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愛を越えるなにか

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子どもとの日々をつづります。
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産声をあげられなかった、わが子へ

産声をあげられなかった、わが子へ

2019年7月13日12時23分、男の子を出産した。

その日は妊娠20週6日目。正産期からほど遠いあの日、わたしのお腹から出てきたのは、たった390gの小さな赤ちゃんだった。死産だった。

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前日19時ごろ、わたしはお腹にうっすらと鈍痛を感じていた。その後ごく少量の出血もあったのだが、「今日はちょっと疲れたのかな」そんなふうに思っただけだった。

しかしその夜眠りについても、お腹に違和感

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わたしはおっぱいになりたい

わたしはおっぱいになりたい

「ママが抱っこすると泣き止むのね。かわいいでしょう?」

と、よく言われる。

そんなとき、わたしはたいてい「へへ、そうですね」って答える。だけど、じつのところ内心はざわついてる。

ムスメの人見知りが始まったのは生後3ヶ月ごろ。毎日顔を合わせるパパにさえ泣くようになった。

アメリカの教育心理学者、ハヴィガーストはつぎのことを言っている。

『乳児が離乳、歩行、言語の獲得などの「発達課題」を乗り

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子どもを産んだ瞬間、「この人は、他人だ」と思った

子どもを産んだ瞬間、「この人は、他人だ」と思った

2017年5月、わたしは子どもを産んだ。

ずっと夢見てきたことだったから、それはもう感動と愛に満ちあふれた瞬間になるものと思い込んでいた。

でも、実際はそんな感動は押しよせてこなかった。むしろ、驚いた。

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わたしは、俗にいう子ども好きだ。街中で見かける人様の子どもも、もれなくみんな愛おしい。

そんな自分が子どもを産んだら、「ああかわいい我が子! 最高の宝物! 大好き! 愛してるー!

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「これ、ワンオペ育児だわ」と思ったけど甘かった。だからエールを贈りたい。

「これ、ワンオペ育児だわ」と思ったけど甘かった。だからエールを贈りたい。

ムスメを産んで1ヶ月がたつころ、実家から自宅へ戻った。

そのころ夫は仕事が忙しく、毎日帰宅するのは23時前後。夫がムスメを世話できるのは、朝起きてから出勤するまでのほんの10分程度だった。

そんなわけで、平日はほぼムスメと二人きり。家事と育児の99%がわたしの担当だし、まもなく仕事も再開した。

「これ、平日に限っていえば、ワンオペ育児じゃない?」

そんなふうに思っていた。

(ワンオペ育児

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