「断られにくい誘い方をする」が苦手
小さい頃から、心理学の本を読むのが好きだった。
人の心がどのような状況でどう動くのかを学ぶのは、純粋に面白いだけでなく、知識が生活の中で直接的に役に立つ場面もあり、勉強していて楽しかったように思う。
(もっとも、中学生くらいまでは「〇〇っていう心理テクニックがあって〜」とドヤ顔でうんちくを垂れているだけではあったが。)
心理学の本には様々なテクニックが紹介されているが、有名なものの1つに「ダブルバインド」がある。
これは、1度に2つの選択肢を提示することで、相手に断られにくくするというものだ。
わかりやすい例としては、相手をご飯に誘う時に、「ご飯に行かない?」じゃなくて、「和食か洋食だったらどっちに行きたい?」と二択を提示して聞く、などが挙げられる。
心理学や心理テクニックを学んで日常で実践してみることは基本的には楽しいし面白かったが、ことダブルバインドにおいては、個人的にめちゃくちゃ苦手で強い抵抗感がある。
塾のアルバイトをしていた時の話で、上司に
「初めて話を聞きに来た親御さんには、『体験授業どうですか?』じゃなくて、『来週と再来週だったら、どちらの方が体験授業に来れそうですか?』って聞き方にしてね。その方が、体験授業の参加率が上がるから。」
と言われ、
「あぁ...典型的なダブルバインドだ...」
と萎えてしまった記憶がある。
もちろん、体験授業の参加数が増えれば入会数も増えるので、いかに体験授業に来てもらうかが大事で、そのために断られにくい聞き方をしましょう、という理屈はよく分かる。アルバイトとはいえ、お給料をもらっている以上は会社の利益につながる行動をすべきだ。
それでも、当時の自分はどうしてもダブルバインドになるような聞き方はできなかった。今でもダブルバインドへの強い抵抗感は残ったままだ。
そこで、この抵抗感はどこから来ているのかを自分なりに深掘りして言葉に落としてみた。
・「断られること」自体に抵抗感やネガティブな印象はない。
└むしろ、断られた事実を踏まえて次どうするかを考えられるので、前に進んでいる。
・「相手が断りにくい状況に誘導すること」に対する抵抗感が強い。
└多くの人にとって、「断りたいけど断りにくい」という状況は割としんどいはず。
└であれば、誘う側は、相手がいかに"断りやすい"誘いや提案をするのが礼儀だと思う。
└そもそも、断りにくい状況に誘導した上で「YES」をもらっても微妙かも。他の選択肢も検討した上で、相手やお客様に前向きな気持ちで選んで欲しい。
という感じ。だから、たまに断りにくい誘い方をしてしまったなぁと感じた時は、一人で大反省している。
そのため、相手やお客様の気持ちを無視して「何がなんでも数字取ってこい!!」的な環境で働くのは、けっこうしんどいかもしれない。
ただ、「こちらから選択肢を限定したり、欲しい答えに誘導することで、結果的に相手も喜んでくれる」パターンも往々にしてあるとは思うけど、、、そこの線引きは難しいなぁ、これは経験していくしかないんだろうなぁ。
結局ハッキリとした答えは出ていないものの、ひとまずは「相手が断りにくい状況に誘導する」以外の手段で、自身や自社を選んでもらえるような努力をしていこうと思う。
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