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なぜか夫に猛烈にイラつく。産後メンタルの対処法 #名著に学ぶ子育て[2]

わりと夫婦仲のよい我が家ですが、娘を出産してまもなくのころ、夫に猛烈にイラついてしまう時期がありました。

表面的には夫を怒鳴りつつ、心のどこかで「夫に申し訳ない」「こんなことを言う私は最低だ」なんて思いを抱えていました。自分の感情と行動が一致しない、でも自分ではコントロールできない、そんな状態だったことを覚えています。

出産から3年が経ち、当時の自分の精神状態を知ることができました。きっかけは田房永子さんのエッセイ漫画『キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』

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主人公である永子さんは、普段は温厚でやさしい性格の持ち主。しかし夫に対しては些細なことでキレてしまうことに悩んでいました。怒鳴り散らすだけでなく、ときに物を投げたり壊したり、夫を殴ってしまうこともあったそう。

そんな日々に転機が訪れたのは出産後でした。まちがっても我が子にキレたり手を上げたりしてはいけないと考えた永子さんは、キレる衝動を治すために奔走します。

そうして出会ったのが「ゲシュタルトセラピー」。これが永子さんにピタリと合い、自分がキレる原因と向き合い、キレそうになったときの対処法を習得することができたのです。

対処法1. 意識を"今"に集中させる

必要以上の怒りを感じてキレてしまうのは、自分の過去の経験と照らし合わせているケースが多いのだそう。

例えば永子さんは夫に「ねー これここに置いといてってば」と言われたとき「そういって私をいつも責めるよね!!!」「どっか行け!!出てけよ!!」とキレてしまいます。

「お前はダメ」「価値がない」って言われ続けてきて
自分でも知らないうちに心の中が傷だらけで
これ以上自分をダメって思えない底まで到達しちゃったんだ
だから夫にちょっとでも言われると下に落ちるまでに
セリフが変換されちゃって
受け取った心の私にはキョーレツな衝撃となる(p.81)

このとき夫は頼み事をしただけであって、特に責める意図はなかったのでしょう。しかし永子さんは責められた、けなされている、と捉えてしまう。そして永子さんは必要以上にキレてしまうのです。

そんなときは「今ここにいる」ことに意識を集中させると良いのだそう。ただ目の前に見えるものを心の中で言うのです。

例えば・・・
「コップが見える」
「コップにはお茶が入っている」
「机にティッシュが置いてある」
「夫が見える」
「夫が”ここに置いといて”と言っている」
・・・といったように。

こうして”今”に集中すると無駄な怒りがおさまって冷静になれるので、今なにをすべきかが見えてくるそう。先ほどのケースならやるべきことは簡単、「これはここに置く」だけです。

対処法2. 自分の”心”にアクセスする

永子さんはゲシュタルトセラピーの勉強会で「人には『状況』と『心』がある」ということを学びます。

先のケースで言えば

【状況】夫から『ここに置いてほしい』と頼まれキレてしまった
【心】片付けが苦手なのに指摘されるとツラい

といったところでしょうか。

この”心”の部分に注目するのがセラピーの本質。普段の生活ではつい状況ばかりに意識が向きますが、誰かが心に注目してくれると人は癒やされるのだそうです。

心に注目されると「やっと話を聞いてもらえた」「私を理解してもらえた」と気分が満たされ、同じ状況下でも必要以上に怒りが沸かなくなります。

セラピーなどで心を癒やしてもらうほかに、自分で自分の”心”に注目してケアするというのも効果的です。

その秘訣はまず「今ここにいる」を実践すること。

「今ここにいる」と状況とか世間体が削ぎ落とされて自分の素材そのものが見えてくる(p.114)

他にもこんな解説がなされています。

・休む
・「今ここにいる」ようにする
・自分をほめる
この3つを意識していると「心」にピントが合ってくると思います(p.112)

夫にイラついていたあの頃、私は子育てに自信がなかったのだ

このエッセイ漫画を読み終えて、私は自分が産後に夫に猛烈にイラついていた原因に気がつくことができました。

出産と子育ては私にとって長年の夢であり、産後は喜びと幸せに満ちあふれていました。しかし理想と期待が高いぶん、なにをするにも初めてでわけがわからない子育てに不安も大きくなっていました。

あんなに望んでいた子どもなのに、子育ての正解がわからない、我が子が泣く理由すらわからない……そんな現実に自己肯定感を低めていたのです。

そんなとき夫のささいな言葉やアドバイスが、私の心に大きなダメージを与えます。「私なりに頑張っているのに」「どうしてわかってくれないの」と。

しかし表面上は「楽しみにしていた子育てができている私」という状況にあり、子育てへの不安や焦りを認めることができませんでした。自分の心の声に耳を傾けることができなかったのです。

もしキレてしまうことに悩んでいるのなら

泣き喚く、怒鳴り散らかす、人に物に当たってしまう……そんな自分を「ダメな人間だ」と卑下する前に、一度、自分をいたわってみてください。

過去の何らかの経験で傷ついた心が悲鳴を上げているかもしれません。今に集中し、心に注目すると、その傷が癒やされていくはずです。

その方法を詳しく知りたい方は、ぜひこの漫画を手にとってみてください。

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田房永子 著『キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』(竹書房)

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