見出し画像

政治講座ⅴ1588「北朝鮮からの見舞いの電報の対応が関係改善の好機」

 善意に解釈するなら「見舞いの電報」は「関係改善」シグナルであり両者の好機ととらえるべきであろう。
北朝鮮は、寒い冬を迎えて食料もなく、餓死者を出している窮状を救ってほしい下心があるかもしれない。
能登半島の地震の震災に自国が苦しい中で日本に対する気遣いには、感謝するべきであろう。
こんなときが、「拉致問題」の進展の好機でもある。
ロシアに弾薬などの物資を提供する代わりに食料を得ているとの情報がある。
過去の憎しみをいつまでも引きずっていても改善は望めない。このような機会にこそ両者の改善が期待できるのであると確信している。拉致問題もミサイル発射問題も解決の話し合いの糸口になると考える。下心のあるのが外交である。日本の国益に不利益にならないならば、騙されるふりをするのも外交であろう。そして、反日・反日と騒ぐ韓国への抑止力にもなるであろう。北朝鮮から韓国を同じ民族と思わないとする発言が聞こえてくる。親分の中国もロシアも経済が破綻状態であり、子分の面倒も見切れないようであるので、今こそ北朝鮮との関係改善の好機である。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年1月9日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

金正恩氏の異例メッセージに林官房長官「感謝」 能登半島地震

毎日新聞 によるストーリー • 5 時間

林芳正官房長官© 毎日新聞 提供

 林芳正官房長官は6日の記者会見で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が岸田文雄首相宛てに能登半島地震についての見舞いのメッセージを出したことについて「感謝の意を表したい」と述べた。

 林氏は「ご遺族および被害に遭われた方へのお見舞い、被害地域の方々が一日も早く地震被害から立ち直り、安定した生活を取り戻すことを願っているという旨のメッセージが発出されたと承知している」と述べた。

 その上で、今回の地震被害では各国・地域から見舞いのメッセージを受け取っており「日本政府として感謝している」とした。金氏への返答については、現在は災害対応に全力で取り組んでいるとして「各国首脳等からお見舞いのメッセージの逐一に対して返信は現時点では行っていない」と説明した。

 林氏によると、1995年の阪神大震災で、当時の北朝鮮の姜成山首相から見舞いのメッセージが村山富市首相宛てに送られたが、地震被害などについて北朝鮮の最高指導者から日本の首相にメッセージが送られたケースは近年では把握していないという。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は6日、金氏が能登半島地震について岸田首相に見舞いの電報を送ったと伝えた。【池田直】

金正恩氏が岸田首相に異例の電報 能登半島地震「生活回復祈る」

毎日新聞 によるストーリー • 13 時間

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記=平壌で、朝鮮中央通信・ロイター© 毎日新聞 提供

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は6日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が石川県能登地方を震源とする地震について岸田文雄首相に「被災地の人々が一日でも早く地震被害を解消し、安定した生活が回復することを祈る」とする見舞いの電報を送ったと伝えた。金氏が日本の首相に電報を送るのは極めて異例

 金氏は「日本が不幸にも新年初めから地震により多くの人命被害と物質的損失を受けたという知らせに接した」とし、岸田首相と遺族や被害者に対し、「深い同情」と哀悼の意を表した。

 ラヂオプレス(RP)によると、2004年の新潟県中越地震11年の東日本大震災の際は、北朝鮮の赤十字組織が日本の赤十字側に見舞いの電報を送る形を取っていた。また当時の金正日総書記が在日朝鮮人に見舞金を送った。今回の電報の内容は国内向けの公式報道である朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」でも掲載された。【ソウル日下部元美】


2024年、韓国「総選挙」で起きる「反日ブーメラン」の“最悪シナリオ”…! 韓国の根深い「文在寅リスク」という“危ない現実”と、2024年に日韓で起きる「ほんとうのこと」

豊 璋 によるストーリー • 10 時間

2024年の「日韓関係」は、いったいどうなる…?

2024年の日韓関係を占うような出来事が、2023年末に立て続けに起きた。

ひとつは元徴用工問題に関して、韓国大法院(最高裁)は日本企業を相手に損害賠償を求める判決を出し、原告の勝訴が確定した。また、慰安婦問題をめぐっては、同じく2023年末に韓国の高等裁判所が日本政府に賠償を命じる判決を言い渡し、それが確定した。

2023年には韓国で尹政権が日韓関係の改善に動き出し、元徴用工問題などで韓国政府が主導して解決に動く姿勢を見せていたが、年末になってこのような判決が立て続けに出たことは驚きを持って受け止められている。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

韓国では、日韓関係が改善したという声が聞かれるようになってきた。が、同時に、いまだに文在寅政権時代の思想がいまだに根深く広がっている現実も感じられずにいられない。

文在寅政権時代に登用された人物たちも、いまだに韓国中枢にたくさんいる。そうした人たちは国民感情の変化を読み取り、表立っては動かないようにしているが、虎視眈々と機会をうかがっている。

日韓関係は変わったように見えて、じつは大きくは変わっていない。目に見えにくくなった分、じつは悪化しているともいえるかもしれない。

「反日」がブーメランへ!

韓国では、いま多くの人たちがいまの日本文化を謳歌している。それは間違いない。

しかし、ほんの数年前までは反日不買の声をあげて、日本製品のボイコットまでしていたことは記憶に新しい。この変化はいったい、何なのか。

ここからわかるのは、多くの人は本音では「反日」であったわけではなく、その時代の風潮の言いなりだったということではないだろうか。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

それは同時に、警戒すべき問題だともいえる。なぜなら、いま再びの反日のムーブメントが立ち上がってくれば、同じように「ちゃぶ台返し」が起きる確率が高いからだ。

韓国では2024年春に総選挙があるが、やはりその国会議員総選挙の結果が出るまで、何も安心ができないというわけだ。最悪の場合、反日がブーメランのように返ってくる悪夢のようなシナリオが現実になる可能性も十分にあるのだ。

2024年、韓国は「変わる」のか…?

韓国では長く反日教育が行われてきたことを考えると、やはりいまだに根っこには「反日」を持っている人は少なくないだろう。

私が在日として日本で暮らしていた時、私は組織を離れて日本で在日として静かに暮らしたいと思っていた。それにもかかわらず、組織やその関係者たちは子どもにも自分の主張を押し付けてきた。私はそれが嫌だった。

そんな組織から離れた身としては、明らかに組織、関係者が訴える内容が間違っているとわかっているにもかかわらず、誰もが「間違っている」と言わない、言えないという現実があることは重々知っている。それは外から見ているよりも、よほど難しいことなのだ。

2024年は、韓国が「反日洗脳」から一歩踏み出す年になるだろうか。みなが声をあげて、自分の思っていることを語り、言いたいことを言える社会になって欲しい。

そうでなければ、韓国でも日本でも、真面目に国をよくしようとする人たちが不憫でしょうがない。2024年も、私はこれまで以上に言い続けて行きたいと思う。

北朝鮮「砲撃装う爆破音」 正恩氏妹、韓国動揺画策か

共同通信社 によるストーリー • 45 分

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は7日、黄海で6日に北朝鮮の砲撃があったとする韓国軍の発表に関し、実際には北朝鮮が砲撃を装うために仕掛けた60回分の爆薬の音だったと主張する談話を発表した。朝鮮中央通信が報じた。真偽は不明だが、韓国側で軍の監視能力に疑念を生じさせ、社会を動揺させる狙いがありそうだ。

 韓国軍は6日、午後4~5時(日本時間同)ごろに黄海上の韓国領、延坪島の北西で北朝鮮が60発以上の砲撃を実施したと明らかにしていた。(共同)

北朝鮮が3日連続の砲撃、海上の南北境界線「NLL」周辺で90発以上

読売新聞 によるストーリー • 16 時間


(写真:読売新聞)© 読売新聞

 【ソウル=依田和彩】韓国軍合同参謀本部は7日、北朝鮮が同日午後、黄海上の韓国側の離島・延坪島(ヨンピョンド)の北方で90発以上の砲撃を行ったと発表した。

 韓国の聯合ニュースによると、韓国側に被害はなかった。北朝鮮が海上の南北境界線にあたる北方限界線(NLL)周辺海域で砲撃を行うのは3日連続となる。朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍総参謀部は7日、88発を発射する海上砲撃訓練を実施したと発表した。

北朝鮮、黄海で3日連続砲撃 うち1回は偽装を主張

共同通信社 によるストーリー • 19 時間

 【ソウル共同】韓国の聯合ニュースは7日、韓国軍関係者の話として、北朝鮮が同日午後4時(日本時間同)ごろから、黄海上にある韓国領、延坪島の北方で砲撃を行ったと報じた。砲撃は3日連続。韓国側への被害はないという。

 一方、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は7日、韓国が発表した6日の砲撃について、実際は偽装目的で仕掛けた60回分の爆薬の音だったとする談話を発表した。朝鮮中央通信が報じた。真偽は不明だが、韓国側で軍の監視能力に疑念を生じさせ、社会を動揺させる狙いがありそうだ。

 金与正氏は談話で、偽装作戦の反応を注視した結果、韓国軍は「予想どおり」欺かれたと主張した。

024年、韓国「反日不買」が“大復活”する「悪夢のシナリオ」が急浮上…! 2023年「日韓関係」が改善のウラで、2024年「韓国総選挙」で“反日ブーメラン”の巨大リスク

豊 璋 によるストーリー • 7 時間

日韓関係の「ある心配事」

2023年12月から病気療養で訪れた大分県・別府の温泉に入りながら、2023年の日本と韓国を振り返ってみた。

すると、さっそく「日韓関係回復傾向」という無責任な文字とともに、「変われる人と変われない人」という言葉が浮かんできた。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

日韓関係の改善については、民間レベルでの韓国人訪日客の増加をみれば歴然としている。11月末時点で200万人に迫ったというニュースを聞いたが、文在寅政権時代の「反日不買」前を思い出した。

当時、日本のさまざまな都道府県の観光課が韓国に席を置いていたが、その担当者と「今年(2019年度)は韓国人の訪日が200万人突破しそう」と顔を合わせれば話していたことがあった。文在寅政権によって大崩壊した日韓関係だが、ここへきてやっとあの頃の“勢い”が取り戻せた、ということなのだろう。

そんな日韓が良好な関係を作っていく中で、やはり心配事は「韓国内の左派従北勢力」だろう。

2024年の「予兆」

2023年年末が近づくにつれ、韓国では何やら不思議な現象が起きていた。

韓国は尹政権が左派勢力を「反国家勢力」と位置付けて「一掃作戦」を行なっている。また、日韓関係改善のために、拗れに拗れていた元徴用工問題も「第三者弁済」という形で韓国内で解決することも決めた。慰安婦問題にしても、慰安婦合意破棄の原因が左派市民団体にあったことはすでに国民が理解、認識してきたし、春の国会議員総選挙での結果次第では慰安婦問題も加速しそうだと思っていた矢先に、驚きの出来事があったのだ。

2023年12月9日、韓国高裁(地方裁)でまたもや日本政府に旧日本軍の慰安婦被害者らへの賠償を命じる判決が確定した。最近、反日運動に対してネタがなかった左派従北勢力はさっそくこの結果に歓喜し、「我に正義あり」と言わんばかりの声を上げている。

さらに、元徴工用問題に関しても12月21日大法院(最高裁)で日本企業側が原告1人当たりに1億~1億5000万ウォン(約1100~1600万円)を支払うよう命じた。元徴用工問題は韓国政府の主導のもとで第三者弁済で解決して行くはずだったのだが、どうなるのか。

こうした年末の一連の出来事を見て、2024年に向けた騒動の始まりの予感のようなものを感じたのは私だけだろうか。

「悪夢のシナリオ」もあり得る

韓国内ではいま、反日を叫べば露骨に「あなたは真っ赤か」と言われる。それほど韓国の国民は「反日、不買」運動を忘れ、むしろ嫌悪感を頂き、逆に日本文化に酔いしれている。それに比べて何かしら反日のネタは無いかと日々探し回る左派従北思想の政治家、メディア、そして、市民団体が不憫でならない。

韓国では、多くの一般人がこれまで自分たちが支えて来た「反日正義」を簡単に捨ててしまっている。それなのに左派従北思想の政治家、市民団体たちはいまだに「我に正義あり」と見透かされている主張を叫び続けている。

多くの国民は気付き始めているが、逆に言えば、そうではない層も一定数いまだにいるともいえる。それほど左派思想の根強さも感じる。2024年は韓国の総選挙が待ち構えている。そうした時に、再びの「反転」が起きて「反日不買」がブーメランのように戻ってくるという悪夢のシナリオもあり得る。

2024年の日韓関係もまだまだ安泰とはいえそうにない。


尹大統領は“日韓善隣外交”を続けられるのか? 総選挙が"ヤマ場"だが…関係者から「弱々しい答え」が返ってきた理由

牧野 愛博 によるストーリー • 8 時間

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は2024年、任期5年の折り返し点を迎える。私たち日本人にとって一番気になるのは、尹政権の日韓善隣外交がいつまで続くのかという点だ。2024年には、その行方を占う重要なヤマが2つやってくる。

尹錫悦氏 ©AFLO© 文春オンライン

対日外交は「信念である」

 韓国の政府当局者や専門家らは、尹氏の対日外交について「信念であり、ぶれることはない」と証言する。尹氏は2023年8月の日米韓首脳会談後に開いた閣僚懇談会で「私は日米韓を選択した」と言い切った。

 側近たちの言葉を借りれば、尹氏は文在寅(ムンジェイン)前政権の失敗の象徴が、日韓関係の悪化だったとも考えている。文政権を蛇蝎のように嫌う尹氏による対日政策の変更はあり得ないという。

ハンガーストライキを行った野党の代表に対し…

 ただ、この尹氏の政治スタイルは、韓国内であまり評判が良くない。典型が前回の大統領選を争った野党、共に民主党の李在明(イジェミョン)代表への仕打ちだった。李氏は尹政権を批判し、8月末から24日間にわたるハンガーストライキを行った。

 報道では、「(様々な不正疑惑による)拘束を逃れるための防弾断食だ」として、李氏に否定的な反応がほとんどだったが、保守系関係者の間では「尹大統領もちょっと大人げない」という声が出ていた。

 元大統領府高官は「私が側近なら、秘書室長か政務担当首席秘書官を見舞いにやらせる。見舞いを非難する人などどこにもいないし、中道を取り込めるのに」と打ちあけた。尹氏は李氏を犯罪者と決めつけ、李氏本人との面会を受け付けず、側近を見舞いにも行かせなかった。

 尹大統領は閣僚たちに「あいまいな政策は要らない。白か黒かはっきりした案を示せ」と指示しているという。

 保守系の元政府高官は「尹氏は政治家ではない。反対勢力もとは言わないが、せめて中道を取り込まないと政権の浮揚は難しい」と嘆く。

 韓国の世論調査会社リアルメーターが2023年9月25日に発表した資料によれば、尹氏の支持率は37.8%。政権与党「国民の力」の37.5%とほぼ同じで、上積みがない。逆に、共に民主党の支持率は46.1%となっている。

党関係者からの弱々しい答え

 そのが2024年の最初のヤマ場と位置付けているのが4月に行われる総選挙だ。2023年9月時点での韓国国会(定数300)の勢力図は、共に民主党168、国民の力111などとなっている。国民の力は公式には「過半数の獲得」を唱えているが、同党関係者に話を聞くと、「比較第一党も厳しいかもしれない」という弱々しい答えが返ってくる。

 一番の原因は「首都圏」と呼ぶソウル・仁川・京畿道での苦戦ぶりだ。約120議席を占める大票田だが、国民の力の関係者は異口同音に「40議席取れれば、比較第一党になれる」「過半数はとても無理だ」と案じる。与党は、首都圏に住むMZ世代と呼ばれる20~30代からの十分な支持を得られずにいる。

 関係者の一人は「元々、前回の大統領選の勝者は保守ではなかった。反文在寅でまとまった尹氏が勝利したに過ぎない」とも語る。総選挙で、国民の力が第一党になれなければ、その時点から尹政権のレームダックが始まるというのが韓国政界の一致した見立てになっている。

トランプが巻き起こした大きな混乱

 そして、韓国総選挙をしのぐ、大きなヤマ場が2024年11月にある米国大統領選挙だ。韓国政府当局者は「仮にトランプ前大統領が勝利すれば、日米韓や日韓の関係は吹き飛んでしまいかねない」と懸念する。

 トランプ氏は大統領に在任中、在韓米軍の撤退や米韓自由貿易協定(FTA)の破棄を示唆する動きを繰り返した。このトランプ氏の「同盟無視」の姿勢は、韓国内で独自核武装論を巻き起こすなど、大きな混乱を呼んだ。

 韓国の米国専門家は「韓国人の9割が米韓同盟を支持している。進歩系が日韓関係の改善を批判しないのは、米国が強力に後押ししている事情が大きい」と解説する。韓国政府当局者も「トランプが再選されれば、(日米韓協力の強化をうたった)キャンプ・デービッド精神も簡単に反故にするだろう。そうなれば、進歩勢力が再び、日本に対する批判を強める可能性が高い」と推測する。

日米韓はキャンプ・デービッドでの首脳会談で、首脳、外相など6つの枠組みで最低年一回、日米韓協議を行うことで合意した。だが、最も力が強い米国がやる気を失えば、「協議の定例化」は霧散する。2008年に始まった日中韓首脳会談が、中国のわがままから、度々延期に追い込まれているのと同じ構図だ。

 日韓両政府は現在、2024年に予想される難局に備え、関係の強化を目指している。当局者の1人は「(韓国総選挙が行われる)4月までが日韓のゴールデンタイム。それまでに、未来志向で日韓関係の重要性を理解してもらえる施策を打ちたいが、なかなか妙案が出てこない」とも明かす。

日韓両政府が最も関心を寄せていること

 日韓両政府が現在、最も関心を寄せているのが安全保障を巡る協力の強化だ。日本が同様に協力を進めるオーストラリアと比較してみても、日韓防衛協力の脆弱性がはっきりわかる。

 日豪両国の取り決めのなかで、日韓両国にもあるものは軍事情報包括保護協定(GSOMIA)しかない。物品役務相互支援協定(ACSA)も、外務防衛閣僚協議(2+2)も、円滑化協定(RAA)もない。

 尹錫悦大統領は2023年8月に「日本が国連軍司令部に提供する7カ所の後方基地は、北朝鮮の韓国侵攻を遮断する最大の抑止要因」と演説した。だが、肝心の韓国軍は、日本から弾薬を受け取ることも、韓国軍戦闘機が日本の基地に避難することも自由にできない

 現状では、2027年5月に誕生する韓国新政権が保守になるとは限らない。尹政権が最後まで求心力を維持できれば、安全保障協力を一歩でも進めることができるだろうが、「政治家ではない尹錫悦大統領」には荷が重い期待かもしれない。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『 文藝春秋オピニオン 2024年の論点100 』に掲載されています。(牧野 愛博/ノンフィクション出版)

日本の首相を「不倶戴天の敵」と呼んでいた北朝鮮、岸田首相には突然「閣下」…その狙いは

13 時間

▲イラスト=パク・サンフン© 朝鮮日報 提供

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が日本の岸田文雄首相を「閣下」と呼び、先日の能登半島地震に哀悼の意を示した。北朝鮮は通常日本の首相に対しては「不倶戴天の敵」などと敵意をあらわにしているが、今回のように「閣下」と親しみを込める言葉を使うのはほぼ前例がない。


日本の首相を「不倶戴天の敵」と呼んでいた北朝鮮、岸田首相には突然「閣下」…その狙いは© 朝鮮日報 提供

 朝鮮中央通信は6日、金正恩総書記が前日「日本国総理大臣岸田首相閣下」に電報を送り「新年正初(年始め)から地震により多くの人命被害と物質的損害を被ったとの知らせに接し、遺族と被害者の皆様に深甚な同情と哀悼を表する」「私は被害地域の人民が一日も早く安定した生活を取り戻すことを祈願している」と伝えた。

 北朝鮮が異例にも金正恩総書記名義で岸田首相に「閣下」という呼称まで使い哀悼の意を伝える理由については「両国関係改善をもくろんでいる」との見方が有力視されている。韓米日3カ国の安全保障協力が強化され、文字通り隙のない状態の韓国と米国ではなく、日本を利用して外交的孤立を避けたい意図があるとの見方だ。ある韓国政府当局者は「韓国とは違って日本を相手にすることで韓国社会内部の対立を煽る意図がありそうだ」との見方を示した。元北朝鮮外交官で韓国与党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員は自らのフェイスブックに「同族である韓国に対しては超強硬な姿勢で南南葛藤(韓国国内の対立)を誘発し、日本には融和的な態度を示すことで韓米日によるキャンプデービッド・プロセスを弱めたいのだろう」と指摘した。

 日本の林芳正・官房長官は日本メディアとの記者会見で「金正恩委員長のメッセージには感謝の意を表する」とする一方「2011年の東日本大震災など、北朝鮮の最高指導者が日本の首相に地震などに関する慰労のメッセージを送った事例は最近はない」と明らかにした。林官房長官は金正恩総書記のメッセージに返信するか問う質問には「各国首脳からのメッセージへの返信は現時点では行っていない」と述べ明言を避けた。

 北朝鮮は過去にも何らかの狙いがある時に「閣下」の呼称を使った事例がいくつかある。金正恩総書記は米国のトランプ前大統領に対して2017年までは「狂った老いぼれ」などと侮辱していたが、米朝首脳会談で制裁解除を狙った際には丁重に「閣下」という言葉を使った。また2018年にトランプ大統領(当時)に送った親書では9回にわたり「閣下」と呼び、「卓越した政治的感覚を持つ閣下に直接会いたい」「閣下と直接朝鮮半島非核化問題について話し合うことを希望する」との考えを伝えた。

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が2018年9月に南北首脳会談のため平壌空港に到着し、朝鮮人民軍儀仗隊の査閲を行った際、朝鮮人民軍大将は「大統領閣下、朝鮮人民軍儀仗隊は閣下をお出迎えするため整列いたしました」と述べた。しかしその後ベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談が決裂し制裁解除のもくろみが外れると、北朝鮮は文前大統領に対し「おびえた犬」「物珍しいほど厚かましい人間」「特等のあほう」などさまざまな侮辱の言葉を使った。

 金正恩総書記の父である故・金正日(キム・ジョンイル)総書記も米国大統領に「閣下」という言葉を使ったことがある。北朝鮮が国際社会からエネルギー支援などを得るため6カ国協議に応じていた2005年、金総書記は鄭東泳(チョン・ドンヨン)韓国統一部(省に相当)長官(当時)と面会した際、米国のジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)について「ブッシュ大統領閣下と呼びます。ブッシュ閣下に対して悪く考える理由はありません」と語っていた。
キム・ミンソ記者


北朝鮮の行き詰まり 餓死者3倍、自殺者1.4倍に増加 金正恩総書記の健康不安も

2023/06/23/ 07:30
牧野愛博
5月31日、軍事偵察衛星を搭載したミサイルを発射した北朝鮮。経済活動の落ち込みや硬直化した国家運営、そして金正恩総書記の健康不安など停滞感が漂っている。
AERA 2023年6月26日号の記事を紹介する。

【この記事の写真をもっと見る】

*  *  *

 北朝鮮の現状はどうなっているのか。

 金正恩(キムジョンウン)氏が権力を継承した11年末以降、北朝鮮経済は一時期好転したものの、現在は低迷が続いている。韓国銀行によれば、北朝鮮の実質国内総生産(GDP)の成長率は、20年が前年比マイナス4.5%、21年が同マイナス0.1%だった。

 韓国の情報機関、国家情報院は5月31日の国会情報委員会で、北朝鮮で餓死者が平年の3倍に、自殺者も1.4倍にそれぞれ増えていると報告した。トウモロコシの価格が昨年1~3月期の1.6倍、コメの価格が同1.3倍に値上がりしている。国際社会による制裁や自然災害に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための国境封鎖のため、経済活動が大きく落ち込んでいる模様だ。

 ただ、原因はそれだけではなさそうだ。北朝鮮大使として2度平壌に赴任したドイツの元外交官、トマス・シェーファー氏によれば、北朝鮮では08年ごろから16年ごろまで、軍事開発や内部統制を強調する強硬派と中国などとの関係改善や市場経済の一部導入を訴える穏健派との間で権力争いが続いた。韓国銀行によれば、北朝鮮の経済成長率は11年から14年までは前年比1%前後の低い伸びを示した後、16年には好調な中朝貿易に支えられて同3.9%増を記録した。

 だが、張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長が13年12月に処刑されるなどして、強硬派が16年までに権力闘争に勝利し、現在の硬直した国家運営につながっているという。

 韓国統一省によれば、北朝鮮は昨秋、穀物の生産と流通を国家が統制する新政策を導入した。市場での食料の取引を禁じ、市場価格より若干安い「糧穀販売所」での販売を目指した。市民は安く買いたたかれる糧穀販売所への食料売却を嫌がり、闇市場などで食料を売買している。糧穀販売所での食料供給が滞り、山間部など物流が悪い場所では餓死者も発生しているという。中国の税関統計によれば、昨年末から北朝鮮の中国からの食料輸入量が急増している。1~3月のコメ輸入量は約7万6千トンにのぼったが、食糧事情の劇的な改善には結びついていない。

 また、金正恩氏は21年1月に発表した国家経済5カ年計画の一環として、25年までに平壌に計5万戸の住宅を建設する事業を推進している。平壌市の人口は250万から300万人程度とされるが、住宅事情が逼迫し、市民の不満の主要原因になっていた。14年に脱北して米バージニア州に住む元労働党員、李ヒョン昇(ヒョン=火へんに玄、リヒョンスン)氏によれば、2LDKのアパートに2世帯が入り、風呂とトイレと台所を共用することが日常茶飯事になっていた。

 このため、15年ごろまでは、金主(トンチュ)と呼ばれる新興富裕層が、「絶対にもうかる商売」としてアパートを次々に建設していた。北朝鮮では住宅は国有で、個人間の売買は禁じられている。金主は党や政府、軍の幹部に建設したアパートの部屋を無償で提供するなどして、事業を黙認してもらっていたという。

■国家統制を強化する一方、金正恩総書記の健康不安も

 ところが、こうした事業にストップをかけたのが金正恩氏をかつぐ強硬派だった。李ヒョン昇氏によれば、強硬派たちは「すべての政策は最高指導者から始まる」を合言葉に、国家統制を強化した。金主たちはアパート建設事業からの撤退を余儀なくされ、国家主導のアパート建設が取って代わったという。

 金正恩体制は目標貫徹のため「速度戦」「万里馬運動(1日に1千里を駆けると言われた伝説の千里馬よりも速い速度で事業を行うという意味)」を掲げた。住宅建設には軍人のほか、大学生も動員されている。

 李氏は「安全基準も守らず、素人が作った家は危なくて、誰も入居したがらない」と語る。

 国家情報院は5月31日の報告で、北朝鮮が4月、睡眠導入剤に使われるゾルピデムなどを集中的に集めたとし、「金正恩氏は重大な睡眠障害に苦しんでいると考えている」とした。国情院は、正恩氏がアルコールとニコチンへの依存度を高め、さらにひどい不眠症に苦しむという悪循環に陥る可能性に注目しているとした。5月16日に登場した正恩氏は、目にくまがくっきりと浮かび、体重もAI分析で140キロ台半ばと推測されたという。昨年末以降、金正恩氏の前腕などに引っかき傷が確認され、国情院はアレルギーとストレスの組み合わせだと分析しているとした。

 北朝鮮のパク・サンギル外務次官は5月29日、「もし、日本が過去にとらわれず、変化した国際的流れと時代に即して互いをありのまま認める大局的姿勢で新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由はない」とする談話を発表した。

 別の脱北した元労働党幹部によれば、北朝鮮は現在、バイデン米政権と対話する考えはない。朝鮮中央通信は4月30日の論評で、米国を「悪の帝国」と呼び、米韓同盟強化を訴える韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領を「逆徒」とののしった。

 偵察衛星発射も日本への秋波も、北朝鮮国内の行き詰まりをそのまま反映した動きと言えるだろう。(朝日新聞記者、広島大学客員教授・牧野愛博)

AERA 2023年6月26日号より抜粋

参考文献・参考資料

金正恩氏の異例メッセージに林官房長官「感謝」 能登半島地震 (msn.com)

金正恩氏が岸田首相に異例の電報 能登半島地震「生活回復祈る」 (msn.com)

2024年、韓国「総選挙」で起きる「反日ブーメラン」の“最悪シナリオ”…! 韓国の根深い「文在寅リスク」という“危ない現実”と、2024年に日韓で起きる「ほんとうのこと」 (msn.com)

北朝鮮「砲撃装う爆破音」 正恩氏妹、韓国動揺画策か (msn.com)

北朝鮮が3日連続の砲撃、海上の南北境界線「NLL」周辺で90発以上 (msn.com)

北朝鮮、黄海で3日連続砲撃 うち1回は偽装を主張 (msn.com)

2024年、韓国「反日不買」が“大復活”する「悪夢のシナリオ」が急浮上…! 2023年「日韓関係」が改善のウラで、2024年「韓国総選挙」で“反日ブーメラン”の巨大リスク (msn.com)

尹大統領は“日韓善隣外交”を続けられるのか? 総選挙が"ヤマ場"だが…関係者から「弱々しい答え」が返ってきた理由 (msn.com)

日本の首相を「不倶戴天の敵」と呼んでいた北朝鮮、岸田首相には突然「閣下」…その狙いは (msn.com)

北朝鮮の行き詰まり 餓死者3倍、自殺者1.4倍に増加 金正恩総書記の健康不安も | 概要 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?