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ウルトラマラソンや、ウルトラトレイルにおいて、ケトン体を使用して走ること

Trail Runner Magazineに載っていた記事をまとめて訳しました。
https://www.trailrunnermag.com/nutrition/racing-on-ketones/


ケトン体はグルコース(糖)が制限されるか利用できないとき、体にとって代替のエネルギー源として機能します。これは高脂肪・低炭水化物(HFLC)ダイエットを実行するか、外因性のケトン体サプリメントを摂取することで達成されます。


1. ケトジェニックダイエットと外因性ケトン体サプリメント

ケトジェニックダイエットは、非常に低い炭水化物摂取(通常は1日あたり50グラム未満)や極度のカロリー制限、断食が必要となりますが、外因性のケトン体サプリメントは摂取後30-60分で血中ケトン体レベルを上昇させます。

2. 高脂肪・低炭水化物(HFLC)ダイエット

典型的なHFLCダイエットでは、総日常摂取カロリーの20-30%未満が炭水化物によるもので、脂質摂取が約50-70%を占めます。炭水化物摂取の減少は肝臓がケトン体を生成し、体のエネルギー源をグルコースから脂肪へと変化させます。ダイエットに関係なく、マラソンやウルトラマラソンに向けての長距離走の副産物として発生する場合もあります。

3. HFLCダイエットのデメリット

低炭水化物ダイエットをしている選手は、高強度のエネルギー出力、免疫機能の低下、感染症への感受性が高まる可能性があると報告されています。

4. ジェフ・ブラウニングのアプローチ

彼は基本的にはケトジェニックダイエット、つまり低炭水化物・高脂肪の食事を心がけています。しかし彼は、レースの前後だけでなく、日々の訓練期間でも一定量の炭水化物を摂取します。これは、身体のケトーシス状態を維持しつつも、一定量の炭水化物摂取によって筋肉のエネルギー貯蔵、つまりグリコーゲンを十分に確保することを目指しています。彼のアプローチは、体が効率的に炭水化物と脂肪の両方をエネルギー源として利用できる状態を達成することであり、様々な距離と地形のレースに対応でき、身体がエネルギー源を切り替える能力を最大限に活用することを可能にします。また、彼はレース期間中の炭水化物摂取についても、適切な量とタイミングを見極めることで、体力の持続と速度の維持に役立てています。つまり、彼のアプローチは、炭水化物と脂肪のバランスを最適化し、トレーニングとレースのパフォーマンスを最大限に引き出すことに焦点を当てています。

5. ザック・ビターのアプローチ

彼はトレーニングのフェーズに応じて炭水化物の摂取量を調整します。彼は、基本的には低炭水化物・高脂肪の食事を心がけますが、高強度または長時間のトレーニンを行う前後には、炭水化物を摂取します。これは、体内のグリコーゲン貯蔵量を適切に維持し、エネルギー補給と回復を助けるためです。彼は、炭水化物摂取の「タイミング」が非常に重要だと考えています。これは、炭水化物を適切なタイミングで摂取することで、体がケトーシス状態とグリコーゲン燃焼(つまり炭水化物をエネルギーとして利用)の間で効率的に切り替える能力を高めることができるという考え方に基づいています。また、彼は長時間のレースでは、特にエネルギー需要が高まるタイミングに炭水化物を摂取することを推奨しています。

6. ケトジェニックは万能?

栄養士のジュリー・ショーブは、マクロ栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)のバランスの取れた摂取の重要性を強調しています。あるマクロ栄養素の摂取を過剰に制限することは、他のマクロ栄養素の摂取が適切であるかどうかにかかわらず、パフォーマンスと健康を妨げる可能性があります。

研究では、ケトン体を用いたダイエットは一部の人々にとっては有益であるが、全員に適しているわけではないという結論が示されています。個々の状況、目標、トレーニングと競技のニーズに基づいたアプローチが最も重要であると考えられています。

7. 感想

・私は厳格な高脂肪・低炭水化物ダイエット(毎日糖質10g以下)からスタートしてケトジェニックを始めた。最初はかなりきつかったが、1ヶ月で脂質代謝で走れる様になった。

・今は主食はとっていないが、炭水化物:脂質:タンパク質の比率を2:4:4くらいを意識して食事をしている。

・この記事で紹介されているジェフとザックのアプローチはとても納得がいく内容だった。脂質代謝か糖質代謝かという2択ではなく、両方をハイブリッドに使いながら、パフォーマンスを上げていけるからだ。つまり、一度脂質代謝の回路を開くことができると両方を使うことができるということ。大量ジェルや糖質をたくさんとって、胃腸トラブルになるリスクを大きく下げることができる。

・1ヶ月後の100マイルレースでは攻めたレース展開にしたいので、糖質も上り坂手前30分くらいで摂取しながら、プッシュしていきたい。

・ケトジェニックだからといって、ずーっと糖質を制限する必要がないというのは、かなりハードルが下がるのではないでしょうか。


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