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久々のギョーザ作戦、 大失敗に終わる

「あ、これもしや…思いっきり張り付いているヤツじゃないか?」

私が上京して一人暮らしを始めると同時に自炊もおこなうようになってから、月に一度のペースで味の素のギョーザを購入しては夕飯のメインディッシュとしていた。

自分で手作りを用意するよりかつお店に行って食すよりも、断然こちらの方が自分にとってはあらゆる面でお手軽である。

冷凍食品とはいえ甲乙つけがたい絶妙な味付けに、油や水もいらずで簡単に調理できるコレは、私にとってある意味一つのソウルフードでもあった。


しかし先日の夕飯で久々に餃子を焼くことにしたところ、自分の人生の中で前代未聞の大事件が勃発したのである。

フライパンの上に凍った餃子を乗せ、フタをしめて火をつけておよそ5分蒸し焼きにする。時間が経ったらフタを開けて、羽根全体がキツネ色になるまで焼けば完成だ。

ここまでは普段通り順調だった。やがて丁度良い焼き加減になったところでガスを止め、盛り付け用のお皿を被せてひっくり返そうとしたところ、一つの違和感を覚えたのだった。


「餃子がお皿の上に落ちてこない…?」


いつもならここで「ジャーン!」などというSEが思わず鳴る具合に、羽根のようなパリパリとした薄い皮付き餃子がフライパンから華麗に舞い降りてくる。だが今回に至っては、その様子が一切見受けられない。

このままでは埒が明かないため、勢い余って餃子が飛んでしまわないよう、かつアツアツに熱したフライパンに触れてしまわないように、両手でうまく押さえながら上下に揺らしてみた。

そこから格闘することおよそ5分。おそらく熱を失ってしまったであろう餃子は、まるで氷柱つららのごとく落ちてくる気配すらまったくない。

力技ではどうにもならないと考え、菜箸を使って外の羽根部分から剥がしてみようと試みた。そして「ガリッ」といういかにも鈍そうな音が鳴った途端、自分の中で事の重大さを悟ったのであった。


「あ、これ失敗に終わったわ…」


この後いくら餃子を剥がそうと試みるも、ほぼ全体がくっついて微動だにしなかったため、仕方なくフライパンごとキッチンから持っていってそのまま頂くことにした。

張り付いた餃子を箸だけで取り出すにも一苦労な上に、食感も今まで自分で調理してきた中では、過去一いまひとつの出来だった。

久々に調理したということも一理あるかもしれない。しかし手作りで失敗するようならともかく、フライパンの上に置いてフタをしめて焼くだけの簡単調理に、まさかの形で失敗するとは…。

ちなみに後片付けも案の定、いつもより時間をかけて苦労する羽目となってしまった。盛り付け用のお皿を一枚無駄に洗わなければならない他、調理に失敗してしまったフライパンに付いた残骸の後始末は、かなり骨が折れるものであったのだから。

けれど、この程度の失敗でめげてしまってはならない。これに懲りずまた挑戦しなければ…と思いつつ、しばらくは茹で餃子にしてもいいかもしれないと考える昨日の夜であった。


最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!