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お客さまを単なる「神様」と思ってはいけないワケ

お客様の存在をどう捉えるか?

昔なら「お客様は神様」と当たり前に叫ばれていましたが、実際のところどうなのでしょう。
私は”お客様の存在”を7つの視点で捉えています。


第一の存在:『お客様は絶対的な存在』

お客様は売り手(作り手)にとって絶対的な存在である。
絶対的とは”なくてはならないもの”という意味です。

一方、お客様にとって売り手は絶対的ではない、相対的なのです。

つまり、他の売り手でも代用がきく。


売り手が選ばれるかどうかはお客様の選択権に委ねられているということです。


第二の存在:『お客様は信者の存在』

「お客様は信者の存在」という意味は、正確に言えば「売り手が神様となり、お客様を信者とせよ!という意味です。
「お客様は神様」とは真逆の存在。

儲けという漢字は”信者”と書くとはよく言われること。
決してお客様を神様と崇めることなく、むしろ、お客様が売り手の存在を神のごとく崇める、そのような存在価値を売り手、作り手は目指すべきなのだと思います。


簡単に言えばお客様をファンにするということですね。


第三の存在:『ゲストとしての存在』

よく欧米では週末に近所の方々、知人友人を招いてホームパーティを開きます。
その際のホストとゲストの関係は、一見「ホストが前もって準備し、当日、ゲストをもてなす」といったイメージを持ちますが、実際は凡そホストの権限において

ゲストには厳粛な役割が与えられます。

ゲストの中には、食材、ドリンクの買い出しを依頼したり、各人手料理持参をお願いしたり、時には料理のための小道具を用意させたりと。
また、当日になればゲストに対しても料理の分担や後片付けなど一定のルールを課したりします。


つまり、ゲストに対して何らかの役割を与え指揮を執るわけです。
これぞ、ホストがホストである所以です。
もともとホストとは英語のHost、主人という意味ですので権限をもっているんですね。

この発想は売り手と買い手、つまりお客様との関係においても同じ視点に立つことができるでしょう。
例えば、居酒屋の店主は、自分のお店で決めたルール(常識の範囲で)を利用客が破れば即刻、退場を言い渡すことができると言った権限を発揮できるような場面です。


第四の存在:『師としての存在』

企業は通常、顧客ニーズなるものを探し当てようと必死です。
そのためにわざわざマーケティングリサーチを行ったり、もしくは普段からの顧客志向によってCS調査やクレーム分析を行ったりしています。


また、顧客ニーズに関わるものだけでなく、生産性向上や効率性の追求のため業務改善に努めるため顧客の声を参考にしようとしています。

これらはすべてお客様をある種、

先生として教えをこうむる姿勢と言えます。


つまり、売り手、及び作り手は生徒となり、お客様を師の存在としているわけですね。
もっと言えば、お客様から時にお叱りを頂き、時にお褒めに預かり指導をしてもらっているのです。しかも授業料を払わずして・・・。


第五の存在:『お客様は契約者としての存在』

売り手と買い手、つまりお客様との客観的な関係は「契約に基づく商取引の関係である」ということです。
契約書があってもなくても。
契約である以上、不履行となれば基本、損害賠償の対象となりうるわけです。

この部分は最悪、裁判にまで発展しますのでとても厳粛なものと受け止めておく必要があるでしょう。
ただ謝罪のみで事が済むというものばかりではないということです。
よって、お客様は契約者の当事者であるという認識が不可欠です。


お客様の期待に応えられない売り手は不満を買う。
しかし、約束に応えられない場合は賠償するというわけです。
当然、返金の義務が発生します。
時には慰謝料も・・・。

なぜなら、契約による

商取引の関係にあるからです。


第六の存在:『お客様は給与支払者の存在』

原則、どの商売も利益が出るかどうかはお客様の満足との交換の上に実現されるものです。
満足が低くければ赤字となり、満足が高ければ黒字になるといった因果関係になっています。

そして、黒字ということは社員にとって給与が上がるという意味でもあります。
大きな黒字になれば給与は上がる。
一方、赤字となれば給与は下がるわけです。


ということは、お客様は売り手、作り手の企業で働く社長をはじめ

社員全員の給与を

払ってくれている存在と言えるのです。


しかも極論すれば給与額までも決定していると言ってよいでしょう。


第七の存在:『お客様は弱者の存在』

家を建てようとするお客様がいたとします。
そして、そのお客様がある住宅会社からプランと見積書をもらい、同時に住宅ローンと土地の売買、登記の説明書をもらいました。


しかし、プランは間取りぐらいはわかるものの細かい部材、設備などの仕様書はよく理解できません。
まして、見積もりも一式と書いてあるところの内訳は全くわかりませんし、もし、詳しく書いてあってもわからないでしょう。


その上、住宅ローンも固定、変動、返済計画等も確かな理解が持てないかも知れません。
さらに、土地に至っては用途制限など専門的すぎて言葉自体がわからない。


ことこのように、消費者であるお客様は、通常、専門知識を十分に持っていません。
まして、建築経験も浅いわけですから”弱者”であると言えるでしょう。


一方、売り手はある意味、百戦錬磨のプロ集団、つまり”強者”なわけです。
弱者は強者の餌食になってしまうことにもなりかねません。
このことを考えると業種によるでしょうが、

基本的に「お客様は弱者」なわけです。



ただ、最近は立場の逆転もありそうです。

今日はネット社会、買い手側が高度な情報を豊富に入手できる。
その上、AIを利用すれば売り手以上の専門知識を身に着けることが可能です。
ITリテラシーの高い賢い消費者であれば売り手が弱者となり、買い手が強者などと言った現象も生まれているように思います。


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