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ビタミンDとマグネシウムは親友

今回は「ビタミンDとマグネシウムの関係性」について解説していきます。
ビタミンDを摂取しているけどなかなか効果を体感できないという人には時非常に参考になるかと思います。

今回メインに参考にする文献はこちらです。
Dai Q, Zhu X, Manson JE, et al. Magnesium status and supplementation influence vitamin D status and metabolism: results from a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2018;108(6):1249-1258. doi:10.1093/ajcn/nqy274

少しマニアックな内容となりますが、そもそもこのnoteを読んでいる人は相当な栄養マニアだと思いますから問題ないでしょう。

①ビタミンDとマグネシウムはセットで

個人差があるビタミンDの効果

ビタミンDの恩恵は素晴らしものがありますが、臨床的には効果が出る時とでない時の差があります。
実際にも結腸直腸癌や総癌の発生率、骨折などにおいても、ビタミンDの一貫した効果がみられないこともあります。(※1〜3)

ビタミンDとマグネシウムの効果

ビタミンDの効果を感じにくい人は、マグネシウムが不足しいてる可能性があります。

実際に、1.25-ジヒドロヒドロキシビタミンDの減少が特徴とする「Mg依存性D耐性くる病」に対して600000IU以下の筋肉内注射を行っても、血中ビタミンD濃度が改善しなかっと報告があります。
しかし、マグネシウム補給を行うことで血中ビタミンD濃度が正常化することが報告されています。(※4)

つまり、ビタミンDを単体で大量投与しても、マグネシウムが欠乏していると、血中ビタミンD濃度は改善しないことを意味します。

マグネシウムのVD代謝

Mgが欠乏するとVDの血中濃度(25(OH)D)が上がらないのは、MgがVDの代謝酵素の補因子となるためです。実際の代謝マップを見てみましょう。

濃いグレー:非活性化酵素 薄いグレー:活性化酵素


ビタミンDを生化学的に評価するときは「25(OH)D」を指標にします。
つまり、Mgが欠乏しているとVDをいくら摂取しても、代謝されずに効果を発揮しないことが見て取れます。

②マグネシウムがビタミンDを適正値にする

結論

結論から述べると、マグネシウムを補給することによって血中ビタミンD濃度が安定すると考えられます。

今回の研究では血中VD濃度が50ng/mlと被験者にマグネシウムを投与すると24.89ng/mlになり、20ng/mlの被験者は30.95ng/mlになりました。

Dai Q, Zhu X, Manson JE, Song Y, Li X, Franke AA, Costello RB, Rosanoff A, Nian H, Fan L, Murff H, Ness RM, Seidner DL, Yu C, Shrubsole MJ. Magnesium status and supplementation influence vitamin D status and metabolism: results from a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2018 Dec 1;108(6):1249-1258. doi: 10.1093/ajcn/nqy274. PMID: 30541089; PMCID: PMC6693398.

これは血中VD濃度が高い人は血中濃度が低下し、血中VD濃度が低い人は血中濃度が増加したことを示しています。

そもそも、VD血中濃度は50ng/mlほどは欲しいので、これでは足りなくなってしまいます。
この研究ではマグネシウムしか追加投与していませんので、ここにビタミンDも追加投与すればより理想的な結果になったのではないかと思います。

ビタミンDとマグネシウムはセットで摂取する

今回のタイトルでもありますが、ビタミンDとマグネシウムはセットで摂取しましょう。そもそも一般的な食生活を送っていればどちらかが0ということはないでしょう。

しかし、サプリメントを片方しか摂取しないとなるとバランスが崩れてしまうことが考えられます。
そのため、サプリメントで摂取するときは両方で摂取することを強くお勧めします。

特に、SNSなどではビタミンDを高容量摂取している人もよく拝見することからも、ビタミンDのサプリメントを高容量摂取する時は注意しましょう。

参考文献

(※1)Wactawski-Wende J, Kotchen JM, Anderson GL, Assaf AR, Brunner RL, O'Sullivan MJ, Margolis KL, Ockene JK, Phillips L, Pottern L, Prentice RL, Robbins J, Rohan TE, Sarto GE, Sharma S, Stefanick ML, Van Horn L, Wallace RB, Whitlock E, Bassford T, Beresford SA, Black HR, Bonds DE, Brzyski RG, Caan B, Chlebowski RT, Cochrane B, Garland C, Gass M, Hays J, Heiss G, Hendrix SL, Howard BV, Hsia J, Hubbell FA, Jackson RD, Johnson KC, Judd H, Kooperberg CL, Kuller LH, LaCroix AZ, Lane DS, Langer RD, Lasser NL, Lewis CE, Limacher MC, Manson JE; Women's Health Initiative Investigators. Calcium plus vitamin D supplementation and the risk of colorectal cancer. N Engl J Med. 2006 Feb 16;354(7):684-96. doi: 10.1056/NEJMoa055222. Erratum in: N Engl J Med. 2006 Mar 9;354(10):1102. PMID: 16481636.
(※2)Lappe JM, Travers-Gustafson D, Davies KM, Recker RR, Heaney RP. Vitamin D and calcium supplementation reduces cancer risk: results of a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2007 Jun;85(6):1586-91. doi: 10.1093/ajcn/85.6.1586. Erratum in: Am J Clin Nutr. 2008 Mar;87(3):794. PMID: 17556697.
(※3)Moyer VA; U.S. Preventive Services Task Force*. Vitamin D and calcium supplementation to prevent fractures in adults: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. Ann Intern Med. 2013 May 7;158(9):691-6. doi: 10.7326/0003-4819-158-9-201305070-00603. PMID: 23440163.
(※4)Rude RK, Adams JS, Ryzen E, Endres DB, Niimi H, Horst RL, Haddad JG Jr, Singer FR. Low serum concentrations of 1,25-dihydroxyvitamin D in human magnesium deficiency. J Clin Endocrinol Metab. 1985 Nov;61(5):933-40. doi: 10.1210/jcem-61-5-933. PMID: 3840173.

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