椿えりです

遠出するのは好きですが
日本にいる頃から
働き詰めの人生でしたので

行ってみたい場所はたくさんあるけれど
まだ殆ど訪れる機会を持てずに
今日まできています

幾つか死ぬまでに行ってみたい場所がありますが
その中でも高知県いの町（吾川郡）に流れる
八田堰のある仁淀川のほとりには
今生一度は自分の足で立ち
その景色を目にしたいと思っている場所です

私は戦争を知らない世代で
終戦前に誕生した両親と
戦禍を殆ど影響しなかった
地方の村で生き抜いた祖父母たちからは
リアルな戦争の話を聞くことなく育ちました

とはいえ学校でも戦争の歴史は学びましたし
毎年新聞では帰国された
中国残留孤児の方々の顔写真と情報が
１、２面を埋め尽くされていた時代で

子供心に「戦争を知らない」ことの
後ろめたさのような感情を抱えている
ところがありました

日本は平和だけれど
世界中のどこかで戦争があり
今日を明日を生き切れるか
わからない状況の中で
暮らす人々がいると思うと

ただ私の生きる場所では戦争がないから
平和だからそれでいいじゃないか
とは思えず
でも体験談を聞かせてくれる親戚や
祖父母はすでに他界していて

私たちの世代は
ではどうやって
「戦争は良くないことだから
それを次の世代に伝えていけるだろうか」
ということがどこか頭の片隅に常にあり

2001年にアメリカ同時多発テロが発生した時
当時4歳の甥っ子が
不安と幼子なりの理解から
「大人はひどい戦争するなんてこわい」
と顔を赤くして私にしがみついたことから
いよいよ「私は知らない」ではいけない
この小さい甥っ子に
「戦争はしてはいけないのだ」と
どれくらい確かに自分の言葉として
伝えられるだろうか？と
思い悩んでいた頃

宮尾登美子さんの
「朱夏」に出会い

その年から毎年
終戦の頃にこの本を読むことに
しています

この世にはきっと数えきれないほどの
戦争体験に関する本が存在していると思います

戦争を知らない
周りに戦争体験を話してくれる大人がいない
としても
宮尾登美子さんのように
記録として残してくれている本がある

そこから学ぶことはできる
そこから自分なりの解釈をして
本の中での疑似体験をして
戦争はいけないことだ
殺し合うことは間違いだ
と自分の言葉で次の世代と語り合う力になる
そう思っています

私の場合はこの一冊と「仁淀川」を
何度も何度も読んでいて

そうするうちに作中で登場する
仁淀川の存在感が
私の中では読み重ねるごとに大きくなり

主人公の綾子が満州からいのち辛々帰国して
故郷の仁淀川の岸に立ち
「帰ってきたのだ」と
生きていることを
確かに感じているそのひと時を
自分の中で疑似体感するたびに

まだ見たことのない
蒼く透き通る大きな大きな仁淀川を
私もいつかこの目で感じてみたいと
憧れの思いが募ります

作中で綾子は

とありますが
私も日本を離れて20年
里帰りの飛行機の窓から
視界遥か下の方に北海道が見え始める時
この箇所が思わず脳裏に浮かび
鼻の奥がツンとなる感覚を味わいます

私は九州は鹿児島生まれで
桜島をこよなく愛する一人ですが

私も到着が日中であれば
迎えに来てくれる家族にお願いして
国道１０号線を走ってもらい
桜島の姿が視界に入った時に
胸にグッとくる感覚を毎回味わいます
綾子の「安堵」ときっと同じだろうと
勝手に重ねてしまいます

ロシアとウクライナの戦争が始まった頃
ウクライナ出身の職場の同僚が
ウクライナに残る家族を呼び寄せるため
学校で募金活動を行ったことがありました
泣き腫らした目で
真っ青な顔をして
普段はおしゃれを楽しんでいた彼女が
校舎の隅で身なりも構わず佇んでいた姿は
忘れることができません

今は無事にご家族もアメリカに到着し
許可証発行の手続きで忙しくしている彼女は
笑顔も戻り
私も気軽にご家族の様子など聞いたりして
今日も二人で戦争の話などしたばかりで

ふと仁淀川のことが頭をよぎったのでした

こうしている今も
世界のどこかで死と直面し
恐れの中に体を震わせている人々がいること

カール・ユングが提唱した
「集合的無意識」では
人々は全て繋がっているそうです
1日も早い終戦への祈りがつながり
実現しますようにと心の奥で願います

☆あなたがあなたらしく 笑顔で過ごせますように☆

皆さんの心の平安をお祈りしています

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今日の日めくりカレンダーの言葉
「心からちゃんとごめんなさい」
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