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【ネタバレ映画レビューNo.4】ふがいない僕は空を見た

2020年つかっちゃんが選ぶ映画大賞=つかデミー賞に滑り込みで受賞したこの作品!🏆

おめでとうございます~(*゚▽゚ノノ゙☆笑

これと似たような考えさせられて、それでいて人が齎してくれる気持ちや、人生にじっくりと思いを馳せられる作品他にもないかなぁ?

ご存知の方いらっしゃればテルミープリーズ!

この作品を好きな方がいたら全員お友達になりたいくらいの五つ星作品!!

あらすじ

高校生の卓巳(永山絢斗)は友達のつきあいで行ったイベントで “あんず”と名乗る里美(田畑智子)と知り合い、アニメキャラクターのコスプレをして情事に耽るようになるが、その写真や動画が何者かにばら撒かれてしまう。実は里美は姑から不妊治療や体外受精を強要されている主婦で、彼女の情事を知った夫がばら撒いたらしい。助産師として様々な形の命の誕生を見守っている卓巳の母(原田美枝子)。痴呆症の祖母と団地で暮らし、コンビニでバイトしながら極貧の生活に耐える卓巳の親友・福田(窪田正孝)……。それぞれの登場人物が抱える思いと苦悩がリンクし合い、やがて一筋の光が見えるラストに収束していく…。

以下、感想。

好きな人のいる家へ行くこの生活感がある現実的な描写がとても好きです。

通い慣れた道のマイルールやいつもの「何か」が生まれていく過程にまで思いを馳せることが出来る。

聞こえてくる音やすれ違うあの人やたまにいる猫とか。
それら全て愛おしい誰かとの記憶に繋がっていく。

きちんと彼ら彼女達が息をしてどこかで生活をしているような気にさせてくれる。

最初こそ喘ぎ声が木霊するのではにかんでしまうんだけど、登場人物達の幸福感を表す上で必要不可欠だったし、全然不愉快ではなかった。

むしろ、甘くて絶対的な平和がそこにあって。
現実逃避だからか、陽だまりの下で猫が戯れているような描写でとても素敵でした。

彼の疑いを知らない純粋さや、良くも悪くも何にも知らない浅はかさが瑞々しくて、何もかも忘れられたんだろうなぁ。

と言っても、二人は表面的な部分だけしか知らない訳だけど、多分この時点では深く知り合わなくても良かったんだと思う。
知らないからこそ、お互いの逃げ道でいられる。
そんな所かな。

でも、明日一日をどうにか“ 普通 ”に生きる為の確かな楽園だったんだと思うと、そんなチープな関係ではないと思いたい。

途中「そんなに強くしないで。生理前だから。」なんて後半はあんずの優しさなんじゃないかな?笑
生理前じゃなくて熱い感情のまま体に触れようとしてくる彼の力が強すぎて痛っ!って思ったのかもね、なんてすぐに察知してしまった笑


でも、愛を止められないが故、力も自然と強まる。
全てが瑞々しくて、全ての苦悩が一時的に解き放たれるような瞬間。
現実なんか見たくない。
あぁもう凄くわかるなぁと。


本来、男女の目交いはこう、蝶々がひらひら舞うような温かい時間なのに、それぞれのエゴや幸せの定義が用いられた瞬間、鋭利な刃物のようになる。
それは一方的な性欲や、モラル、個人の狭い視野、願いや理想の押し付け、無関心によって、残酷に壊されていく。

神様が言葉以外に付けてくれてそれらで命を創り、命を失わせる。

そしてラストの
「やっかいものをつけて産まれてきたなぁ~」と笑うタクミくんの表情。

生があるから性があって、性があるから生が生まれる。



生殖機能、子孫繁栄の術だったものに愛情の交し合いというものも加わってしまったがために、時に人を救い、時に人を苦しめるものになってしまった。

この理不尽も苦悩も優しさも愛も、何でもござれの世界へ ようこそ

きっと私もニヤリとした笑みを含んで、赤ちゃんに対してそう思うのかもしれない。

だけどね、ここは苦しいことも沢山あるけれど、きっと、必ず。
「生きていてくれればそれでいいのよ」と思ってくれる人が必ず現れるから。
負けないで。どうか、どうか。と

(余談:卓巳くんが大学時代に告白してくれたんだけどお付き合いには至らなかったある男性に似ていてドキッとしてしまう笑 永山絢斗さん本当にかっこいい ^^)

愛している人の体温を感じる時。

私は子供が今のところ欲しくない気持ちが強いけれど、それでもこういう気持ちになることは理解が出来たし、父と母にもきっとこう思われて私は産まれてきたことには有難いことに自信がある。
それって本当に本当に尊いことなのだと思い知る。

コスプレ衣装も脱ぎ捨てて、肌と肌が触れ合う描写になっていくのが印象的でした。

このお姑さんも確かに酷いんだけど、「孫が欲しい」その一心なんだよね。

みんな自分が可愛くて、守りたくて、みんなが泣かずにみんなが幸せであればいいのにね。
線がぐちゃぐちゃになってしまう。

福田くんのシーンは本当に胸が痛かった。

「オプション」

そうだよね。
生まれ持った環境や性別、それらは選べないのにとてつもなく人生に影響を及ぼすものだもの。

草を食べようとしたり、水を出したままにして水浸しにしてしまう認知症の祖母のお世話をするシーンや、廃棄のお弁当を捨てるシーン。

「なんで産んだんだよ。」
そう言いたくもなるよね。

そんな中で出会うバイトの先輩、田岡さん。

最初は「大学に行っていい就職先につけよ」というよくある人生の成功例を唱えてくるのかと思ったら、あなたもどうしようも無い苦しさや闇を抱えていたのね。

小児性愛である自分を呪っているんだよね。
(もちろん、犯罪はよろしくないんだけど)

本当に人って何を抱えているかなんて分からないものだよね。
みんなが皆平々凡々と生きているって思いがちだけど。




それらが稲城や府中、多摩川の景色と共に、とても穏やかにリアルに流れていく。

個人的にこの簡素で生活感のある景色が最高に好きだ。



何が正解で何が間違いかなんて、本当はないのかもしれない。

それでも、明日一日生きていくしかないのなら、苦しんで考えて気持ちよくなって誰かにありがとうって言えるくらい、大好きな人達のことを少しでも多く分かってあげられるようになってから本を閉じたい。

どこか苦しくて、赦される場所を探してしまう誰かへ。
お勧めです。



個人的に大好きなタイプの白ご飯 お茶碗大盛り映画でした笑

私の大好きな一作になりました。
ご馳走様でした!!

このばか教師めちゃくちゃうざかったんだけど、こういう頭すっからかんな親の元に芽生える命もあるんだよね。

子は親を選んでくるという説もあるけれど、「生」や「命」のを叩き込む為にはきちんと計算された運命のようにも思えました。

うざかったけど!コントのような話しぶりが面白かった笑
めちゃめちゃうざかったんだけどね!笑

あ〜!!多摩川でぼーっとした~いよ~!!

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