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レコーディング日記⑮ユーザビリティを考えたシステム設計

かなりお久しぶりになってしまいました。
レコーディングでの経験や感じた事を書いているマガジンですが、
今回は少し、違う視点でのお話になります。

システム設計にあたって

最近、あるご縁からレンタルスペースに音響設備を導入する機会を頂きました。
見取り図とレンタルスペースのコンセプトを伺い、機材を選定。
実際に営業開始となった時に、どんな方々が、どんな風に使うのかをイメージしながら構成図を書きだす。
予算も考慮しながら、どれだけシンプルにできるか、操作する箇所を絞れるかを考えました。

音響機材を扱える人であれば、どういう設計にしても問題ありませんが、
実際に使用する方の大半は、機材に関してはわからない方です。
だからこそ、自分のPCにケーブルを繋いで、音量を上げるだけでOKというくらい、シンプルに作る必要があると思ったのです。

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イメージ力とユーザビリティ

機材を選んでいる時は一番テンションが上がります。
やっぱり音響が好きなんですね。

マイク1つとっても、様々な機材があり、それぞれに強味も違います。
コストパフォーマンスが素晴らしい機材や、機能性に優れた機材。
組み上げればどんなシーンにも対応できる機材セットが創れます。

しかしコンセプトは「ユーザビリティ」。
いかにシンプルで、ストレスなく使えるかです。
エンジニアが使う前提で組んではクレームになってしまいます。

ユーザビリティ
「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」(国際規格:ISO 9241-11定義)

今回の場合、「ユーザーの満足度が高い=使いやすい=分かりやすい」となります。
不特定多数の方が使用するのに、ボリューム以外のツマミは使用方法がわからないと思います。
かつ、ZOOMやTeamsといったオンラインを使用するシーンは発生すると予想できます。
そこを考慮して、機材を選定します。

またレンタルスペースの面積も有効利用する必要があります。
ライブハウスではないため、スピーカーを正面にLRで設置する必要はありません。
それよりも、部屋のどこにいてもストレスなく音が聞こえる方が重要です。

そこで天井からの吊り下げ型のスピーカーを採用しました。
もし子供が遊んだとしても、スピーカーを倒したり、床に這わせたケーブルを引っかけるといった心配も無くなります。

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目的の明確さ

結果的に、依頼を頂いたオーナー様や実際のユーザーの方々からも「使いやすい」とのお声を頂け嬉しい体験となりました。

以前、あるライブハウスで音響をした際に、非常に使いにくいシステムだったのを覚えています。
ハウス音響の方の拘りが強いのか、配線がわかりにくく、反射的な音響操作がしづらかった経験がありました。

そんな経験から、「自分の拘りを形にする事ではなく、一般的な方々が気持ちよく使える事が大事」と、目的に立ち返る事ができました。

何をするにしても、”目的”が明確であることはとても大切な事です。
取り組み始めてから、色んな事が起きたり課題に直面したりします。
そんな時に「その場を切り抜ける」という判断の仕方で進めては、目的達成が難しくなります。
「目的から逆算した時に、どの選択をする事で達成に近づくのか」という観点で判断をしていく。

時には自分の価値観に沿わない判断をする場合もあるでしょう。
しかし大事なのは、自分の価値観を押し通す事ではなく、目的を達成する事です。

「誰の為に、何の為に、自分は何をするのか」

ここに常に立ち返りながら、自分の目の前に起きる事象と向き合い、
毎日を過ごして行けば、必ず望む結果を手にできると信じています。

日々、自分とも戦いながら、目的を実現する為に行動していくのみです。

ではでは☆

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