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ライターに火をつけろ

いまだに火の扱い方が人一倍ヘタクソなのかもしれないと思う今日この頃。

まず私にタバコを吸う習慣はない。そのまえにタバコを含む煙全般を苦手としている部類である。

昔まだ幼かった時期、父親が30代だった頃にタバコを吸っているところをよく見かけていた。
それは家の中でも外でも場所は問わない。車を運転している最中でも窓を全開にしながら、まるでどこぞのアーティストにあるミュージックビデオのワンシーンを彷彿とさせるかの如く、その姿は一枚の絵になるものであった。

ただ父親は一日に何十本も吸ったり、すぐに一箱を消費してしまうみたいなヘビースモーカーではなかったと記憶している。それこそ、私が小学生の高学年あたりで既に禁煙していたのであった。

とはいえ、大人になったらあんなふうに吸ってみたい…などと子供の頃は全くもって思わなかった。

20歳を超えてからふとしたことで、一回だけでも吸ってみようかなと思っていた時期もあったりしていた。
だが手を出したら肺だの何だのという健康云々よりも、間違いなく取り返しがつかなくなるほどの依存症になってしまうかもしれない。
そう心のブレーキが半永久的にかかってから十数年経過した今も、一本もタバコを咥えたことはない。

そのせいだろうか、私にはライターに火を付ける機会はほとんどなかったのである。

先日お彼岸のため、親とお墓まりに行った際に火付け役として任された私は、使い捨てのライターを使って着火剤に火を灯していた。
だが、普段からまったく使い慣れていないフリント式の特徴である回転式やすりを前に、うまく火が付けられず悪戦苦闘を強いられてきた。

おまけにこの日は快晴ながらも風が一段と強く、ただでさえ慣れない中での状況下で着火することの難しさをさらに際立てている。
そうしておそるおそる火を付けながら着火剤に灯していると突然風向きが変わり、ライターから放っている小さな火が自分の指に触れた。

その瞬間私は「ウワツィィィイイイ!!」という、某テレビゲームのボス戦に出てくるキャラクターにダメージを入れた時と似たような悲鳴を、思わず張り上げてしまったのである。
ある意味で唯一の弱点にクリティカルヒット(?)を受けた感覚であった。

先祖代々が眠っている前で、私は何をなんともお見苦しい…というよりもお恥ずかしい姿をお見せしてしまっているのやら。

幸い周りには私たち以外誰もいなかったため、いろんな意味で事なきを得ることができた。そもそも近くに知らない人がいたら、こんな阿呆アホウな声はまず出さないって。

ただ今回のことを踏まえてまた何かあった時のために、一応は練習でもしておいた方がいいのかもしれない。頻繁に使うことはなくとも、転ばぬ先の杖としてとっておくためにも。

そういえば昔リアルタイムで見ていた「デジモンテイマーズ」というアニメにサングラスをかけた男性が、よくカチカチとジッポを鳴らしているシーンを多く見かけたなぁと、唐突に思い出した。

けれどあれはあれで意外にも絵になるような場面でもあったと、今更になって感慨深くなってしまうのであった。

最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!