「はやく結婚しなさいよ」
同僚である30代後半の女性が、毎日浴びせられている言葉だ。

隣でその会話を聞きながら、背筋がひやりとする。わたしは結婚しているけれど、今のところ子供を持っていない。
「はやく結婚しなさいよ」が「はやく子供産みなさいよ」に形を変えてわたしを刺しにくる日を、容易に想像できるのだ。

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「結婚してますか？」「お子さんはいますか？」
日常会話で、この質問は別にいいと思うのだ。（面接等ではまた状況が違うけれど）

独身なら自分の時間を大切にできて素敵だし、結婚したいと思えるほど大切な人と出会えることも素敵だ。

夫婦だけの時間をすごすのも素敵だし、子供というかけがえのない存在ができるのも素敵。

どれだって、素敵だろ。

この「どれだって素敵」が共通認識になれば、「結婚してますか？」「お子さんはいますか？」という質問はただの日常会話以上の意味を持たなくなる。

「はやく結婚しなさいよ／子供産みなさいよ」は「素敵」を一瞬で台無しにする呪いだ。
この言葉を使う人の多くは、下世話な好奇心を心配顔で隠している。
（全員とは言わない。独身の先輩として、子なしの先輩として本気で心配してくれる方もいるし…）

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「はやく結婚しなさいよ」
隣でそう言われている先輩に、「〇〇さんはそのままで素敵です」と何度でも伝える。

もしかしたら、わたしの言葉の方がうざいかもしれない。
先輩はまったく気にしてなくて、わたしの方が余計なお世話かもしれない。

でも、他人の下世話な好奇心なんかで、その人の素敵な部分がすこしでも翳るようなことは、全力で阻止したいんだ。