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生きにくい稼業の中で。 ~ 舞台 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第8弾 東京喜劇「任侠サーカス ~キズナたちの挽歌~」 ~

一度「熱海五郎一座」の舞台を観てみたいと思っていました。

先月くらいに浅野ゆう子さんがラジオのゲストで登場された時のお話を聴いている最中にポチっとな。

演者さんのお話を聴くと、触手が動きますね。



電車を乗り継いで開場時間のちょっと前に新橋演舞場へ到着すると、ズラーっと列が出来ていました。

今回はジャニーズの塚田僚一さんが浅野さんと一緒にゲスト出演となっているためか、ファンの方の年齢層がやや若いような。

前回、新橋演舞場に足を運んだ際の客層とは、やや違う・・(失礼!!)


列の最後列に並びに行かずに、道路沿いで二宮金次郎状態で読書をしつつ待っていると、本を掠めるようにスズメが道路へ転がって行き、止まっていたタクシーのタイヤ前で動けなくなってしまいました。

拾わないと轢かれちゃう・・と、本を仕舞って少しタクシーへにじりよると、演舞場の職員の男性が「あ~、そっちは危ないよ~」と、スズメをヒョイっと掴むと、演舞場の敷地にある植木の中に逃がしてあげていました。

心温まる光景に、見ていた自分も含めて、安堵の溜息が渦巻きました、良かった、良かった。
(プチ人情の舞台を観た気持ちに)

列の最後部の後が見えて来て、シュっと並んで館内へ。

席は真ん中から少し右よりの12列目、なかなか良い席です。

会場から入場までが30分しか無かったせいか、ほぼ待つことも無く開演となりました。



ネタバレ要素があるので、観覧予定の方は後日にお読み頂けましたら!


ストーリーは・・・

熱海組というヤクザの組と沼津組との抗争を中心に進みます。

熱海組は組長がラサール石井さん、組員に若頭の三宅裕司さん、小倉久寛さん、他2名。トップ3名の高齢化が著しく、ご時世により若い構成員加入の目途がつきません。

ケツ持ちをしているクラブで、三宅さんの出所祝いをしているところへ、沼津組が組長の浅野ゆう子さんを筆頭に、若頭の渡辺正行さんと複数の構成員と一緒にやってきます。

クラブのケツ持ちを変わるように迫りますが、もちろん石井さんは断ります。これをきっかけにクラブの中で抗争が勃発。そこへ春風亭昇太さん、東 貴博さん扮する暴対の刑事たちがやってきます。抗争していることを隠すために、「ちょっとした演技(斬新でした)」で摘発を逃れます。


若頭の三宅さんは組長より年上の82歳ですが、組長になる気マンマン。
しかし、三宅さんに継がせる訳に行かず、そこで浮上するのが、小倉さんの娘が交際している「アウトローな彼氏」こと塚田僚一さん。
小倉さんによる塚田さんの「アウトローエピソード」が、あまりにもヤクザ向きということでスカウトに走ります。

フタを開けたら、小倉さんの思いっきりな聞き違いで、塚田さんは「とても気の良いサーカス団員」と判明。すったもんだがありつつ、唐突に「塚田組長」が誕生することになってしまいます。サーカス団員と組長の二足の草鞋を履くことに。


ここから沼津組との抗争は深まっていきますが、塚田組長の思いがけない「サーカス団員」としての特性が生かされまくって、困難をクリアしていきます。

そこへ昇太さんの「危険なロマンス」や、浅野さんの過去の悲しい出来事が、抗争を思いがけない方向へ導いていきます。


笑点や色々な場面でお馴染み?の昇太さんのセリフの噛み噛みっぷり、塚田さんのさすがジャニーズ!!といったダンスやアクロバットのしなやかさ。
浅野さんの思い入れたっぷりな歌唱、渡辺リーダーの滑っているようで、かろうじてなコミックシーン。
忘れてならない、石井さんを筆頭とした「高齢3人衆」の聞き間違い、言い間違い、老体への鞭打ちといったベタなやりとり。

時事ネタが随所随所にちりばめられた演出に、ついついププっと、そしてアハハっと笑ってしまいますが、義理人情の側面もあり、今も昔もかもしれませんが、任侠の生きにくさ存在悪なども何となく考えるものがありました。

完全な勧善懲悪の形では無いにしろ、スカっと爽快感あるラストシーンでした。「幸せになっておくれ・・・」と思わずにいられないような。


カーテンコールは1回とのことで、メインの演者さんたちが、演じるに当たっての役への向き合い方だったり、他の演者さんの印象などを面白おかしくたっぷりお話して下さり、こちらもとても楽しかったです。
演舞場の劇場の特性として「花道」もふんだんに使用されていて、「花道」の上でのセリフについては「例のアレ」対策として楽しい演出がありました。

場所が銀座に近く、楽しく観劇した後は、銀ブラも良いかもしれません!


舞台の日程がまだ続くようなので、宜しかったらぜひ足をお運び下さい!

ホっと笑える優しい舞台です。


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