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ASDに海外移住はできるのか?を考える

最近、海外に移住することを割と真剣に考え始めている。

パスポートもなく、海外へ行ったことすら一度もない自分にとって、海外移住は夢のまた夢という話だが、今回はASDに海外移住はできるのかを考えて行きたい。

ASD要素が最大の壁

まず、海外移住する上での壁は、「ASD要素」である。
よく、「発達障害のある人は日本だと生きづらい
(ゆえに、海外だと生きやすい?)」と言われる。

もちろん、日本には、誰もが皆同じようになることを是としている文化があるため、世の中の異端者たる発達障害当事者が生きづらいのは確かだ。

しかし、だからといって、海外に行けば生きやすくなるとは到底考えられない。

その理由は、海外の「ASD当事者の就業率の低さ」にある。

例えば、英国に拠点を置く慈善団体「Autistica」の公式Webサイトに掲載されている記事を見ると、

ASDは全ての障害種別の中で、最も就業率が低い(その値は、約20%)ことが紹介されている。

日本は発達障害者に厳しい社会であり、当事者への風当たりも強いが、
(特にインターネット上では)
「障害者雇用」という制度のおかげで、職を得ること自体はそれほど困難ではない。

一方、他国では障害者だけを特別に雇用するという制度に乏しく、ASD当事者が労働市場で置き去りにされてしまっている。

ASDに優しい国というと、米国が思い浮かぶ人も少なくないと思うが、米国でも「優秀なASD者」以外は見向きもされていないというのが現状だろう。

つまり、ASD者が海外移住した場合の最初の課題は、
職を得る⇒経済的自立」の達成であると考えられる。

次なる課題は、ASD特有の「環境変化への不適応」にどう対処するかという問題だ。

ASD者は周囲の環境の変化に敏感であり、急に変化が起こると精神状態が不安定になりやすい。

私も、大学入学時の関東移住や卒業後の札幌移住時など、様々な場面で引っ越しを経験してきたが、その度に精神が不安定になった。

同じ国内での引っ越しでも不適応を起こしやすいのに、海外への移住なんてできるのだろうか。

言語も風景も、場合によっては人の肌の色も違う。
そんな海外にいきなり飛び込めば、海外経験がない人ほど、不適応を起こしやすくなるだろう。

言語の壁

日本語が公用語の国は、事実上日本しかない。
すなわち、海外へ行くということは、日本語でない別の言語を使わなければならなくなるということである。

外国語といってもさまざまあるが、もっともポピュラーなのが英語だろう。
米国や欧州各国、オーストラリアはもちろんのこと、アジアでも英語が通じる国は非常に多い。

私は英語に関してはそれなりの実力を持っていると自負しており、現に英語を使って仕事上のやり取りをすることも頻繫にある。

TOEICで800以上の得点を出したこともあり、大多数の日本人と比べれば英語はできると言って良いだろう。

しかしながら、それでも海外で英語のやり取りができる自信はない。
それは何故かと言うと、私はライティングやリーディングはだいたい不自由なくできるが、リスニング (Listening) やスピーキング (Speaking) は全然できないからである。

スピーキングが苦手なのは、ASD気質がそもそもの原因だと考えることはできる。
正直言って、私は日本語でも人との口頭コミュニケーションに苦労することが非常に多い。
ただ、日本語の場合、リスニングは当然問題ない。
(聴覚情報処理障害の疑いはあるが、それでも9割以上は聞き取れる。)
そのため、多少会話に窮したとしても、何とか取り繕うことはできる。

一方、英語の場合、そもそも相手(特にネイティブ)が言っていることの半分以上は聞き取れないため、会話の要旨が掴めず、コミュニケーションに苦労することになるのは容易に想像できる。

住むなら、どの国を選ぶか

ということで、ASD者である私が海外へ移住するのは、非常に難しいということを長々と書いてきた。

海外移住は不可能に近いことだが、仮に移住ができたら、どの国に行きたいかを考えてみる。

私がチョイスしてみたいのはシンガポールカナダオーストラリアニュージーランドの4国だ。

まずシンガポールについて、良い点は、「日本から近い」「治安が非常に良い」「経済的に豊か」「アジア人が多い」という点がある。

ただ、移住のハードルが非常に高い国でもあるため、私程度の人間が住むことはほとんど考えづらい。

カナダについては、欧州やアメリカと比べて経済格差が小さく、治安が良いイメージがあるのと、気候が(現在住んでいる)北海道に近いという点がメリットになる。

オーストラリアやニュージーランドは、日本との時差が少ない点や、日本からの留学やワーキングホリデーの目的地として比較的ポピュラーである点がメリットになる。

移住したい場合の現実的な方法

海外旅行経験もない、伝手もない、外資系企業勤務者でもない、そして定型発達者でもないASDの自分が海外移住をするなら、どんな現実的な方法があるのだろうか。

おそらく、最も現実的な方法は、「ワーキングホリデー」制度を通じて海外に行くことから始めることだろう。

ワーホリは20代だけの特権なので、もし行くのであれば早めに行動に移さなければならないが、できるのかどうかははっきりしない。
とりあえず、情報収集をすることからやっていこうと思う。

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