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政治講座ⅴ1394「習近平氏の弁明」

 鄧小平の改革開放路線で中国は世界2位のGDPとなったが、本来の共産党の理想とする「共同富裕」の理想から遠くなり、賄賂・横領・不法蓄財などが蔓延してきた。
このような権力を乱用して蓄財する者を粛清し出したのが習近平である。
しかし、経済に疎いために打ち出した政策は悉く失敗し、経済の歯車が逆回転し出したのが今の中国の経済の不況の原因である。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年9月28日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

はじめに

一国のリーダーは常に非難にさらされる。部下の失敗や失政にも非難の矢面になる。
中国共産党は「法治」ではなく、「人治」と言われるので、積極的に法律を明文化に努めている姿が彼には見えるのであるが、悲しいことに、罪刑法定主義として規定された法律は恣意的な文章が多く、やはり、「人治」の範疇を抜け出ることができていないのである。
拡大解釈・恣意的解釈ができる内容が多い。法学者の育成が出来ていないのが近代法治国家として遅れているげんいんであろう。
日本が明治になった時に色々な分野に留学生を送り、科学・法律・建築・工学・文化・芸術・あらゆる先端技術を学んだのである。
しかるに、中国は企業を誘致して技術などの知的財産を盗むなどで工業生産力をあげて、進出企業の力で世界の工場と言われる程になったが、本質的な基礎学問の習得が出来ていないところがある。
資本主義では市場調査と分析に基づいて、需要と供給のバランスを考えて、生産調整をするはずであるが、社会主義・共産主義の悲しさか、市場調査・分析が念頭にないために、生産目標を立てて、ひたすら生産に励むのである。
それが過剰生産を生み、過剰な戸数のマンションを建築して、ゴーストタウン(鬼城マンション)となるのである。
過剰生産を抑制する機能が普通の企業なら働くはずである。不良在庫の存在のチェックなど財務分析で○○回転率などで机上でもすぐ分ることである。
共産主義は計画経済が得意であるはずが何たるざまであろうか。
能力のある人材を粛清で潰して、優秀な人材が活用されていなのが、今の中国共産党であろうか。
中国の政治・経済を俯瞰するとちぐはぐな政策のために各部署がバラバラに行動しているように見えるのである。
自国の経済が悪くなっているのに隣接する国の領土・領海を犯すことを平然としている。周りに迷惑を掛けながら、中国に投資してくれなどという。
反スパイ法で恣意的に拘束する事例も多々あり、中国に行くとリスクを感じさせる。このように、海外の投資家はドン引きするのは当たり前である、国がセクショナリズムに堕ちいっていて、各部署が忖度政治に落ちいっている。総合的に判断できる人材と調整できる人材がいないのであろうか。
 習近平がわるいのか。血の通わない、風通しの悪い組織にした彼がわるいのか。部下が悪いのか。部下の粛清が行われているようであるが、逆に委縮して機能しない国家組織になりつつある。中国共産党の権力闘争がこれから始まるのか、はたまた解放軍によるクーデタ勃発で中国共産党の終焉か。最近そのような夢を見るようななった。

中国・習近平主席の権勢は弱まるか 経済低迷、相次ぐ閣僚の失脚…困難続きの外交を分析

FNNプライムオンライン によるストーリー •1 時間

中国・習近平主席の権勢は弱まるか 経済低迷、相次ぐ閣僚の失脚…困難続きの外交を分析© FNNプライムオンライン


対立する米露双方と微妙な距離感を保ち、巧みな外交を展開しているとの見方もある中国だが、経済の低迷をはじめ国内に多くの問題を抱えてもいる。BSフジLIVE「プライムニュース」では専門家を迎え、習近平政権について徹底検証した。

「競争と協力」アメリカの一貫した外交姿勢、困る中国

新美有加キャスター:
対立が続いてきた米中関係だが、現在は積極的に対話が行われている。9月16〜17日に王毅外相とサリバン大統領補佐官が約12時間の会談。18日にはニューヨークで韓正国家副主席とブリンケン国務長官が会談。アメリカは11月にサンフランシスコで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせ米中首脳会談を実現したいと言われる。中国も首脳会談を見据えているか。
宮本雄二 元駐中国大使:
間違いなく大きな外交目標。だが、米バイデン政権の「競争と協力」は一貫しており、競争分野で手を緩めるつもりはない。経済や安全保障、サプライチェーンのリスクを最小限にして関係を続ける一方、軍事関係では大混乱を避けるため競争を安定化させたい。アメリカの新しい外交に、中国は非常に困っている。G20の欠席は、結果が出ないのにバイデン大統領に会わなければならないことを避けるためでは。
興梠一郎 神田外語大学教授:
欠席について、中国の報道はアメリカが問題だという内容ばかり。話し合う姿勢でなく「嫌なところには行かない」となるとまずい。
反町理キャスター:
中国の国家安全省がSNSに「米中首脳会談を実現するには、アメリカ側が十分な誠意を見せる必要がある」と書いた。誠意とは。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
中国の高官たちが制裁されており、ファーウェイなどハイテク企業への制裁も続いている。その解除を求めるという条件を突きつけている。

習政権にとって岸田政権は「付き合いにくいが無視できない」

新美有加キャスター:
日中関係の懸案事項は、福島第一原発の処理水放出への中国側の批判日本の水産物の輸入禁止。また3月に反スパイ法違反の疑いで国家安全当局に拘束されたアステラス製薬の男性社員は、9月刑事拘留された。さらに尖閣諸島周辺での中国の活動も。また親中派とされる林外相が上川外相に交代し、話し合い自体がなかなかできない。
宮本雄二 元駐中国大使:
対米関係よりは優先度が低いが、中国も日本を放っておいていいとは思っておらず、少しでも関係改善したい。日本人は中国に対して色々感じると思うが、外交なのでどんな状況でも双方で知恵を出していかなければ。
反町理キャスター:
韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相が中国で習主席と会談し、習主席が日中韓首脳会談の開催に賛成だと言ったと。日本に対しては冷淡な態度だが。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
習政権にとって岸田政権は少し付き合いにくい。岸田総理は対米関係重視、G7・NATOを軸にという姿勢がはっきりしている。また中国が話せるキーパーソンが岸田政権にいない。ただ中国にとっては中国に進出している日本企業が重要。また日中韓の関係では、韓国の尹大統領の日本との距離が近く、中国は孤立を避けたい。
興梠一郎 神田外語大学教授:
他の国との写真と比較すると、習主席が韓首相と握手していない。日韓にすり寄っていると見えてしまうから、中国外交部は習主席の発言を発表していないが、韓国がばらしてしまった。また、ロシアのプーチン大統領の10月訪中も中国側は発表せず。北朝鮮含めた3カ国が近いとあまり見られたくない。
プーチン大統領と王毅外務大臣が会談し、プーチン大統領が10月に北京で開かれる「一帯一路」の国際会議に合わせて訪中すると述べたとロシア側が発表したが、中国側からは発表なし。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
理由として、一帯一路フォーラムに反ロシアの国が多いことがある。北京は「プーチンが来るなら参加しない」を防ぎたい。

習主席が自ら任命した幹部を次々に更迭する理由とは

新美有加キャスター:
習近平政権幹部の失脚・解任が多く伝えられる。秦剛前外相が解任され、また李尚福国防相、人民解放軍・ロケット軍の李玉超司令官と徐忠波政治委員も解任されたと言われる。
興梠一郎 神田外語大学教授:
秦剛氏はアメリカで愛人に子供を産ませたという話。李尚福氏は装備発展部の部長時代にあった入札の不正の話。ロケット軍もその絡みでの装備関係。習近平氏の軍をコントロールしたい気持ちが強まっている。今は景気悪化で不満も見え、外交や軍など自分の身の危険に直接影響することは全て自分の子飼いにしないと怖いのでは。一言で言うと異常。
宮本雄二 元駐中国大使:
全て習近平が任命した人物で、更迭は衝撃的な出来事。習近平政権のガバナンスの強さは、2022年の党大会で全てを完全に押さえた時と違うのかもしれない、と思わせる出来事。
反町理キャスター:
政権は弱まっているのか。むしろ引き締めて次のステップに向かっていくか。
宮本雄二 元駐中国大使:
2022年に本当に強まっていたなら今回弱まったのだが、実は強まっていなかったのなら、元々こうだったということ。しかし習近平改革、つまり全部ルールに従って法治を強調し、ガバナンスがそれに従う姿勢の結果でもある。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
習政権を過小評価してはいけない。今回のことで基盤が揺らいだとは思わない。信頼、信用、権威は、少しはディスカウントされただろうが。

中国の深刻な経済低迷、マンション過剰供給は社会不安に繋がる

新美有加キャスター:
中国経済の問題。GDPのうち13%と工業に次いで大きな割合を占める建設・不動産部門の不況が深刻化しており、9月に発表された新築住宅価格指数は前月比で、主要70都市中52都市で下落している。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
マンションの過剰供給によるデベロッパーへのダメージは銀行に飛び火する。土地の使用権を払い下げていた地方政府が財源を得られなくなる。地方政府が管理する社会保障ファンドに金がなくなると年金が払えなくなる可能性が出て、家計に影響する。日本の預金保険機構にあたるものがなく救済できない。社会不安に繋がる可能性が高い。
反町理キャスター:
中国政府は2020年8月に不動産開発会社の負債増加に歯止めをかける財務指針を示した。2021年1月には銀行の不動産関連の貸し出しに上限を設定。効果はなかったのか。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
元々の構造がおかしく、デベロッパー、銀行、地方政府に対するガバナンスは利いていなかった
興梠一郎 神田外語大学教授:
中国のお金持ちも外国の投資家も中国に投資するリスクが大きいと感じており、その最大の問題が習近平主席。権力が集中するほど政策がぶれ恣意的になる。中国で変化したのはインフラでも人口でもなく、センチメント(市場心理)。「投資するとなんか危ない」と。
宮本雄二 元駐中国大使:
胡錦濤時代までは、政治が経済に口出ししないように我慢していた習主席は我慢しない政治が関与して市場原理に棹を差せばパフォーマンスは下がる習主席はそこに気づいていないと思う。

我が身の安全が最優先の習主席…中国経済は崩壊まで突き進むか

新美有加キャスター:
最近の台湾をめぐる中国の動き。9月12日に中国は福建省を台湾と融合発展させる計画の詳細を発表。平和統一への具体策を示す一方で、台湾国防部の発表では9月13日には台湾の東側の海上で中国軍の空母「山東」や戦闘機が共同訓練を行うなど、軍事的な圧力を強めている
宮本雄二 元駐中国大使:
基本的には、中国は平和統一の方に重点を置いていると思う。ただ、人民解放軍は台湾軍がアメリカの助けを借りて、中国の攻撃を阻止できるシナリオを持つことに対して大変な恐怖心を持っている。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
これから始まる台湾の総統選(2024年1月)がポイント。中国はできれば国民党に勝ってほしい。前回は直前まで蔡英文総統の支持率が低かったが、北京が恫喝したことで彼女の支持率を上げてしまった。今回は前回に比べ介入が弱い感じはする。
興梠一郎 神田外語大学教授:
中国がいつ何をするかわからないから準備を、というのがアメリカや台湾の姿勢。ウクライナ侵攻を起こしたロシアと同様の政治体質だから、似たことをするのではと。特にああいう体制の国は、経済が悪化すると冒険主義になり外に出てくる可能性がある、危ないと言われている。今回の融合路線と軍事演習について台湾の反応を見ると、怒っている。結局また民進党が有利になる。
反町理キャスター:
中国のやることが裏目に出ている話ばかりだと感じる。
柯隆 東京財団政策研究所 主席研究員:
もともとが改革開放の成長路線だったが、途中からあらゆる統制を始めた。市場経済は弱まる。この路線でとことん行けば崩壊する。習主席は国家と市場の役割をあまり区別できていない。全て国家政府の役割でやるのは間違いだが、とことんまで行く可能性が排除できない。歴史を見ても方向転換するのは大惨事の後。毛沢東のときも数千万人が餓死して転換した。
興梠一郎 神田外語大学教授:
仮説だが、習近平は権力を固めるプロセスで敵を全部潰した。その江沢民派や胡錦濤派がまだ生きて牢屋に入っている。高齢で後継者も決めていない習近平は怖い。彼の最大の命題は経済でも外交でもなく身を守ること。毛沢東同様、政策がそこから出発するから「安全」を言う。反スパイ法、国家安全維持法などを作る。だが誰の安全なのか。外交ではどんどん孤立し、中国は安全ではなくなっている。
(BSフジLIVE「プライムニュース」9月25日放送)

習近平が長老たちに叱られて逆ギレ…!八方ふさがりの「中国不動産」が“世界一ヤバい”認定されて迎える中国経済「最大の危機」

藤 和彦 によるストーリー •9 時間

中国外交部が買った失笑

中国外交部による9月12日の記者会見の発言内容が失笑を買っている。
「さまざまなかたちで中国崩壊論が出てきているが、中国経済が崩壊していないのは事実だ。中国崩壊論のほうが次々と崩壊している」
彼らの気持ちは分かるが、実態は全く違うと言わざるを得ない。中国経済を巡る状況は悪化の一途を辿っているからだ。
中国経済崩壊の引き金となったのは不動産市場の不調だ。2年にわたる住宅不況が中国経済をここに来て一気に弱体化させてしまった感が強い。

中国経済は住宅不況で弱体化した…Photo/gettyimages© 現代ビジネス


苦境に陥っているのは、恒大集団や碧桂園などの民間の大手不動産開発企業ばかりではない。人口減少が進んでいる地方の不動産開発企業は青息吐息だし、政府の庇護の下にあると言われる国有不動産企業にも暗雲がかかってきている(8月18日付ブルームバーグ)。
不動産バブル崩壊の悪影響が、全国津々浦々にまで広がるリスクが指摘されている。

世界一ヤバい「中国の不動産市況」

9月4日付仏国際放送局RFIは「中国の村が多額の債務を抱えている」と報じた。
中国政府によれば、2019年上期に中国の行政村約70万ヵ所の負債総額は9000億元(約18兆円)に達し、各村の平均負債額は130万元(約2600万円)に上る。地方政府における債務返済が今年ピークを迎え、3兆6500億元(約73兆円)の満期返済が見込まれるという。

今年の地方債務の返済は約73兆円にのぼる…Photo/gettyimages© 現代ビジネス


事態のさらなる悪化を恐れた中国政府は住宅ローンの規制を緩和したが、2週間を経ずして国内主要都市の住宅販売が再び失速しつつある(9月13日付ブルームバーグ)。
小手先の対策で中国の不動産市場の危機を救えないことが改めて証明されたかたちだ。
中国の大手不動産開発企業のデフォルト(債務不履行)が相次いでいることから、世界の金融関係者は「中国の不動産セクターが次の金融危機の最大の震源地になるのではないか」との危機感を強めている。
米銀バンク・オブ・アメリカのファンドマネジャーに対する最新の調査結果によれば、9月は中国の住宅セクターを懸念する割合は33%となり、第1位となった(8月は15%)。
8月の調査では「米国や欧州連合(EU)の商業用不動産が最大のクレジットリスク」と考えられていたが、中国の不動産リスクがこれを上回ったのだ。
こうした中、習近平が共産党の長老たちに厳しく批判され、激怒したと言われている。
追い込まれた習近平は、何をしようとしているのか。
習近平が長老たちに叱られた…!八方ふさがりの「中国不動産」が“世界一ヤバい”認定されて迎える中国経済「最大の危機」© 現代ビジネス

【解説】 中国で高官が相次ぎ消息不明 習政権に問題が起きているのか

BBC News によるストーリー •16 時間

【解説】 中国で高官が相次ぎ消息不明 習政権に問題が起きているのか© BBCニュース 提供


テッサ・ウォン、アジア担当デジタル記者、BBCニュース
中国でここ数カ月の間に、習近平国家主席から信頼と好意を得ていた高官が、何人か姿を消した習氏が軍関係者らを対象に、粛清に乗り出したのではないかとの憶測が飛び交っている。
失脚とみられる直近の例が李尚福国防相だ。ここ数週間、公の場で姿が確認されていない。
当初は問題にされていなかったが、米トップレベルの外交官が指摘したことで注目が集中。ロイター通信は、李氏が軍備の調達をめぐって調べを受けていると報じた。李氏はかつて、人民解放軍(PLA)の武器購入を監督する立場だった。
李氏が「消息不明」になる数週間前には、軍で核ミサイルを管理する「ロケット軍」の最高幹部2人と、軍事裁判所の裁判官が解任された。
そして今、軍を統制する中国共産党の中央軍事委員会の幹部数人について調査が進められているとのうわさが流れている。
これらの解任をめぐっては、「健康上の理由」以外の公式説明はほとんどない。情報がない中、憶測が膨らんでいる。
主要な説になっているのが、軍の腐敗を当局が取り締まっているというものだ。
こうした状況で、軍は警戒を強めている。7月には一般国民に対し、過去5年間の汚職について情報提供を求める、異例の呼びかけをした。BBCモニタリングの調査からは、習氏が4月以降、全国各地の軍基地を5回にわたって訪問する新たな査察に乗り出した様子が浮かび上がった。
シンガポールの南洋理工大学で中国共産党と軍の関係を研究しているジェイムズ・チャー研究員は、中国では1970年代に経済の自由化が始まってから特に、軍において長年、汚職が問題になってきたと指摘する。
中国は毎年1兆元(約20兆円)以上を軍に費やす。一部は物資の調達に充てられるが、安全保障上の理由から完全には明らかにされない。この透明性の欠如は、中国の一党独裁の中央集権体制によってさらに悪化している。
他国の軍が公的に監視されているのとは異なり、中国の軍は共産党によってのみチェックされていると、チャー氏は指摘する。
習氏は軍内部の腐敗を減らし、軍の評価を一定程度回復させた。だがチャー氏は、「腐敗の根絶は不可能ではないにせよ非常に困難だ」と説明。「専制国家が嫌う制度変革」が必要になるからだとした。
「中国共産党政府が、適切な法制度を不当だとするのをやめて導入するようになるまでは、こうした粛清は続くだろう
一連の人々の消息不明は、中国がアメリカと微妙な関係にある中で、被害妄想を深めていることも一因となっている可能性がある。
中国では7月、拡大されたスパイ防止法が施行され、当局の捜査の権限と範囲が拡大された。その直後、国家安全省は国民に対し、スパイ活動との闘いに協力するよう公に呼びかけた。
李氏の消息不明は、外相だった秦剛氏のケースと似ている。同氏が7月に解任されると、熱を帯びた憶測が生じた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今週、秦氏が不倫の末にアメリカで子どもをもったという疑惑で調べられていると報じた。

中国アナリストのビル・ビショップ氏は、「不倫はエリート(共産党)の世界では即失格とはならないが、その相手が外国の情報機関とのつながりが疑われている人物で、敵ではないにしろ地政学上重要なライバルである国のパスポートを持つことになる子どもをつくるのは、もはや失格かもしれない」と指摘する。
中国が新型コロナウイルス後の経済減速と若者の失業率の急上昇に苦しむ中で、共産党内では汚職を一掃するべきとの圧力が高まっており、習氏はそれを受けて行動しているとの見方もある。中国の政治制度では、習氏は国家主席であると同時に軍の最高指導者でもある。
相次ぐ消息不明は、習氏の指導体制の不安定さの表れと見ることもできる。
李氏と秦氏は閣僚だっただけでなく、国務委員というさらに高い地位にあって、習氏に目をかけられていた。そのため、彼らの突然の失脚は、習氏の判断力の欠如とも捉えうる。
消息不明となったのを政治的な粛清と考えるなら、習氏が昨年の党大会で権力を固め、潜在的な対立派閥を排除し、重要な委員会を盟友で固めた直後にそれを実行しなければならなかったという事実は、彼を悪く見せるだろう。
さらに別の見方として、習氏が自らの力を改めて誇示したというものもある。
粛清された共産党幹部の息子である習氏は、汚職を公に取り締まることで有名だ。だがそれは、自らの敵の根絶を目的とした政治的粛清でもあると、中国事情を追う人たちは言う。
毛沢東より後の中国指導者で、習氏ほど汚職の取り締まりを大規模に進めた人はいない。2013年に国家主席に就任すると、下級幹部とトップの両方を標的にした「トラとハエ」キャンペーンを開始。これを皮切りに、長年にわたって数千人の幹部を摘発してきたとみられる。
習氏は軍も標的にした。2017年までに幹部100人以上を解任。国営の新華社通信は当時、「新しい中国を作るための戦争で殺された将兵の人数をはるかに上回る」と伝えた。
今回の消息不明をめぐって最も大きな問題となるのは、それが発するシグナルと、その影響だ。
中国事情に詳しい人たちは、軍と政府に恐怖が生まれるだろうとみる。これはコンプライアンス確保ために意図された可能性があるが、士気を低下させる恐れもある。
習氏は何年もかけ、好意を失った人たちを組織的に排除し、自らを支持する人たちで重要ポストを固めてきた。これは、習氏の周囲にはイエスマンばかりいることを意味する。前出のチャー氏は、集団思考は安全保障と外交政策に悪影響を及ぼしかねないとし、集団思考のリスクこそが習指導部にとって「真の不安定要素」となっていると指摘する。
実際、高官らが消息不明となったのは、台湾海峡が緊迫している最中だった。中国はここ数週間、同海峡付近に軍艦や戦闘機を送り込んでいる。
米カーネギー国際平和財団のシンクタンク「カーネギー・チャイナ」のイアン・チョン非常勤研究員は、外交政策および防衛外交に関するコミュニケーションが混乱することは、「事故を引き起こし、事態悪化の管理をより困難にする恐れがある」ため、「特に懸念される」ことだと述べた。
一方で、中国の軍指導部は頑強であり、一部の高官の入れ替えには十分耐えられると主張する人もいる。また、軍は戦争にならないレベルで行動するよう注意していると指摘する人もいる。
習指導部の安定性が、一連の消息不明によって長期的な影響を受ける可能性は低いとの見方もある。アジア・ソサエティ政策研究所の中国エリート政治の専門家であるニール・トーマス氏は、これまで標的となった幹部はいずれも習氏の側近ではないと指摘する。
多くの事情通らの意見が一致するのは、これらの事案が中国の体制の不透明さを浮き彫りにしているということだ。「政策実施の継続性や、実務レベルでの約束や保証の信頼性について、疑問がさらに深まる」とチョン氏は話した。
結局のところ、高官らの消息不明は「結果として生じる不安」をあおるものとなっている。

日本周辺で操業→中国で陸揚げすれば「中国産」 水産物禁輸から1カ月…露呈する矛盾、習政権の立場いっそう厳しく

まいどなニュース の意見•13 時間
福島第一原発の処理水放出に伴い、中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止してから24日で1カ月となった。中国の税関当局が今月新たに公表した貿易統計によると、日本産水産物の輸入総額が前年同期比で70%あまり減少し、7月の輸入総額も前年同期比33%減少したという。
中国は岸田政権が放出を決定して以降、輸入規制を拡大する傾向にあったが、8月下旬に放出が開始されたことでそれに拍車が掛かった。影響は今後も続くとみられ、秋や冬にかけての貿易統計はもっと深刻な数字となろう。
一方、全面輸入停止から1カ月が経ち、習政権とその立場はいっそう厳しくなっている。まず、全面輸入停止への賛同は極めて限定的で、習政権が最初に想定していたほど各国から支持が集まっていない。支持しているのはロシアや北朝鮮だが、両国の思惑は政治的なもので参考にはならない。また、9月下旬、国連総会の一般討論演説ではソロモン諸島が処理水放出で日本を非難したが、同国は長年中国から多額の経済支援を受けており、国連の場で堂々と中国のご機嫌を取ったに過ぎない。カンボジアは中国への経済依存度が高いが、処理水放出は問題ないと中国とは立場の違いを鮮明にした。
習政権は当初、もっと各国から支持が集まると想定したはずだが、これは返って中国の政治的立場を危うくしている。だが、習政権も全面輸入停止という強い対抗措置を仕掛けた以上、解除することはなかなかできない。今回の全面輸入停止の目的が、中国国内で膨れ上がる反政府感情をガス抜きさせ、その矛先を日本へ向けさせることだったので、今解除すれば習政権は弱腰だと国民の不満がさらに膨れ上がるだけでなく、対外的には習政権の脆弱さを露呈することになる。
そして、日本産水産物の全面輸入停止という行為自体へも疑念が向けられる。1つに、中国へ水産物を輸出してきた日本企業、水産業界の間では、中国への過度な依存から脱却するべく、これから経済発展や中間層の増加が見込まれるインドやASEANなどにシフトしようとする動きが広がっている。グローバルサウスの国々でも日本産水産物は非常に人気が高く、今後需要が拡大することが期待される。また、日本国内でも自国産海産物を食べようと、官民一体となった政策が進められている。こういった動きがさらに進めば、中国による全面輸入停止の効果は薄まる一方だ。
そして、日本産水産物の全面輸入停止で最大の矛盾点は、日本周辺の海域で漁獲され、日本の港に陸揚げされたものが日本産である一方、日本周辺の海域でも中国漁船によって漁獲され、中国の港に陸揚げされれば、要は「中国産」となり、輸入規制の対象外となることにある。処理水の海域への放出によって輸入を規制したものの、その対象海域で中国は遠洋漁業を行っているのだ。
日本産水産物の全面輸入停止というものは、辻褄が合う対抗措置とは言い難い。1カ月が経過し、以上のような状況からすれば、習政権の決定は自らの首を自分で絞める結果となっている。
◆治安太郎(ちあん・たろう) 国際情勢専門家。各国の政治や経済、社会事情に詳しい。各国の防衛、治安当局者と強いパイプを持ち、日々情報交換や情報共有を行い、対外発信として執筆活動を行う。

一括政策の導入 中国不動産市場の回復は「金九銀十」に期待

AFPBB News によるストーリー •23 時間


【CNS】住宅政策の「暖かい風」がますます多くの人びとに恩恵をもたらしている。
政策サイドは最近、不動産市場の刺激のための切り札を使い始めた。「認房不認貸(過去にローンを組み住宅を購入した場合でも、現時点で現地に不動産を保有していなければ、1軒目購入扱いで頭金の割合と金利の優遇を受けられること)」から、1軒目と2軒目の住宅頭金の利下げや「既存住宅ローンの利下げ」に至るまで、これら一連の政策は、住宅購入者にどのようなメリットをもたらすのか? 不動産市場にはどのような影響があるのだろうか?
 首都経済貿易大学京津冀不動産研究院の院長で、北京市不動産法学会の副会長兼事務局長の趙秀池氏は、「認房不認貸」政策により、多くの家庭が1軒目の頭金と住宅ローンの金利優遇を受けることができると語った。これにより、一般市民の住宅購入能力が効果的に向上するだけでなく住宅需要も増加し、不動産市場の回復を促すことができると述べている。
 さらに、1軒目の購入ハードルも下がっており、必要な住宅や生活改善のための住宅を求める人びとにとって、「安らかに生活する夢」の実現への一歩が近づいている。
 8月31日に、『差別化住宅信用貸付政策の調整と改善に関する通知』が発表された。そのうち、2軒目の住宅ローンの金利の下限は、以前のLPR+60BP(融資基準点:1bp=0.01パーセント)からLPR+20BPに下げられた。これに対し、易居研究院(E-House China R&D Institute)の研究ディレクターの厳躍進氏は、「新政策の下では、2軒目と1軒目の購入ともに住宅購入コストが顕著に下がる」と述べている。
 他にも、不動産市場の新政策を期待している人たちがいる。それは、既存住宅の高いローンを抱える住宅購入者だ。
 8月31日、中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)と国家金融監督管理総局は、『1軒目の既存住宅ローンの利下げに関する通知』を共同で発表した。
 中国人民銀行、国家金融監督管理総局の関係者は、既存住宅ローンの利下げにより、借り手は利息支出を低減させ、消費と投資の拡大に貢献できるという。銀行にとっては、早期返済を効果的に減らし、銀行の利息収入への影響を軽減することができると述べている。
 毎年、9月から12月は不動産市場の「ラストスパート」の重要な時期だ。特に、9月と10月は売上ピークのシーズンで、「金九銀十(金の九月、銀の十月)」と呼ばれている。
「一括政策の発表の目的は明確だ。この4か月間をうまく乗り切ることで、最近急速に悪化している市場のセンチメンタルと取引規模をできるだけ早く安定させることだ」と、広東省都市企画院住宅政策研究センター首席研究員の李宇嘉氏は指摘している。
 厳氏も、政策効果が徐々に表れるにつれ、一線都市は良好な取引状況を迎える可能性があるとみている。この政策には、全国市場の状況を積極的に導く効果があり、特に伝統的な「金九銀十」の不動産市場状況への刺激効果があると厳氏は考えている。(c)CNS-中国青年報/JCM/AFPBB News

習近平もお手上げ…34億人分の在庫を抱えた「中国のマンションバブル」の行き着く先電気も水もない「鬼城」の住人が急増

PRESIDENT Online

未完成の物件=鬼城に住む人が増えている

中国で“鬼城(グェイチョン)”と呼ばれるゴーストタウンが急増している。武漢市にある“江南世家”と呼ばれる高層マンション群では、建設がストップして未完成のままマンションが放置された。そのうち3分の2程度が売約済みといわれる。

マンション購入者の増加には、家賃の支払いと住宅ローンの返済負担から逃れるため未完成のマンション=鬼城に住む人が増えている。鬼城の住人の生活環境はかなり厳しい。鬼城問題は、共産党政権の主導で膨張した不動産バブルが、現在、崩壊の真っただ中にあることを意味する。

西洋風の街並みが続く大連の「東方水城」(右)。ほとんどが空き部屋で、地元では「鬼城」になると懸念されている

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世の東西を問わず、バブルが崩壊すると経済全体でバランスシート調整と、不良債権処理が不可避になる。今後、不動産デベロッパーの資金繰りはさらに悪化し、未完成のまま中断される不動産開発案件が増えるだろう。鬼城はこれからも増える可能性が高い。

住宅の引き渡しなどをめぐる、不動産業者と購入者のトラブルも増加するなど鬼城問題は、さらに深刻化が予想される。それは共産党政権の求心力に、無視できないマイナスの影響を与えることになるはずだ。

100万人が住める巨大マンションを建てたが…

鬼城とは、不動産開発の行き詰まりによって未完成で放置されたり、入居者が集まらずに廃れたりしたマンション群や地域を指す。実際に必要とされる以上に供給され、買い手がつかない建物群が鬼城だ。いつから鬼城が増えたかは諸説ある。2010年ごろから鬼城問題は顕在化し始めたようだ

有名な鬼城は、モンゴル自治区オルドス市の康巴什(カンバシ)新区だ。2000年代初め豊富な石炭埋蔵を背景に経済開発が急加速し、100万人の収容能力を持つカンバシ新区が造成された。地方政府は民間デベロッパーに土地(土地の利用権)を売却し、デベロッパーは大規模な住宅建設に乗り出した。それにより、中央政府が課した経済成長率などの目標を達成した。大規模なマンションには、転売目的の投資家が殺到した。

マンションの供給量が全人口の2倍超に

一時、オルドス市の経済成長率は年率20%を超えた。高い成長が続くとの期待を根底に、“買うから上がる、上がるから買う”という強気心理が連鎖して、オルドス市の不動産バブルは膨張した。

転機となったのがリーマンショックの発生だ。共産党政権は4兆元(当時の邦貨換算額で57兆円程度)の経済対策を実施し、石炭生産が急増した。供給過剰によって石炭価格は急落し、オルドス市の不動産バブルははじけた。デベロッパーや不動産投機家は撤退し多くのマンションが未完成のまま放置された。2014年ごろ、100万人が住めるカンバシ新区の人口は10万人程度だった。

それは、中国で実際の需要を無視して過剰に不動産開発が増えた一つの例だ。カンバシ新区が鬼城化した後も、共産党政権は不動産投資を積み増して10%程度の高い成長率の実現を目指した。党の指揮の下で不動産価格は上昇し続けるという、根拠なき熱狂が経済全体を覆い投資用マンションは過剰に供給された。2016年に国営新華社通信はマンション供給量が34億人分と、人口(約14億人)の2倍超に達したと報じた。

その後、2020年8月に“3つのレッドライン”が実施されて不動産デベロッパーの経営体力は急速に低下している。鬼城が増えるのは不可避の状況であり、不動産バブルは崩壊の真っただ中だ。

内装が施されておらず、電気がつかない部屋も

懸念されるのは、鬼城に住まざるを得ない人の増加だ。鬼城の住人は経済的にも、精神的にも窮状に陥っている。インターネットで鬼城を画像検索すると、その一端が垣間見られる。部屋は内装が施されていない。窓枠にはガラスがはめられていない。住人はコンクリートむき出しの床、壁と天井に囲まれ、無機質なコンクリート上に布団を敷いたり、テントを張ったりして生活をする。

水道や電気が引かれている鬼城もあるが、未完成の物件が多いために日常の生活を送るには困難が多いようだ。

まきや簡易コンロで暖をとって生活をする人もいる照明は日光、もしくは懐中電灯というケースもある。衛星写真を見ると、団地と近隣の町をつなぐ道路など社会インフラが未整備な鬼城も多い。消防設備が整備されていない鬼城も多いようだ。余裕があれば家を借りて安心・安全な生活環境を確保することはできるだろう。しかし、実際には景気減速によって雇用・所得環境が悪化し、鬼城に住まざるを得ない人が増えているようだ。

総額10兆円の明るい廃墟、593mの世界一高い未完成タワー…中国のスゴすぎるゴーストタウンはなぜ爆誕してしまったのか?

高口 康太  2023/07/20

10兆円ツッコんでみたけれど“住民ほぼゼロ”の明るい巨大廃墟表向きは大盛況でも入ってみるとガラガラのアパレル卸市場、そして世界一高い未完成タワー……。中国の最新ゴーストタウン・雄安新区に足を踏み入れると、スゴすぎる光景が広がっていた!

◆◆◆

雄安新区のイベント展示施設 ©高口康太

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総額10兆円の明るい廃墟、世界一高い廃墟タワー…
スゴすぎる中国最新ゴーストタウンを写真で一気に見る【約50枚】

若年層失業率が過去最悪の21.3%

 コロナで3年ぶりとなった中国への旅。マニア心をくすぐる“廃墟”見学を堪能しながら、中国経済の未来を考えてきた。

「現在、中国は初の経済危機に直面しているとも言われている」

 ある研究会での中国人企業家の発言だ。これまでにも中国は経済危機が起きたことはあるし、足元の経済も良くはないとはいえ大騒ぎするようなレベルではないように思うが、中国国内でも悲観論が広がっていることのあらわれなのだろう。

 確かにここ1~2年、中国で景気のいい話は聞かない。

 中国を代表するIT企業のアリババグループに巨額の罰金が科されたり、「共同富裕」という濃厚な社会主義風味を感じさせる政治スローガンが登場したりと、政府は市場主義経済を締め付けようとしているのではないかなんて見方も広がった。その煽りを食って、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数(米ナスダック市場に上場している中国企業の株価の指数)は2021年2月のピークから3分の1ほどにまで落ち込んでいる。

 昨年からは新型コロナウイルスの流行に伴う都市封鎖連発による経済停滞、厳格なコロナ対策で地方政府の財政はすっからかんになり公務員の手当削減や路線バスの運行本数削減などという切ない話もあった。7月17日発表の経済統計では若年層(16~24歳)の失業率が21.3%と過去最悪を記録している。

 とまあ、こんな具合にネガティブな話題がてんこもりなのだが、実際に中国を旅してみると、景気が悪いようには見えない。大手の百貨店やショッピングモールはテナントがぎっしり詰まっているし、買い物客も少なくない。レストランはどこも結構な人出だ。北京や上海といった大都市を見る限りでは、一見すると深刻な不景気に陥っているようには見えない。

 不景気の傷は見えないところにある。中国政府の統計によると、中国四大都市(北京、上海、広州、深圳)の人口は27万5000人のマイナスとなった。統計史上初の異常事態だ。工場やお店などの雇用が減り、出稼ぎ労働者が地元に戻ったためだという。なるほど、大都市では失業者がたむろっているなど、わかりやすい不景気の光景にはでくわさないのには理由がある。

なぜ大都市では分かりやすい“不景気の光景”がないのか

上海市の七浦路服飾市場 ©高口康太

 大都市ではわかりづらい不景気の影響だが、それでも目をこらしてみると傷口が見えてきた。

 上海市の七浦路服飾商業街。小さなアパレル卸売ショップが無数に詰め込まれたビルが、10棟以上もひしめき合っている、華東地方最大の衣料品卸売市場だ。ネット販売時代にもしぶとく生き残っていて、2018年時点で日に200~300トンもの衣料品を出荷していたという。ここから出荷された衣料品が中国津々浦々の個人経営の服屋さん、激安ネットショップで販売されている。

 以前にも訪問したことがあるが、巨大な荷物を電動三輪車で運ぶ配送のお兄さん、人目を気にせず服を着替えては販売サイト掲載用の写真を撮る女性店員さんなど、活気あふれる光景が楽しいマーケットだ。

 昨年の上海ロックダウン期間中にはショップ経営者たちが「仕事はできないのに、テナント料は払えっていうのはむごい」と抗議活動を行ったと報じられていたが、果たして健在なのだろうか。

 訪ねてみると、相変わらずにぎわっているように見えた。客は少ないが、それはコロナ前も同じ。商売の大半はネットで完結しているからだ……などと納得していたのだが、ビルの中に分け入ってみると、まったく違う光景が見えた。

一棟まるまる空っぽのビル……上海中心部にちょっとした“廃墟”が

 1階はテナントがぎっしり詰まっているビルでも2階、3階とあがっていくと、段々と空きテナントが目立っていく。最上階まで行くともぬけの殻で電源が落とされていたビルもあった。倉庫として使われている場所もちらほら。そればかりか、ちょっと外れた場所にある人気がないビルだと、一棟まるまる空っぽになっていることも。上海市の中心部にちょっとした“廃墟”が誕生していた。

参考文献・参考資料

習近平が長老たちに叱られて逆ギレ…!八方ふさがりの「中国不動産」が“世界一ヤバい”認定されて迎える中国経済「最大の危機」 (msn.com)

【解説】 中国で高官が相次ぎ消息不明 習政権に問題が起きているのか (msn.com)

日本周辺で操業→中国で陸揚げすれば「中国産」 水産物禁輸から1カ月…露呈する矛盾、習政権の立場いっそう厳しく (msn.com)

「未富先老」に直面する中国の農民工 年金格差30倍「定年など無縁だ」 | 等身大の中国 | 河津啓介 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)

中国・習近平主席の権勢は弱まるか 経済低迷、相次ぐ閣僚の失脚…困難続きの外交を分析 (msn.com)

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