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そこにあったのは、一人一人の物語への愛だった #いだてん #いだてん最高じゃんねえ

先週、ついに1年間見続けた大河ドラマ『いだてん』が終わってしまいました。とても悲しい…ぼくはいだてんロスです…

『いだてん』はぼくにとって、初めて1年間見続けた大河ドラマになりました。基本的に飽きっぽくて習慣を作るのが苦手なぼくが、1年間同じドラマを見続けたことって、本当に奇跡に近くて。それは、この作品が本当に本当に面白かったからです。

ぼくは、全力で『いだてん』の面白さを伝えたい。みんなに知ってほしい。

そんな思いを込めて、今回は『いだてん』への愛を全力で語りました。ぜひ読んでください

一人一人の物語への愛と敬意が込められた作品

タイトルにも書いた通り、『いだてん』の一番の魅力は、一人一人の物語への愛があること

歴史という大きな物語の中で描かれる登場人物一人一人。

彼ら、彼女らを演じる役者一人一人。

そんな一人一人の物語に対する愛と敬意が込められた作品だったなと、本当に感じています。

少し詳しく、どんな風に一人一人の物語への愛が込められていたか、書いていきます。

名もなき敗者たちの物語こそが、歴史を作っている

『いだてん』の主人公は、日本初のオリンピック出場者でマラソンランナーと金栗四三(中村勘九郎)と、1964年の東京オリンピック招致の立役者となった、田畑政治(阿部サダヲ)の二人。

 こんな風に書くと華々しい経歴を持っているように見える主人公の二人ですが、どちらもわかりやすく成功していないのが、『いだてん』で特筆すべきところです。

金栗四三は、はじめて出場した1912年ストックホルムオリンピックを、熱中症で途中棄権。その反省を生かし、次のベルリンオリンピックは、4年間みっちり練習し、自他共に認めるほど万全の状態を整えたものの、第一次世界大戦の影響で中止に。その後も、非公式の大会では世界記録をマークしながら、三度出場したオリンピックでは一度も好成績を残せていません。

田畑政治は、長年東京オリンピック招致に尽力し続け、あの手この手を使ってようやく1940年の東京オリンピック開催を掴み取るものの、第二次世界大戦の影響で、返還を余儀なくされます。その後の1964年東京オリンピック招致には組織委員会事務総長として中心的な役割を持ちましたが、オリンピック直前に政治的な策略によって失脚することになります。

主人公は二人とも、わかりやすい成功は手にしていない。見方によっては、敗者とも言えるんです。

そして『いだてん』では、時に悲惨な歴史、辛い史実に触れながら、たくさんの敗者の物語が描かれます。

オリンピック出場を目指してトレーニングし続けるも、第二次世界大戦の学徒出陣によって出兵し、命を落とした小松勝(仲野太賀)

日本人女性初のメダリストとして持て囃され、過度なプレッシャーを背負い無理な練習をし続けた結果、24歳の若さで亡くなった、人見絹枝(菅原小春)

東京オリンピックの代表選考会では落選するものの、原爆投下の日に広島で生まれたことを理由に最終聖火ランナーに抜擢され、「アトミックボーイ」「8月6日」などとメディアに祭り上げられ思い悩む坂井義則(井之脇海)

政治的な理由で、開始直前に東京オリンピックに参加できないことがわかり、そのまま帰国せざるを得なかったインドネシア選手団

有名・無名、史実・フィクション関係なく、一人一人の敗者の物語を余すところなく掬い上げる。丁寧に描き切る。そしてそれらが折り重なって、一つの大きな歴史物語が生まれる。

それはまさに、「大河」と呼ぶには相応しいものではないかな、と思っています。

掘れば掘るほど深まる、史実の面白さや伏線

『いだてん』のもう一つの魅力は、掘れば掘るほど面白さにどんどん気づけること。

『いだてん』にはかなり史実とフィクションが混ざっていて、それらの明確な区別はありません。(普段大河ドラマを見ないので、これが大河にとって普通なのかはよくわかりませんが)『いだてん』で描かれるたくさんのエピソードの中には、「冗談みたいな本当の話」がたくさん含まれているんです。

どこまでがフィクションで、どこまでが史実かは、作品の中で明確には語られません。だからこそ調べていくと、「えっあれって本当のことなの!?」「実はこんなこともあったんだ!」という驚きがあるんです。

さらにい『いだてん』には、製作陣の遊び心がふんだんに含まれていて、それも気づけば気づくほど楽しいポイントです。

例えば、オープニング。こちらのツイートを遡っていただければ細かくわかりますが、全47話内で何度もオープニング映像が変わっています。大小合わせて、そのパターンは27種類。このこだわりは本当にすごい。

また、配役にも製作陣の遊び心を感じる時もしばしば。どの配役も、本当に素敵で、こんなに配役に感動したのは初めてでした。

それは例えば、北島康介さんや菅原小春さんといった、決して俳優経験が豊富な訳ではない方々の起用。役者のキャラクターやバックグラウンドと、演じる役が絶妙に重なる配役です。

また、以前の大河ドラマに被せてきたり、妊娠した川栄李奈さんを自然な形で妊婦として登場させたり。役者への愛も感じられる配役です。

大河ドラマは、歴史とフィクション、現実と演劇が重なる作品。そこにあるたくさんの物語の橋渡しをする際に、直接語られない、でも愛のこもった意図がたくさんあるからこそ、掘れば掘るほど楽しめる作品になっているのだと思います。

SNSでの盛り上がり、めっちゃ楽しい

最後に、『いだてん』はSNSでの盛り上がりが本当にすごかった!これも普段の大河と比較することはぼくにはできませんが、 #いだてん を覗くと熱烈なファンの人がたくさんいて、みんなで見ている感覚を得られました。

視聴率としては決して奮わなかった『いだてん』ですが、だからこそぼくはTwitterでの繋がりが嬉しかったです。

そして、ここまでにもたくさん引用させてもらったように、Twitterでみなさんがいろんな知識や視点をくれることで、理解が深まったり、伏線に気づけたり。おかげさまで何倍も『いだてん』を楽しむことができました

個人的には、公式Twitterの運用がうまかったのが一つ要員としてあるかなあと思っています。放送後に役者さんや製作陣のコメントをツイートしてくれたり、「実はあれは史実で…」的なネタバラシがあったり。

そして『いだてん』公式のSNSでもう一つ素晴らしかったのが、Instagramのアカウントです。

この公式Instagramにアップされる写真が、どれも本当に美しくて…!役者さんたちの自然な笑顔や、真剣な眼差しが引き出されています。これは言葉で伝えるより見てもらった方が早いので、ぜひ覗いてみてください!ぼくの推しを一部ピックアップ。

SNSを通しても、製作陣の方々がこの物語を、役者の一人一人を愛していることが伝わってきます。それによって、週に1回45分に止まらない『いだてん』体験ができ、その魅力は何倍にも深く広くなったように感じています。

まだ間に合うじゃんねえ!

「そんなこと言われても、もう終わっちゃったし…」

そう思ったみなさん。安心してください。

例によって総集編の放送が年末にあります!!!👏

12月30日(月)
午後1:05~3:20 〈第1部〉前・後編
午後3:25~5:40 〈第2部〉前・後編

また、NHKの公式YouTubeからは、各回が5分でまとまった動画「5分で『いだてん』」がアップされています。そちらもぜひチェック!

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