらない。裏表のない優しさ。

多くの人が持つ、沖縄に対するイメージではないでしょうか。

私自身も、そんなところが良いなと感じ
島で暮らしたいと思うようになりました。

働くことになった宿には、一度宿泊したことがあり

島の自然を大事にし、ネイチャーツアーや
宿経営にもこだわりのあるオーナーの営む宿。

泊まった時に色々話したり
SNSで繋がっていたので、私がどんな人間かということを、大体分かってくれていました。

小学校の同級生が7人しかいない田舎生まれ。
地元に関わるイベントやワークショップなどを企画したり、好奇心旺盛なこと。
いずれ地元に戻る選択肢も考えていること。

自分を知ってくれている。その安心感も働く決め手でした。

「うちは正直厳しいよ。
オーナーがツアーで外出することも多いから
そのときは自分が宿を背負うことになる。」

「出来る範囲のことしかさせないから大丈夫。
あなたみたいな人が働いてくれるのは有り難い。
来てくれるのを楽しみにしているよ。」

そう言われ、プレッシャーもあるけど
期待されていることが嬉しい。頑張りたい。

そんな思いで働き始めました。

しかし、日に日に自分を苦しめることになります。

私は正直、要領が悪く
料理など、短時間で同時に
たくさんの物事を処理することが苦手。

スピード、完璧さを要求されると

混乱し、頭がいっぱいになり、フリーズしてしまう。

環境によって自分のパフォーマンスが変わるので

慌ただしかったり、人に見られていると

挙動不審になったり、いつもできることが出来なかったり
それで落ち込むことも多々…

時間をかければ出来るようになることも多いのですが

夏。宿はトップシーズン。
ゆっくりしている暇はありません。

要領の悪さ自体は、今に気付いたことじゃないので
苦手だけど、慣れるまでやるしかないという感覚だったのですが

辛いのは、オーナーの求める働きができず
信頼が日に日になくなっていくのを感じること。

彼の理想、こだわりがあり、完璧を求められる
そこから外れると怒られる

抜けたり、挙動不審になったり、ペースが上がらない私にイライラしているのが分かる

「考えすぎるからダメなんだ。考えるより身体で覚える。動く。
止まってる時間に時給は払いたくないよ。」

「1日くらい怒られずに、よくやったなと言ってもらいたいと思わないか?」

「田舎から都会に出たことがダメだったんだ。
20代のうちに何をしてきたのかな?と思ってしまう。
今のままじゃ、田舎に帰っても、どんな仕事でも、残念な人だな、と思われてしまうよ。」

自分のミスと、そのような言葉に落ち込み

だんだんとコミュニケーションをとるのが怖くなってきました。

すると、伝達モレなど仕事にも影響するようになり
さらに怒られるという悪循環…


「なんで出来ないんだろう…」

真面目な性格と
一言一言が、自覚していることもあったので
サラッと受け流すことができず

そして住み込みで、朝から晩まで同じ場所にいるため

知らず知らずのうちに溜め込み、自分を責めるようになりました。

そのうち、頭がぼーっとしたり
休憩中も、ふとした瞬間に涙が出てくるようになったり

これはヤバイな。
友達や妹など、色々な人に電話すると
「辞めたほうがいい」ほぼ全員から言われ、自分でもそう思うけど

夏のトップシーズン、スタッフは私しかいない。
どうしよう…
葛藤が続きました。

それでも、苦しい時には必ず
助けてくれる何かに出会える、運の良い私。

宿にいると気が休まらないので、港の休憩所でぼーっとしてたら

「どうしたの?泣いてるのかと思った。」


気づかぬうちに、後ろで読書していた島のおばちゃんに声をかけられ
思わず、泣きながら一部始終を話していました。

すると驚いたことに
以前にも同じように、同じ場所で
泣いているスタッフの話を聞いたと

さらに、おばちゃんの娘さんも、同じ場所で働いていたと。


「そんな受け止めすぎなくていい。気にする必要は全くないわよ。
そのせいで、精神を病んで
自分の人生が小さくなるのはもったいない。

あなた笑顔が素敵なんだから、辞めても全然大丈夫よ。」


さらに島の居酒屋で、地元の人と話をすると

出るわ出るわ。歴代スタッフ、過去にあった色々な出来事の話…

そこで分かったのは
「苦しんだのは私だけじゃなかったんだ。
自分がダメ、出来ないだけじゃない。相手の期待値が高いんだ。」

オーナーは、過去のどのスタッフに対しても
多かれ少なかれ攻撃的な一面があった。

彼の中で「田舎出身=手際が良い」という固定観念があった。

さらにSNSから活発、行動的な私をイメージし、理想像を作り上げ、期待していた。

だけど、私はその期待から外れた。

理想と異なる行動を重ねた私に落胆し、攻撃が始まった。

そして私も「認めてくれているから大丈夫。私ならできる」という期待があった。

でも、その期待から外れる、理想像から遠ざかることに落ち込み
自分を攻撃するようになった。

「頑張ってもできないもんはできない!しゃーないやん!」

そう思えるようになったので、少しラクになったものの

「女としてできておくべきベースができてない。あなたとは合わない。
気が利かないなぁ、なんで分からないかなぁ。」

やはり否定的な言葉のシャワーを浴びるのはキツイ。
相性が合わない、信頼されてないのに、仕事を続けるのはお互いにとって辛い。

そんな矢先。
この夏は、台風で団体のキャンセルが相次いだため
経営不振を理由に、期間短縮の打診を受けました。

他にも思うところがあったのかもしれませんが、私にとっては願ったり叶ったり。
もちろん快諾。

それ以降、憑き物が落ちたように心が軽くなって
相手の言葉や態度に苦しくなることはあるけど
前より気にならなくなりました。


ゆったり流れる時間。細かいことにこだわらない。裏表のない優しさ。

この3カ月、ある意味正反対の場所で過ごしたことで
改めて、自分が何を求めてるかが浮き彫りになりました。

まさか沖縄に来て、精神的に病む寸前まで落ちるとは思ってなかったけど…^^;

ただ、良い宿だとは思うし
こだわり、理想が強くてストイックなので
私はそれについていけなかった…

今後、自分が自分でいられない場所、人からはなるべく距離を置くようにして

自分も周りも安心できる環境を作っていきたい、そう考えています。


島に限らず、地方移住を考えている人もいらっしゃるかと思いますが

やはり事前の情報収集は大事…!

私の場合は半年間、宿で住み込みアルバイトという限定的なものだったので
旅行で泊まった以降、現地に行くことはなかったのですが

先に現地に行って、その地域を歩いたり
地元のお店で話を聞いていれば、違った選択もできたかも、と感じています。

(どんな選択をしても、思っていたのと違う!ということは多少起きるかもしれませんが)


また今回「地元に戻ってゲストハウスをする」という選択肢が、本当にしたいことか?確かめるための島暮らしでもありました。

ちょっと違うかも。気付いたのはそんな答え。

自分の性質として、同じ場所にずっといるより動ける状況でないと、苦しく感じてしまう。
自然は好きだけど、刺激の少ない場所だと飽きてしまう。

あと、やっぱり事務の仕事も好き。
(もともと会社員で、宿業は未経験)

いろんなやり方があるし、今と数年後は感覚、考えも変わってると思うので
どうなるかは分からないけれど。

これからも自分のペースで、少しずつ動いていきます。

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