見出し画像

男が音大に入って、どうやって奥さんと子どもを養っていくの?と本気で言われました。

以前音大の話をこのブログに書いたことがあります。

ご興味ありましたらぜひお読みください。

これらの記事を書いていていろいろ受験生だった頃を思い出しました。

僕の場合、音大を受験しようとして最初に伺ったのがピアノ教室でした。当時高校入学してすぐくらいだったと記憶しています。自宅からすぐ近くのいわゆる自宅を改造した街の個人ピアノ教室で、中学校の時に友人がそこに通っていたことから紹介してもらいました。

当時は音大受験にピアノは必須で、入学してからも全ての専攻でピアノのレッスンは必修です。なのに僕の場合小学生の時まではピアノにほとんど触れたことがなく、中学生になって久石譲さんの曲が弾きたくてしかたなくなり、楽譜を買い、電子ピアノを購入してもらって独学で弾きまくっていました。

そんな経験があったからか、簡単な楽譜であれば少しだけ弾けたので、ピアノ教室の一番最初のレッスンで持参するよう言われたバイエルをその日で全て終わらせるという猛烈なスタートダッシュをキメたわけですが、音大受験のために習いたいとピアノの先生にお話しした時、ちょっと大変でした。

まず最初に言われたのが

「やめたほうがいい」

でした。その理由は「男だから」

なぜなら「男は将来結婚して奥さんと子どもを養わなければならないのに、音大を出ても音楽で食べていくことなんて無理だから」

音大を出て音楽家にはなれない
音楽以外の仕事に就くのに音大に行く意味がないし、むしろ不利

そんなことをたくさん言われましたが15歳のボクはその言葉の重さをまるで理解できなかったし(音大に入ることも、音大の中のことも、ましてや音大を卒業してから結婚すること、家庭を持つこと、仕事をすることのビジョンなんてまったく持てませんでした。)

このピアノの先生は当時すでに結構高齢の女性で、女子大の音楽科を出ていた方なので、今考えてみればそんな発想を持つのも無理ないかもしれません。

しかし、ここまで言われちゃうと逆にやる気に火が着いてしまうアマノジャクな性分なので「おう!やってやろうじゃんか!!」とジャイアンの如く(心の中で)叫び、猛烈に練習や受験のための勉強をするようになってのバイエル即日終了だったのです。
心に火をつけさせるための「音大諦めろ」発言だったとしたら先生は策士ですね。

という30年前の話でした。

そして時代はだいぶ変わりました。

今は男女と就職の優劣は少なくなってきましたし、結婚したら男が女を養うというサザエさん的構図もすでに崩壊しています。
音大に入ったからといって一般就職が不利になることもありませんし、そもそも音大は音楽家養成学校という枠組みは今まで通り用意しつつ、それだけではないもっと広い視野で音楽に関わる研究ができる機関に変化しています。

音大生は一般大学の学生にくらべるとコミュニケーション能力や、周りの状況をいち早く察する力が強い傾向にあると聞いたことがあります。音楽をやっているからこそ身に付く社会で必要なスキルのひとつです。

音大に行ったからと言ってその後の人生が不利になることはありません。結局はどの大学に行っても自分の努力次第なのです。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。