ツギハギ

美術展について書きつつ、暮らしで気になったことも言葉にしていきたいと思っています。

ツギハギ

美術展について書きつつ、暮らしで気になったことも言葉にしていきたいと思っています。

マガジン

  • 美術展レポート

    美術展に赴いた際のレポート記事をまとめています。

  • 考察など

    1つのテーマについて考えたことなどをまとめています。

  • アートなど

    アート関連の記事をまとめています。

最近の記事

装丁の展示:BOOKS 水戸部 功×名久井直子

竹尾 見本帖本店にて、本の装丁をテーマにした展示「BOOKS 水戸部 功×名久井直子」が行われていました。 本、という物体が小さい頃からすきです。 読むのはもちろん、眺めるのも、触れるのも、バッグに忍ばせるのも。 この展示を訪れて、ああやっぱり本がすき…!となりました。 この詩集ためだけの紙かつて、思わずジャケ買いしてしまった詩集があります。 『あたしとあなた』谷川俊太郎(ナナロク社)です。 手にとって、本を開いて驚きます。 なんてすてきなブルー! 読むというよりも

    • ガラス、絵画、写真、言葉 : ガラスの器と静物画展

      「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」展 自分なりのフォーカスポイント、私の場合は企画と空間でした。 プロジェクト「Glass Tableware in Still Life」について最初の引用にあったこのプロジェクトというのは、ガラス作家である山野アンダーソン陽子さんが「ガラス作品を本にしたらどうか」という提案を持ちかけられたところから始まったそうです。 プロジェクトについて、目的・内容・手段にまとめてみます。 【目的】 アートブックをつくること

      • おみくじで見る作品を決める:月に行く30の方法展

        美術館に行くとつい、「すべてを見なくては!」と肩に力が入ってしまいます。展示数の多い展覧会だと特にです。 『月に行く30の方法』展(東京都写真美術館)では、そんな悩みを解消してくれるすてきなアイテムがありました。 今回は展示内容についてではなく、鑑賞や美術館を訪れることが楽しくなる展示のまわりのことについて書きたいと思います。 おみくじ展示作品の多い今回の展覧会では、来訪者のためになんとおみくじが用意されていました。 引いてみます。 中身はこんな感じです。 こんな

        • 自分に返ってくる切手を選ぶ:はじめての郵送複写サービス

          東京都立図書館は、 ということで、はじめて郵送複写サービスを利用してみました。 図書館から資料のコピーが家の郵便受けに届くーー 想像すると、なんだかすてきです。 今回は、郵送複写サービスの流れと、切手選びについて書きたいと思います。 郵送複写サービスの手順郵送複写サービスの手順は大きく2段階に分かれています。 前半:図書館へ申し込む ↓ 図書館から封書が届く ↓ 後半:請求金額を振り込み、返信用封筒に切手を入れて返送する まず前半です。 図書館へ申し込む まず

        装丁の展示:BOOKS 水戸部 功×名久井直子

        マガジン

        • 美術展レポート
          37本
        • 考察など
          4本
        • アートなど
          3本

        記事

          ジグゾーパズルをつくりながら紫式部日記絵巻を読み解く

          はじめに紫式部の一代記、大河ドラマ『光る君へ』が始まりました。 文字を書くシーンが多く、見どころのひとつが書というのも楽しみです。 紫式部は源氏物語だけでなく、日記も書いていました。 国宝に「紫式部日記絵巻」というものがあります。 紫式部が書き残した日記(1008年7月〜1010年正月)が、約250年後、絵巻にされた作品です。 全10巻程度の巻物であったらしいのですが、現存する4巻が、五島美術館、大阪・藤田美術館、東京国立博物館、個人コレクターに所蔵されているそうです

          ジグゾーパズルをつくりながら紫式部日記絵巻を読み解く

          2023年展覧会、いろいろな"初"を振り返る

          2023年に訪れた展覧会を一覧にしました。 今年訪れた展覧会・個展は88。 美術館始めは「マン・レイのオブジェ」展、美術館納めは「みちのく いとしい仏たち」展となりました。 今年は昨年の決意も虚しく、まったくといっていいほど記事を書けませんでした。 さて、振り返ってみると、今年は初めての試みが色々とありました。そんな"初"を中心にまとめてみたいと思います。 今年の”初”1.はじめての美術館に行く 今年は、初めて訪れる美術館が多くありました。48ヶ所中17ヶ所。 都内

          2023年展覧会、いろいろな"初"を振り返る

          もやもやしていたことの答えがあった@李禹煥展

          ※昨年(2022)の書きかけ記事 第一弾※ 『国立新美術館開館15周年記念 李禹煥』(2022.8.10. - 11.7. 国立新美術館) 李禹煥(リ・ウファン)展、本当におもしろかったです。哲学や文学を学ばれていた李氏の世界の見方やものの考え方から学ぶことがたくさんありました。 今回は、ここ数年わたしの中にあったモヤモヤが解けた出来事について書いてみたいと思います。 気づきの瞬間ぽってりとした筆跡の作品<応答>三点が飾られている部屋。呼吸はできるのに空気がないような

          もやもやしていたことの答えがあった@李禹煥展

          ヴァロットン展にてターナーを思い出す@ヴァロットン 黒と白展

          『ヴァロットン 黒と白展』を見に三菱一号館美術館を訪れました。 三菱一号館美術館では2014年に『ヴァロットンー冷たい炎の画家』展を開催しており、それにも私は足を運んでおりました。 上記の展示で印象に残っている作品は、図録の表紙にもなっているこの一枚のみ…。 久しぶりに図録をめくってみると、なんと、今回の展示で見惚れてしまった<楽器>や<アンティミテ>のシリーズ、蔵書票まであるではないですか。9年前の私は一体…。 さて。こちらは<夜>という作品。 この説明を展覧会で

          ヴァロットン展にてターナーを思い出す@ヴァロットン 黒と白展

          写真を撮る理由@月に吠えよ、萩原朔太郎展

          詩人・萩原朔太郎展を見に世田谷文学館へ行ってきました。 四角い部屋を巡っていく通常の展覧会場と異なり、 展示を辿る設計になっていた本展の会場。 指ではなく自らの足でページを捲るように会場を進んでいきます。さまざまな朔太郎を体全体で感じられるワクワクする展示でした。 朔太郎の詩は読んでいても、朔太郎自身について無知だった私の今回の一番の驚きは、朔太郎が写真を撮る人であったということです。 朔太郎と「写真」というコーナーで、朔太郎の言葉が紹介されていました。 ・写真を

          写真を撮る理由@月に吠えよ、萩原朔太郎展

          2023年美術館始めはDIC川村記念美術館

          DIC川村記念美術館が2003年最初の美術館となりました。 企画展はマン・レイ。そしてなんと今回コレクション展示でだいすきなコーネルの作品がたくさん見られる…!!嬉しすぎる。いい年明けだ。 今年、どのようにNOTEで展覧会についての記事を書いていこうか悩んでいます。今回は思い切って展示については書かずに、美術館でどのような1日を過ごしたかについて書いてみたいと思います。(ちなみに展示は最高でした。今年一番かもしれない。) 美術館に向かう行きは京成佐倉駅から10:20発の

          2023年美術館始めはDIC川村記念美術館

          2022年の展覧会を振り返りながら考えたこと

          2022年に訪れた展覧会を一覧にしてみました。 見出し画像は、展覧会の内容(絵画、写真、インスタレーション等)が被らない写真を選んで作ったものです。 2022年に訪れた展覧会・個展は66つ。 美術館始めは写真展、美術館納めはボタニカルアート展となりました。 ベスト5を絞り出そう!と、一覧を見ながら心に残った展覧会に丸をつけては消し、つけては消し…11まで絞ったところでふと、心に残った作品はなんだっただろう?と思い、頭に浮かんでくる作品を書き込んでいくと、心に残った展覧会に

          2022年の展覧会を振り返りながら考えたこと

          幻想的、哲学的、それでいて愉快@牛腸茂雄の写真展

          写真展「はじめての、牛腸茂雄。 」(2022.10.7. - 11.13. ほぼ日曜日 渋谷PARCO8階) この展示に行きたい!と思ったきっかけになった写真(下)です。 そして、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載された 「牛腸茂雄を見つめる目。」(2016)という記事を読んで、より一層この展覧会に行きたいと思いました。 写真家・三浦和人さんは、36歳でお亡くなりになった牛腸さんのネガフィルムを保管し、今も現像をされています。その関係は、牛腸さんと同じく若くして亡くなった青木繁の

          幻想的、哲学的、それでいて愉快@牛腸茂雄の写真展

          どうしても1枚の写真が気になって再訪してしまった@特別展アリス

          前回の記事を書きあげてから、例の写真、<チェスに興じるラトウィッジ家の女性たち>が気になって気になって仕方がなくなってしまい… 行って確認してきました…! 今日は上野の森美術館と国立科学博物館に足を運んでいたのですが、思っていたよりも展示数が少なく、予定より早めの帰宅となりなんとなくソワソワ…。帰りの電車内にて、森アーツセンターギャラリーへの行き方を調べてしまうわたし。そしてなぜか降りる駅に到着しても体が動かない…!高鳴る心臓。そして発汗。これはもう身体が「行け」と言って

          どうしても1枚の写真が気になって再訪してしまった@特別展アリス

          どうして良いと思ったのか、ちゃんと言葉にしてみたい@特別展アリス

          わたしは好きな作品に出会った時、なぜ好きと感じたのかを言葉にするのが苦手です。 いつまでも見ていたいと思うほど強く惹かれているにも関わらず、 「わあああ好き!」 「わあああカッコいい/かわいい/おしゃれ!」 で終わってしまうのです。 作品を目の前に幸せな気持ちになるだけでも十分だと思うのですが、少しずつ自分の好みの「理由づけ」をしていけたらいいな、と考えています。 特別展アリスでの出来事先日訪れた『特別展アリス』にて、こんなことがありました。 <白い駒だけのチェス盤>

          どうして良いと思ったのか、ちゃんと言葉にしてみたい@特別展アリス

          こんな心意気の人になりたい@グランマ・モーゼス展

          『生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生』 モーゼスが本格的に絵を描き始めたのは70代。80歳で初個展を開きます。101歳で亡くなるまで描き続けたモーゼスの心意気は、真似したくなるものばかりでした。 今回は2つご紹介したいと思います。 季節を楽しむ心意気モーゼスは季節のお祝いを大切にしています。 たとえば、クリスマス。 ツリーを探しに森へ…!!想像しただけでワクワクしてしまいます。こんな風に季節を大切に、お祝いの準備を楽しむ習慣をつけたいと思いまし

          こんな心意気の人になりたい@グランマ・モーゼス展

          水・木・金・土に"どっぷり"する@そうぞうのマテリアル展

          『みつめる×かんがえる そうぞうのマテリアル』展(2022.4.2. - 9.4. 多摩美術大学美術館) この展覧会では、多摩美術大学美術館のコレクションから「水」「木」「金(きんぞく)」「土」の4つのマテリアル(素材)にまつわる作品の展示をみることができます。 これまで展示で作品を前にしたとき、「これは何でできているのだろう?」と素材をキャプションで確認することはしばしばありましたが、その素材自体に注目した展覧会があるなんて…! 私はどうやら、年代ごとに章立てられた展

          水・木・金・土に"どっぷり"する@そうぞうのマテリアル展