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“わたし”が紡ぐ虚の物語

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わたしという存在の片鱗。 ちょっとした余白にメモする感覚で書いています。 【タイトル変更履歴】 『嘘つきは作家のはじまり』⇒『わたし世界』⇒今
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#短文

表から見たら白、裏から見たら黒

表から見たら白、裏から見たら黒

 調子がいい時の母は、私のことを自慢の娘だと言う。
 心のバランスを崩している時の母は、私の些細な言動に反応して「あなたは人でなし」「最低だ」と言う。

 どちらも同じ私で、やっていることや感じていることは何も変わらないのに、母にとっては最高の娘になったり最低の娘になったりする。

 そのことに気づいたら、以前よりも動揺しにくくなった。

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耳をすませば、炭酸の弾ける音がする

耳をすませば、炭酸の弾ける音がする

 窓硝子に打ちつける雨の音が何かに似ていると思った。
 何だっけな、と考えながら耳をすませる。
 そうだ、炭酸の弾ける音だ。
 ソーダ水の中に入ったら、きっとこんな音がするんだろうな。
 ああ、でも、水中って音が聴こえにくいんだっけ。
 水の中でも音がはっきり聴こえる不思議な耳栓、ないのかな。

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