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老子と学ぶ人間学⑧ビジネス三元論

老子の考えをビジネスに転換考察してみよう。

老子だったら今の時代どうコンサルするか。
東洋哲理コンサルタント思考の練習だ。

より深く知りたい方は、
老子と学ぶ人間学①~⑦を参照下さい。

1.東洋古典基本理念

東洋哲理の三大思想家とは、
老子・孔子・釈迦。
その中で一番古い時代の人物は、
老子である。

故に、老子の基本概念が、
東洋思想の基本理念といっても良いだろう。

東洋哲理の基本理念とは、
一元・二元・三元論。

「陰陽和して合となす。」

この言葉に集約する。

一元は、絶対不動、絶対不変。

つまり、何があっても動じてはならず、
時代によって、変化してはいけない概念。

それが動いたり変わってしまうと、
どうしたら良いのか分からなくなり、
右往左往してしまう。

変化・革新したければ、
その根源に不動・不変がなければ安定しない。

例えば、地球を一元とすると、

地球自体は自転し、季節により変化するが、
地球は地球であり、
地球がなくなることも、消滅することもない。

いかに環境が破壊されても、
地球は地球であり続ける。
だから、それを害する人間に害が生じるのだ。

根源にある不変の存在を、
老子は「玄徳」と呼んでおり、
玄(深淵のさらなる深淵)にある
「不変の徳」と述べている。

つまり何があっても変化しない、
変わらぬ徳。

そこから、陰陽という対比概念が生じ、
天地人、神・精・気の三元理論が生み出され、
万物、イノベーションが誕生する。

2.ビジネス思考一元論


事業を興す場合、大切なのは、一元だ。

不動、不変の企業理念。
それこそが一元である。

この企業理念は、「絶対不変の徳」でなければならない。

事業を立ち上げる際、
「利益を得ることが目的」ではなく、

その商材が好きだから、
可能性を感じているから、
社会に役立つ活動だから、
生活をよりよくできるから、
みんなに喜んで貰えるから、

など、不変の徳がベースであり、
利益はその徳を実現させる手段である。

その根本理念がないと、こころという不安定要素のモチベーションを持続的に維持することが出来ないのだ。

東洋哲理コンサルタントは、まず最初に、絶対不変の徳という観点から、ヒアリングして、企業理念に落とし込んでいくことから始めよう。

昔の一を得たる者。
天は一を得て以て清く、
地は一を得て以て寧く、
神は一を得て以て霊に、
谷は一を得て以て盈ち、
万物は一を得て以て生じ、
侯王は一を得て以て天下を貞う為り。
其れ之を致すは、一なれば也。
(道徳経 第三十九章)
昔の話だが、一を得た者の話をしよう。
天は一を得たことで清らかになり、
地は一を得たことで安定し、
神は一を得たことで神妙になり、
谷は一を得たことで満たされ、
物は一を得たことで生まれ、
諸侯は一を得たことで、
天下の行く末を任されるようになった。
(超訳 山脇)

全ての始まりは一である。

一から始まるというと、
当たり前のように感じるかもしれないが、
意外とそれが分かっていない場合が多い。

企業理念は、不変の徳に基づく理念でありかつ、

玄(深淵のさらなる深淵)
捉えどころがない、
曖昧なものの方が良い。

玄の又玄は衆妙の門なり。(道徳経第1章)

例えば、投資ファンドの場合、
「お客様に10億円稼がせる」という理念より、
「お客様の人生に最高の付加価値を提供することを使命にする」
とした方が、捉えどころがなく、深淵であり、不変の徳に基づく概念だ。

10億円は、1億円になることも、
10億ドルになることもあるため、これは、不変ではなく相対的概念に過ぎない。

その視点から、
有名企業の理念をみてみよう。

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
(ユニクロ)

「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」
(Amazon)

「より快適な毎日を、より多くの方々に」
(IKEA)

「A Better Life, A Better World」
(パナソニック)

捉えどころがない、
漠然で曖昧な絶対不変の徳ではないか。

中小企業の場合、何となく事業が発生し、起業する場合が多い。
「そもそも企業理念を作成する必要性があるのか?」と疑問に思って作らない場合も多いという。そのため、事業継承の時、何を継承したらよいのか分からなくなる。継承するものは、業績でも社員でも株式でもなく、企業理念。それを無視すると、何をどう継承し、どう発展させたらよいのか分からなくなってしまう。

3.一元が不在だとどうなるか。


一元が不在で、企業理念がない会社は、
時代に応じた変化が出来なくなり、考え方が硬直する。

変化とは、不変のものが根底にあるから、恐れずに出来るのだ。
足元が不安定な状況では、怖くて変化などできない。

理念は、どんな小さなグループにも必要だ。
家族にも理念があった方が良い。
勿論、個人でも。
「理念・志」がある人は、
道に迷った際は、そこに立ち戻ればよいから、
安心して変化しながら、挑戦できる。

4. ビジネス思考二元論

理念を構築、次なるステップが二元だ。

二元とは、
理想と現実
資材と動力(人材)
投資と融資
収益と支出。

相反する、陰陽理論。
これは、真逆の方が、より大きなエネルギーを生じる。

例えば、
理想×理想、現実×現実より、
理想×現実という、対立概念の方が、
エネルギーのあるものを生み出す。

そのギャップを埋めるという感覚ではなく、
そのギャップにより和を生み出すという感覚で、
三元を生み出していく。
三元とは万物を生み出す、イノベーション。

陰陽学的にいうと、
陰(女性)と陽(男性)から生み出される、生命、未来、子供という概念だ。

注意すべきことは、
二元はあくまでも、
一元をベースにして発生するということ。

つまり、企業理念を発展させるには、
どうすればよいか、
二元論で意見を戦わせる。

徹底的に。

戦って戦って、
徹底的に戦わせて、和を生み出す。

だが多くの日本の企業人は、忖度するため、
相反する意見を戦わせることなく、すぐに和してしまう。

「和をもって貴し」というが、
これは、相反するエネルギーを所有する者同士が和することが尊いと言っているのであり、最初から和した者たちからは、貴いイノベーションは生まれない。

反対意見を言うと、「空気が読めない」と言われ、
「その意見いいっすね」という感じになり、
戦う前から和合してしまう。

そうなると、尖がったイノベーションなど生まれない。

認めてあげないと、社員のモチベーションが下がるだの、褒めて育てないと社員が育たないと言っているから、革新的アイデアが生まれないのだ。

人の不善なるも、何の棄つることか之有らん。(道徳経六十二章)
会議で「空気を読まない」「何だか違う」と思う意見が出ても、
同じ理念のベースにある以上、
その意見を棄て去ることなどしてはいけない。

5.イノベーションを生み出す三元論

素材を一元(理念)としたら、
動力が、二元だ。

動力なので、
水と植物という温和な組み合わせより、
水と火という、真逆なものをぶつけ合った方が、
当然ながら、高いエネルギーが発生する。

ここで注意すべきことは、エネルギーが高ければ良いというのでもなく、時と場合、目的と時期、人材により使い分ける。

本当に事業を変革したければ、
高いエネルギー
ある程度で良ければ、
低いエネルギー

そのバランスをとりながらぶつけあわないと、
爆発して終わってしまう場合もあるし、
何度会議を行っても、平行線で終わってしまう。

調整力と相反する意見を和する構成力こそ、リーダーに必要な能力だ。
その際、彼らのツールとして、暦学が大いに活用できる。

最初にデザインした変革レベルを計算しながら、部下の性格をくみとり、
意見が言い合える環境を作りながら、
巧みに誘導して、議論を白熱させる。

それを冷静に観察し、
その意見の中から、プロジェクトを構成する。

素晴らしい技術、アイデアがあっても、
調整力、構成力が弱いと、具象化までもっていけない。

これを三元論ビジネス思考という。

道の物たる、これ恍これ惚。
恍たり惚たり、その中に物有り。
恍たり惚たり、その中に像有り。
窈(よう)たり冥(めい)たり、
その中に精有り。(第二一章)
見ることも、聴くこともできない。
五感で感じることのできない、
おぼろげなもの、そこから有を生み出す。

一切の束縛から解放されたという安心感、
生きている充足感の中に、
とらえようがないが、
その中に核心がある。
その核心は混じり気のない本質で、
その中には真実がある。

二元とは、陰陽。
沖気(真逆の気)でもって和となす。

100人の賛成者がいて、
同じく100人の不賛成者がいる。
その意見を戦わせた中に、一元(理念)を達成できるアイデアがある。

6.革新的イノベーションより、
漸進的イノベーションが成長を促す!


100の新しいアイデアに、
100の後退的考え方、例えば過去のデータや経験値を組み込ませることで、三元論、新しいアイデアが生まれる。
または、その逆。
100の従来の考え、伝統の中に、
100のアイデアを組み合わせても良い。

文部科学省科学技術・学術政策研究所によると、競合他社でさえ手掛けていない新しい製品やサービス「革新的イノベーション」は、確約された需要が無く、市場をつくる効果が小さいため、長期的には企業成長に繋がるだろうが、短期的な企業成長への効果はないという。

故に、これまで実際に企業成長と関係していたのは、既存製品の改良や改善に努める「漸進的イノベーション」だったデータから結論づけている。

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一元が、不変の理念
「東洋哲理で世界を繋げる」

二元が、メンバーの多様性
日本の各地と上海を繋ぎ、
東洋哲理コンサルタント養成を目指している。

そこから、三元
その中から何を生み出すか。東洋×西洋、過去×未来
真逆のものの方が面白い!

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