窪美澄

窪 美澄「ふがいない僕は空を見た」

上手い。
もういきなりはじめからとても上手い。
一気に引き込まれて読まされてしまう。

登場人物たちはどこへも行かない。
物語は基本的には大事件も大冒険も何も起こらない。
でも彼らの日常を鮮やかに切り取ったひとつの物語はただそれだけで十分に美しい。
性欲というやっかいなものを持て余しながら生きていかなければならないのは誰しもが同じこと。
そんなものはないという顔をして暮らすこともできるかもしれない

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いるいないみらい

書名:いるいないみらい
著者:窪美澄
出版社:KADOKAWA
発行日:2019年6月28日
読了日:2019年7月15日
ページ数:224ページ

窪美澄さんの短編5集。
痛くて切なくもあたたかな物語。
特に女性の30代には響くものが
あるのではないかと思います。

全編通して、子供に纏わるエピソードです。

独身男子の私には想像でしかないけれど
やっぱり子供を産むというのは
色々な想いがあるの

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自然なエロスをサルゲッチュ

窪美澄さん
村田沙耶香さん
彩瀬まるさん

が好きで、彼らの描く男の子が好き。
土の匂いがしそうな、自然で、牧歌的ででもセクシーな彼らはとても魅力的だ。

現実世界であれ、現実の延長線上のファンタジーであれ。生きづらい世界の中で、彼らだけが発光しているように見える。

今日読んだのは、窪美澄さんの「アカガミ」。

最後、ヒッとした。

個人的に、窪さんの性に関する描写が好きだ。
今回は介護士の主人

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窪美澄さんのおすすめする本70冊のブックリスト by twitter

※有料ですが全文読めます。読後、参考になるようでしたらサポートしていただけると大変喜びます。ご希望のブックリストなどご要望あればまとめます。

作家さんや著名人のおすすめする本などが多数掲載されるブックリストの雑誌をついつい買ってしまいます。

あれいろんなひとの思考や嗜好、いろんな本が知ることができて楽しいんですよね。

Twitterでおすすめされている本をまとめてみたので、共有します。

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ふがいない僕は空を見た

数年前。
この本を薄い敷き布団の上で横たわって読んだ。
隣から聞こえてくる、穏やかな寝息を聴きながら。

今日再びこの本を読み直したくなったのは、ただの気紛れ。
でもきっと多分、何かしらの意味がある。
今はそれが何なのか分からないけれど。

とても早い時間に眠りに落ると、こうしてとんでもない時間に脳が覚醒する。でもこういう時は、やたら書きたくなったり読みたくなったりするので、私にとってとても貴重な

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鬱になった人を見て安心してしまう人の心理(晴天の迷いクジラを読んだ感想・書評)

※ネタバレ注意

■鬱の固定概念化

 「鬱」という言葉が一般的になったのは、いつからだろうか。昔から概念としては存在していたが、そこに対する理解や寛容が生まれたのは、ここ数年だと僕は思っている。

 一方で世間に認知が生まれたということは一つの危険を孕んでいる。それがステレオタイプ化である。つまり、固定概念で鬱に患う人々を判断してしまう危険性がある。

■自分は鬱にならないという想い

 本書に

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小説の効能

最近小説をよく読むようになった。ここ2年くらいは、エッセイやビジネス書や自己啓発書を読むことが多かったし、フィクションより現実世界で起こっていることが知りたいという気持ちがあったのだと思う。

でも、先日ラジオで落合恵子さんの講演を聞いたときに、落合さんは、ノンフィクションで書ききれない事実を小説なら詳細に表現できるという趣旨のことを仰っていた。同じようなことを、はあちゅうさんも最近ツイートか何か

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読了:「よるのふくらみ」窪美澄

章によって主人公が変わるこの小説、途中から最後は誰だろう・・と考えていた。
他の人の生活や想いの行方も知りたい気がしたけど、この人の物語を最後に選ぶところがまた良い。
あの二人のその後をあえて多く語らないことで逆に事の大きさを感じる。それぞれの緩やかな幸せに時間の偉大さを見てしまう。切ないけど好きな本だった。
私はとびきり明るい話や驚くような大逆転のハッピーエンドよりこういう物語が好きなんだと思う

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窪美澄の「ふがいない僕は空を見た」を読んで、一日引きずった話。

久しぶりに鬱になりそうな誰も救われないような本を読んだ。

この本は映画化されているため、名前くらいは知っている人も多いと思うが、どのくらいの人が読んだのだろうか。

主人公である斎藤は、いわゆるオタクと呼ばれている女性の家に上がり込み、性の相手をするという日常を送っている。

斎藤は高校生で、この女性は斎藤よりも年上の人妻だ。

二人の出会いは、あるコスプレイベントで友達に誘されてイヤイヤ参加し

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窪美澄さんの 「ふがいない僕は空を見上げた」読了。毎回、窪美澄さんの小説を読むと心をえぐられる。エロティックな描写にも驚くが、今回はとりわけこども達の環境が過酷過ぎて、胃に石でも詰め込まれたような気持ちになる。生きることは過酷で、せつなくて、でも愛しい。
#窪美澄