紙幣3148176

財政赤字を家計の赤字に例えてはダメ

財務省は、政府の財政赤字の大きさを、家計簿に例えて説明していますが、これはミスリーディングだから、やめるべきです。
家計簿の赤字を減らそうと外食をやめれば、赤の他人であるレストランが困るだけで、家計簿の赤字は簡単に減らす事ができますが、政府が財政赤字を減らそうと増税すれば、赤の他人ではない国民が困る事になります。しかも、景気が悪化して税収も思ったほど伸びないかも知れません。
国の財政赤字を例えるとすれば、夫の小遣い帳でしょう。夫は給料をすべて生活費として妻に渡し、子供に小遣いも渡しているので、夫の収支は赤字です。一方で、子供の貯金は増えているので、家計としては赤字ではありません。
加えて、妻がパートで働いて、夫に金を貸し、残りを銀行に貯金しているとします。家計簿は大幅な黒字でしょう。夫は消費者金融から返済を迫られる事もなく、平和な家庭です。これが日本国の経常収支の黒字に相当するわけです。
つまり、財政収支を夫の小遣い帳に、経常収支を家計簿に例えるのが正しい、という事になるわけですね。
家計が黒字なら、無理に生活水準を下げる必要はありませんね。あとは、夫が妻に渡す生活費を減らして妻にも生活費を負担させるべきか否か、といった「夫婦喧嘩」をすれば良いだけです。
もっとも、夫婦が他界して子供が相続をすれば、夫婦喧嘩の結果は関係なくなります。夫が妻に生活費を負担させる事で自分の小遣い帳を改善しても、子供が相続する金額の合計は変わらないからです。
夫が子供に渡す小遣いを減らせば、やはり夫の小遣い帳は改善しますが、これも同様に、子供が相続した後の財産額には影響しません。
つまり、財政赤字を減らしても、子の状況は改善しないのです。「財政赤字は後の世代へのツケ回しだから避けるべきだ」という人がいますが、遺産のことも考えれば、そんな事はないのです。
「財政赤字が世代間不公平だ」というのは視野の狭い考え方です。遺産の事も考えれば、世代間不公平など無いのです。あるのは、遺産が相続できる子と出来ない子の「世代内不公平」だけなのです。
夫が小遣い帳を改善するために、生活費自体を削減して家族が不味い物を食べて我慢するならば、子供の財産状況は改善するでしょう。しかし、家計簿が黒字なのに、それほど我慢して不味いものを食べる必要があるのか否か、議論のある所でしょう。
要するに、財政赤字を減らすか否かは、夫が妻と生活費の分担を議論したり子供への小遣いを減らしたり、という家庭内の話であって、家計簿の赤字黒字には無関係で、後世が引き継ぐ財産等々にも無関係だ、というわけですね。
財政赤字を家計簿ではなく、夫の小遣い帳に例えると、色々な事が見えてきます。財務省にも、是非使っていただきたい例えですね(笑)。



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