本。知的複眼思考法

今日は本の話。『知的複眼思考法』(刈谷剛彦、講談社+α文庫)を読んだ。

やっと読み終わった。「終わったー!」という気持ちと、「終わってしまったのか…」という気持ち。半々くらいだろうか。

実はこの本、数ヶ月前のKindle Unlimited今月末終了タイトルである。面白そうだなと借りて数ヶ月。ずっと借りた本の中にあった。「思考法」に関する本だけに読者の思考力も問われる内容で、さらっと読み進めることができなかったのである。疲れた頭で読む本ではない。自分の思考能力に余裕のある時にちょこちょこと読み進めていくこととなった。結局こんなに時間がかかってしまったわけだが、毎月の終了タイトルの波にのまれず途中で返却することなく最後まで読み切れたのは「良かった」の一言。それだけの価値があったと思う。

この本はタイトル通り、「複眼思考」を身につけるための本である。本の中では「常識」や「ステレオタイプ」にとらわれたものの見方・考え方を「単眼思考」と呼び、それに対して「複数の視点を自由に行き来することでひとつの視点にとらわれない思考」を「複眼思考」と呼んでいる。

ひとつの物事をただそのまま「ああ、そうなんだ」と受け取ってしまうわけではなく、それを疑ってみる。他の見方はできないかな?と考える。そんな考え方のヒントを沢山書いてくれているのが本書である。

疑う、問題を細かくしてみる、逆の立場から考えてみる、ぼんやりとした言葉を使わず、もっとはっきりした定義で考えてみる、などなど。ひとつの問題を考えた時に「これが原因ではないか?」「だからこうしたらいいのではないか?」とつい答えを急いでしまうが、本当に原因はそれなのだろうか?他の要素は絡んでいないのだろうか?もしかしたら他の要素の方が重要かもしれず、それならば最初に考えた解決法は的外れになってしまう。ひとつの事柄をほぐして考えて読み取っていく。「考える」という行為のいろんな可能性が見える本だった。

元々、本の内容や本を出すきっかけに大学での講義があったらしく。何となく大学時代を思い出せる本でもあった。高校時代までのただ言われたことを覚えて勉強するだけの世界から、自分で自由に考えられる世界へ入っていったあの感覚を思い出した。

「考える」ってとても面白いことなのだ。物事の本質を「こうかもしれない」「ああかもしれない」と考えるワクワク感。考えることにじっくり向き合う充実感。そんなことを思い出させてくれる本だった。

万人にはオススメできないかもしれないが、個人的には読んで良かったし、考えることが好きな人は読んでみてもいいと思う。物事の新たな見方・考え方を知って世界が広がるかもしれない。


ではまた明日。


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