映画【哀れなるものたち】ロリコン王国日本の若い女子に見てほしい。
広角レンズの映像や、白黒、
極彩色のカラーリング。
可愛い衣装。
不協和音の音楽に、特徴的なフォントの文字。
至る所まで凝りに凝ってる。
テーマ自体が興味深かったので、
個人的な好みとしては、
ここまでごってりした映像手法でなく、
もう少しシンプルに見せても良いようには思ったけど、
映画館で観て良かったです。
主人公は、エマ・ストーン演じるベラ。
身投げした成人女性に、
赤ちゃんの脳みそを移植して蘇生させたことで誕生した、言わばフランケンシュタイン女子。
心は赤ちゃん、身体は成人女性のベラが徐々に言葉を覚え、知識をつけ、様々な体験をして、変化してゆくさまが描かれている物語で。
主に性にまつわる部分の話が多く、
R18指定でしたが、
過去を振り返ると自分自身の体験にも通ずる部分もあり、色んなことを思い出したり。
中学生の時、初めて痴漢に遭った。
歩いていたらバイクが後ろから近づいてきて、
胸を鷲掴みにして走り去って行ったのだった。
一瞬の出来事だったので、とにかくびっくりして、悲しいとかなんとかというよりも、
こんなことが嬉しい人がいるのか、
ということがとても不思議だった。
ベラのように白痴ではなかったが、
それでもまだまだ中身は幼く、
子供だったのに、
身体はどんどん性的に見られるものへとなっていってしまう。
もう少し年齢を重ねると、
性的な視線には自覚的になったりもしたが、
それでもまだまだ未熟で、
阿呆で、今思えば分別のない行動もしたし、
糞みたいなジジイにいいように扱われた時期もあった。
今なら当時流行っていたキャミソール一枚で
ヘソだしで出かけようとした私を心配した母の気持ちがわかる。
特に、日本において性的に一番魅力的とされる年齢は、異様に若いように思う。
しかし、若いが故に、そのことに無自覚だし、
悪い大人を見抜いたりやりこめたりはまだできず。
ベラじゃないけど、
若い女性の
心の成熟度と身体の成熟度はとてもアンバランスで、危なっかしいということが、
今ならわかる。
ああ、今の脳みそと心の成熟度で
世間的な性的価値が最も高かったあの頃に戻れたら。
と思わなくもないのだが、
でも、そしたら迂闊に誰かと付き合ったり身体の関係を持ったりすることもなく、
ガッチガチになってしまい、
何も経験することもなく、
結局なんにも進まなかったんだろうな、
とも思う。
映画内でも出てきたが、
人生は実験の連続なのかも。
実験して、検証して、しかしだからと言って進化するとも限らず、
悪い方に突き進んでしまうこともあるような。
なので、たかが人生、思う存分体験という実験をたくさんしていけばいいとは思いつつ。
若い女子達にはこの映画を観てほしい。
後悔するような体験も時には必要かもしれないけど、知識を付けることが自分を守ることにつながることを知ってほしい。
結末については、
熱烈ジャンプ(furious jumping 、ベラ曰くのセックス。良い表現!)が、性だけでなく生に繋がってる感がなかったのが少し残念。
だからこそ、最後ヤギとのキメラにしちゃうのかもですが。
世間的な倫理観なんてぶっとばせ!
というのは痛快だったけど、
性は生に繋がってるということに自覚的になると、
自らのなかにエシカルなものは生まれてきてしまう気もしたり。
セックスはただの熱烈ジャンプでもあるし、
でもそうじゃない側面もある気もしたりで、
そこのあたりももう少し考えたい。
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