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「庄内コラボセンター・ショコラ」豊中南部地域の"(ほぼ)なんでも公民館"でなにができんの?/後編【#とよなかって】【#4】

 皆さん、こんにちは!
【#とよなかって】です。

 今回は独自記事第一弾・後編として、
 2023年2月に設立された、大阪・豊中の南部地域「庄内」にある"(ほぼ)なんでも公民館"「庄内コラボセンター・ショコラ」(以下:ショコラ)について、オープンから約1年間、ショコラでどんなことが行われてきたのか、また、これを読んでくれている「あなた」が、ショコラにどんなふうに関わることができるのか、についてご紹介していきます。

こちらの前編では、ショコラの施設や機能についてご紹介しています。
併せてお読みいただけると嬉しいです。

 本記事の執筆にあたっては、前編同様、ショコラ職員の橋本さん、久野さんにインタビューをさせて頂きました。ご協力ありがとうございました!

【#とよなかって】は、独自の取材による記事や、皆さんが【#とよなかって】を付けて発信してくれた情報のキュレーションを通じて、豊中の魅力を創造/想像・発信するプラットフォームです。


ショコラのテーマ――自己実現のお手伝い


 豊中市南部地域の公共施設の老朽化、教育再編のニーズに併せて、複合公共施設(ほぼなんでも公民館+小中一貫学校である「庄内さくら学園」)として、2023年2月に開所した「庄内コラボセンター・ショコラ」。

 南部地域の課題である「子育て世帯の応援」を中心に、子育て支援センターや市役所の出張所など、様々な専門的な機能をもった場として、また、多世代が交流できる場として運営されています。

 そんなショコラが掲げるもう一つのテーマに「市民の自己実現のお手伝いと、その先にある地域の活性化」があります。

 子育て支援、介護予防など、行政による明確な役割をもったサービスだけでなく、各階のフリースペースや貸室、不定期で開催されるイベントなど、余白ある場での市民による主体的な活動を通じて、地域課題解決、地域の活性化に繋げていく試みです。

 それでは、2024年2月で開館1周年を迎えたショコラが、どのように「市民の自己実現」をサポートしてきたのか、約一年間の奮闘の記録ご紹介していきます。

試行錯誤の一年目

行政が先陣を切る――ブレーカーを落とす公務員

 「市民の自己実現」や「主体的な活動」と一言では言っても、「何かをやってみたい気持ちはあるけれど、何をやっていいかが分からない」という人がほんとんどではないでしょうか。

 そこでショコラは、館長の橋本さんを筆頭に「まずは行政が先陣を切って、なにができるのか、どこまでできるのかを見せていく」ため、開館からスタートダッシュを切っていきます。

こちらは2023年2月の開館式典の様子


 例えば、ショコラのオープニングイベントでは、キッチンカーや屋台が数多く出店し、ホットプレートなどを使って大量の調理が行われていました。 
 そこで早速トラブルが起きます。なんと、調理器具の使い過ぎでブレーカーが落ちてしまったそうです。

「初っぱなから何やってるねんと思いましたね」と、早くも笑い話として語ってくれた橋本さんと久野さん。


 また、地元の有志によって音楽セレモニーが行われたのですが、演奏に使用された大太鼓が想像以上に館の窓ガラスを揺らしてしまい、それ以降「ショコラで大太鼓は演奏禁止」のルールができました。

 このように、ただ場や機能を用意するだけではなく、その中で何ができるのか、どこまでできるのか、その見極めを行政≒ショコラの側が積極的に行っていくことで、ショコラを利用する市民にとってのガイドラインのようなものを急速に整えていきました。

「こういうのはスタートダッシュが大事というか、せっかく何かをやりたい皆さんが、おっかなびっくりで様子見したり、迷っている時間ってものすごくもったいないと思ったんです。だから、『そこを切り拓いていくのは行政の仕事やろ』と、一年目は色々な場や企画を用意して、やや無茶なことにもチャレンジしながら、ラインを探っていきました」

ショコラ 橋本館長

 ちなみに、試行錯誤の結果は真摯に受け止めて反映されていて、初日以降は、大きなイベントの際にも、一度もブレーカーを落とさずに済んでいるそうです。


学校との連携――ショコラは寄り道……?

 こうしたスタートダッシュと種まきの甲斐もあって、新年度が始まる2023年4月頃からは、目に見えて来館者の数が増えていきました。

 時を同じくして、4月からは、ショコラと同じ敷地内に隣接する小中一貫の義務教育学校「庄内さくら学園」が開校しました。

ショコラの正面入口真ん前にある「庄内さくら学園」

 放課後の時間には、図書館や、自習室として開放されている会議室などの設備も相まって、さくら学園に通う生徒を中心に、少しずつショコラに足を運ぶ学生が増えていきます。

 しかし、ここでも思わぬ問題が持ち上がりました。

 さくら学園に通う生徒のうち、小学生低学年~中学年相当の、1年生から4年生までの生徒は、安全のために「放課後の寄り道」が禁止されています。

 「さくら学園からショコラに通うのは寄り道なのか」

 という、一見禅問答のような疑問が、教育委員会、学校、保護者の間で議論されました。

 その際、さくら学園の1年生から4年生の生徒を対象に、ボランティアが学習支援を行う「ショコラ放課後学習支援教室・しょこぺん」という、子どもたちの安全を確保しながら"寄り道"ができるような取り組みなど、試験的に放課後のショコラの利用が開かれていきます。

 結果として「放課後にショコラに通うのは寄り道ではない」という判断が下され、小学校低学年相当の生徒も、放課後にショコラに遊びに来られるようになりました。

 当初は一部の生徒が恐る恐る、様子を伺うようにショコラに"探検"に来ていたようですが、次第に学校で噂が広まり、夏休みが終わった頃には、「ショコラに来ることがイケてる」という「ショコラブーム」が巻き起こったそうです。

 それからは、職員の皆さんの当初の想定を大きく超えて、ショコラは現在、たくさんの小学生の放課後の学び・遊びの場となっています。

 平日の放課後の時間になると、1階のロビー・フリースペースに、ランドセルを抱えたたくさんの子どもたちが訪れ、走り回ったり(?)宿題をしたりしている姿を見ることができます。他にも、中学生以上の学生たちは2階より上のフリースペースなどで自習していることが多く、一つの建物の中に幅広い年齢の学生たちが共存しています。


その他――意外なショコラユーザーも

 当初の狙い通り、子育て世帯の保護者と未就学児のお子さん、また、当初の予想を超えるほどたくさんの学生、介護予防や地域交流に顔を出す高齢者など、多様な層で賑わっているショコラ。

 しかし、他にも意外なユーザー層がいるようです。

「会議室や多目的室などの貸室について、思っていたよりも、地元の企業さんが会議で使ってくれることが多いですね。あとは、どこかで噂になっているのかな、と思うくらい、演劇やミュージカル、音楽の練習に来る方が多いです。もともと豊中・庄内は、近くに音楽大学があったり、駅前で音楽イベントがあったり、あとは近くにあった労働会館でも演劇が盛んに行われていたりと、文化的な土壌がある地域なんです。ショコラの貸室はかなりリーズナブルに利用できるので、そういった皆さんの受け皿として機能できているのならとても嬉しいことですね」

ショコラ 橋本館長


一つの集大成――キッズランドinショコラ


 2024年2月18日(日)、ショコラの開館一周年を記念して「子育て応援フェスタ with ショコラ1周年 キッズランド in ショコラ」が開催されました。

 ショコラのメインテーマの一つである「子育て応援」を中心に、ショコラに関わる老若男女が楽しめる様々なイベントが、ショコラの建物の中、さくら学園との間の広場など、敷地内のあらゆる場でフェスのように開催されました。

1階のスペースで行われていた、地域の子供達のダンスパフォーマンスの観客の様子です。
ちなみにこれは3階からの撮影。1階はパンパン、2階に続く階段にも人だかりができていました。
ショコラとさくら学園の合間には、様々な飲食やキッチンカーが出店していました。
こちらもとんでもない人波です。
こちらはイベントの締めくくりである市民による学校ごっこ「サマセミ」。
「さくら学園」の江原校長と、とよなか地域創生塾の卒塾生が授業を行い、大盛況でした。

 ショコラが開館から取り組んできた「子育て世帯の応援」を、これまでショコラが作り上げてきた"ショコラの関係人口"が一同に会して実現し、また、様々な市民団体、とよなか地域創生塾の塾生など、「様々な市民の自己実現」の場にもなりました。

 まさしく、ショコラの一年間の取り組みが結実した一日だったのではないでしょうか。




これからのショコラと"わたし"

 2023年2月の開館から一年と少し、ほとんどあらゆるサービスが揃ったなんでも公民館+小中一貫の義務教育学校「庄内さくら学園」が一つの敷地に共存する、国内でも珍しい形態の複合公共施設として、ショコラは試行錯誤を繰り返してきました。

 「子育て世帯の応援」と「市民の自己実現のお手伝い」を大きなテーマとして掲げ、ショコラ≒行政が先陣を切ってショコラの使い方を開拓、提案してきた結果、今ではすっかり、地域に根ざした形でショコラの理想の一部が実現されつつあります。

 2年目を迎えるショコラでは、1年目の勢いそのままに、専門性を持った各施設・機能による子育て世帯の応援を中心とした多世代の交流と、市民の自己実現をサポートしていくそうです。

「まちでこんなことをやってみたい」
「こんなことはできるんかな?」

 といった想いを持った方はぜひ一度、ショコラの窓口にご相談してみてください。職員の皆さんが、「自己実現」と「地域のためになること」の落とし所を一緒に親身に考えて、様々なアドバイス・サポートをしてくれるはずです。

 また、令和6年度からショコラでは、市民活動による地域の活性化を応援する「豊中市庄内コラボセンター公民学連携事業」という新たな事業がスタートしました。まちのためになる様々な活動に対し、場所の提供や広報など、様々な面でショコラが連携・協力してくれるようです。

 なんとこちら、個人での応募も可能とのこと。「まちで何かをやってみたい」という方は、これを機会にぜひ、様々なチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。その際にはぜひ、「#とよなかって」にもお声がけ頂けると嬉しいです。



 さて、ここまで、【#とよなかって】の独自記事第一弾として、豊中市南部地域「庄内」にあるほぼなんでも公民館「ショコラ」の施設・機能、活動について、前後編でご紹介してきました。少しでもショコラの魅力が伝わってくれて、2年目のショコラを一緒に楽しんでいけたら嬉しく思います。

【#とよなかって】ではこのように、独自の取材による記事のほか、皆さんがハッシュタグ【#とよなかって】を付けてくれた投稿などをキュレーションし、豊中の魅力を創造/想像・発信していきます。

 あなたの【#とよなかって】投稿をお待ちしています!

 それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

 筆者:増田ひろ


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