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ジャズとの出会いの場

 思い返せば、学生時代は東京のいろいろな喫茶店で濃密な時間を過ごしました。私の青春文化が凝縮されて言っても過言ではありません。その中でも当時(90年代半ば)ジャズに出会ったいくつかのお店について書いてみようと思います。

 国分寺で一人暮らしをしていた時代、親友は吉祥寺に住んでいて、アルバイト先は高円寺というように中央線沿線で過ごすことが多かったです。初めて「私はジャズの中にいる」と感じたお店が吉祥寺の「SCRATCH(スクラッチ)」でした。このお店のあるプチロードは、何軒もジャズ喫茶&バーが軒を連ねている通りです。その中でもビルの2Fにあるスクラッチは、日中は陽の光も差し込む明るい店内なので、地下のジャズバーなどと違い初めてでも入りやすい雰囲気でした。店内の壁にはジャズの名盤のジャケットが飾られ、オーディオ装置も普通の喫茶店にはないような立派なものでした。
 そこにビル・エヴァンス トリオの「Waltz for Debby」のジャケットが飾られていて、そのミステリアスで洗練されたデザインに惹かれたことを覚えています。お店で聴いたかは定かではありませんが、それがビル・エヴァンスとの出会いでした。ジャズでもこんなに美しい音色のピアノを奏でる人がいるのだと思いました。エモーショナルな演奏に心震えました。
 今では子どもたちと「メガネのピアノのおじさん」・笑 といって愛聴しています。いえいえ、尊敬しています・笑

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SCRATCH
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-14 マルコポーロビル2F


 住んでいた国分寺にある「プー横丁の店 POOH’S HOUSE」は、本当に居心地がよくて、申し訳ないくらい長居し、BGMで聴こえて来るジャズやボサノヴァは、じんわりと体に染み込んでいくようでした。漫画や本もあるので、それを読みたさに通っていた時期もあった気がしますが、こぢんまりとした温かい雰囲気の店内で過ごした時間は至福でした。

プー横丁の店 POOH’S HOUSE
東京都 国分寺市 本多 1-6-3
Twitter @poohshouse1980


 新宿の「DUG」は言わずと知れた老舗ジャズカフェ&バーです。ここはちょっと買い物で新宿まで足を伸ばした時、仕事の打ち合わせの帰りに立ち寄ったり、デートしたりして足を運んでいました。珈琲よりもお酒を飲んでいた記憶の方が多いかな。学生時代から村上春樹さんのファンですが、「ノルウェイの森」にも登場していたのは覚えていませんでした。しかもロゴをデザインしたのは、あの和田誠さんだったなんて!
 オーナーの中平さんの歴史を感じるインタビューを発見したので、是非読んでみてください。

 というわけで、私にジャズを教えてくれたお店でした。今度日本に帰省したら久しぶりに行ってみたい。まだまだ思い出に残るお店はあるのですが、それはまたの機会に。


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