文献メモ:How Can People Become Happier? A Systematic Review of Preregistered Experiments 人々はどのようにして幸福になれるのか? プレ登録された実験の体系的なレビュー Annual Review of Psychology 2024

ざっと読んだ感想:この論文は、どうやったらいわゆる幸福がアップするかについてのメタ研究である。つまり研究の研究である。分析前に事前登録した論文に限定することで、piblication biasを排除していることが本論文の強みである。心理学では半分以上の報告に再現性がないと言われているが、それを踏まえたメタ分析ともいえる。結果は予想通り、これまで多くの理論として形成されてきあないようでさえも効果がないかもしれないという結果だったことは驚くには値しないw 「感謝の気持ちを表現したり、社交的になったり、幸せそうに振る舞ったり、他者にお金を使ったりすること」が残り、「瞑想をすること、無作為な親切行為を行うこと、ボランティア活動に参加することなど」が残らなかったことを見ると、結局利他的な振る舞いで人は幸せになり、自己中心的だったり自己完結するようなよさそうな活動では結局幸せにはなれないのではないかと感じた(いかにもキリスト教的な結論でバイアスもありそうだなとは感じるが)。また、幸福の持続性について書いてあったことも重要な視点だとは感じたが、それについて深堀はされていないように感じた。まぁ結局、あまり自分にも他人にも期待せず、穏やかな気持ちで、ゆとりある生活を目指すことが幸せなのかなという当たり前の結論・・・。


Annual Review of Psychology
Volume 75, 2024 Folk, pp 467-493

How Can People Become Happier? A Systematic Review of Preregistered Experiments

Annual Review of Psychology

Vol. 75:467-493 (Volume publication date January 18, 2024)
First published as a Review in Advance on August 11, 2023
https://doi.org/10.1146/annurev-psych-022423-030818

https://www.annualreviews.org/doi/full/10.1146/annurev-psych-022423-030818

幸福感は信頼性を持って増加させることができるのでしょうか? この問いに対する数千の研究が存在します。ただし、それらの多くは研究者が一般的に「p-hacking」を行っていた時期に実施され、多くの発見が偽陽性である可能性があるという不確実性を生んでいます。P-hackingを防ぐため、幸福の研究者はますます研究をプレ登録し、データを分析する前に分析計画にコミットしています。私たちは、幸福感を増加させる戦略をテストするプレ登録された実験を特定するために体系的な文献検索を行いました。広く勧められる戦略の多く(例:無作為な親切行為を行うこと)に対する驚くほどの支持が見当たりませんでした。ただし、私たちのレビューは、他の戦略(例:社交的であること)が幸福感を確実に促進できる可能性があることを示唆しています。また、私たちは、政府や組織が貧困層に対して財政的支援を提供することで幸福感を向上させるための強力な証拠も見つけました。私たちは、幸福の研究が理論的に根拠のある戦略を開発し、生涯の満足感を生み出す可能性のある新しい興奮の時代の境地に立っていると結論づけています。

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