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愛なんてわからなかった

糖度には肉親に確かに愛された記憶、というものがない
それはきっと、愛されていて楽しかった記憶を辛くて苦しかった記憶が上書きしてしまったんだとおもう
人はなぜだか幸せなことより辛いことの方が脳に刻まれ中々癒えない傷として植わる
そんなことない人もいるのかもしれないが、糖度の周りにはその傾向の強い人が多い
所謂「類は友を呼ぶ」というやつかもしれない

すごく簡単に言えば糖度の母は女で父は男でした
故に子供である我ら(弟がいる)を捨ててそちらへ気持ちが向いてしまったのでした
女(母)はいかにも女って感じのことを吐き捨てた
「この子たちと一緒に死ぬ」
男(父)は面倒くさがりだった
夏になると不倫が止まらなくなったり暴力暴言がひどくなっていたので笑えるがそれを『夏病』と呼んでいた
そんな彼は言った
「施設でよくない?」
端的に双方ともにクソである

当時6歳ながらに必要とされていなくて存在が邪魔であることは二人の顔を見ていたらわかってしまった
わかりたくなかったが、育った環境が環境だったので人の顔色を人の10倍は窺ってしまう変わった子供だったとおもう
なのでわかってしまったわけだ

ショックは感じていないというか麻痺をしていたんだと思うが、祖母宅に引き取られたときは「受け入れてくれる場所があってよかった」とその喜びの方が大きかった
ま、次第にストレスの捌け口の場として利用されるようにはなるわけだが今回の話には関係ないのでまた次の機会にでも

子供に必要な母親と父親が欠落した日常
同級生の話を聞くことがつらかった
母の日も父の日も嫌いで苦しかった
授業参観も親子ふれあい会も運動会も来てくれたのなんて片手に収まる程度
母は新しい男と、父は新しい女ときっとそれはそれはタノシイ日々を送っていたでしょう
私も弟もあんたらに愛されてみたくてなにかと頑張ってみたりした

テストを頑張ってみた
100点
祖母も祖父も私のことはなぜか褒めてくれなかった
父は興味など示さず母には連絡がつかないことの方が多かった
それでも模範的な『いいこ』でいたらいつか愛してもらえるのかもしれない
そう思って問題を起こしたりもしない優等生を演じてきた
褒めてくれなければ、愛してくれなければ意味のない行為だと知りながら
そして同時にその機会は一生来ないということも理解してしまっていた
なので、そこからは意地だけだった

それでも実らない努力もある
あっさり女と男はそれぞれ別の相手と再婚をしてさっさと子供をつくった
わたしたちすらまともに育てていないくせにこいつらはあほだなと俯瞰的にみられるようになった年頃のできごとだった
同じ過ちを繰り返してもきっと後悔もしないだろうし不幸なチルドレンがまた増えてしまったななんて最低なことを考えていた

もうそこからは愛なんてものはないと思って生きることにしていた
ただ告白されたからなんとなく惰性で付き合ってみたり
さして好きでもないのに求められることが嬉しくて愛でもなんでもないただの依存をし始めた
認められてこなかったから、愛されてこなかったから肯定されてこなかったから守ってもらえなかったから
糖度は人一倍欲張り勘違い依存マンになってしまっていた

そして、そんな生き方をしていれば気付かぬうちに心は蝕まれた
おかしいなと思った時には自殺未遂をしていて
死にぞこないの可哀想な人になってた

心療内科へ行ってみて心の病気を患ってますよって言われても
ソッカア…くらいの感想しか出てこなかったくらいにはなんか人生どうでもよかった

そこから紆余曲折あって
まあこれも今度ね

今の彼と出会いました

人に大切にされることに本当に慣れていなくて困惑が強かった反面嬉しくてたまらなくて泣いた日もあったな

まだ愛とかなんとかなにもわかっていないけど
彼が与えてくれるものをそっくりそのまま以上に返していけたらいいなって思ってる

未だに病院通いだし情緒不安定でよく泣くし
わけわからなくなってたまに死のうとしたりするし
波が激しいから急に無気力になってしまったり
ごねまわしてしまったり
そんなことばっかりしているのに
全部包んでくれる彼だけは本当に大切にしたいなって

人生で初めて無意識下に愛してるよって口に出した
自分でも驚いたけど
知らないならこれから知っていけばいいねって
ちょっと前向きになれた自分のことが今は過去よりほんの少しだけ好きだったりする

人は簡単に変われやしないから
きっとこれから幾度もつらくなったりすると思う
それでも一緒に歩んでくれるっていうんだからさ
好きでしょうがないと思ってる

仕事の人間関係で鬱屈としてはいるしそちらに関しては解決もなにもできていないけど彼は私を認めてくれてそばにいてくれるんだから、何も怖いことはないなって少し思ったりした

自分らしく生きるってくっそ難しいんだけどさ
それやってみよっかなって

消えなくて目には見えない傷がいくつもあって
苦しさを常に抱えてはいるけど、糖度も大人になったのかもしれないなあって考える夜でした

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