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『DXの思考法』これまでいろいろ読んできた本が導いてくれた本だという印象、多くの方に読んでもらいたい。

 みなさまお元気ですか?オオハシです。なんとか年始休暇の余韻も残っており、本年二回目の投稿ができることになりました。
 私が営業で担当している企業様より「この本を軸に考えたい」と紹介をいただいたことがきっかけで読みましたが、改めてこの本に出会えてよかったと思いました。紹介してくださったご担当者様に感謝です。この本が読めるまでにいろいろと個人的に勉強してきてよかったな、いきなりこの本を読むのは相当難しいんだろうな、とも感じたのが印象です。
 それでは本編行ってみましょう。


DXの思考法日本経済復活への最強戦略

西山圭太 著  冨山 和彦 解説
 2021年4月の本

 いや面白かった、すごかった、文句なしの★5つです。

 昨年に読んでおり、読書レビューもしたく改めて再読したのですが、よかったです。すごく理解が深まりました。実際に自分で何か行動に移せる(アウトプット出来る)かは不明ですが、読み終えての達成感がありました。 しかしながら前述しましたが、この本を読んで手触り感を得られるには、相応の事前知識が必要なんだろうなと感じました。(埋め込みは本ブログの最後にしておきますね)

事前に読んできてよかったと思う本

 -東大准教授に教わる『人工知能って、そんなことまでできるんですか?』
 -人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの
 -両利きの経営
 -世界標準の経営理論
 -シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成
 -コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える
 -アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る
 -アフターデジタル2 UXと自由


感想とコメント

 上記書籍をひととおりこれまで読んできた上で、今回の本を読ませていただいたので、(あとは実際自分がもともと計算機を扱ってきていたり、ディープラーニングを勉強してきていたり、DXを提案してきたりしてきた背景も当然あるのですが)、コンピュータがゼロイチで認識する層から人間の課題に直接接する層まで、というレイヤー構造の概念などは比較的理解ができました。読み終えて改めて表紙の写真を撮ろうと帯を眺めた際にウエディングケーキらしき概念物を表現しているところもなかなか味があるなと思いました。

解説でも冨山和彦さんがおっしゃってましたが、わかりにくい概念を、極力わかりやすいメタファーとして表現していて読者への理解を進めようとしているところはよく伝わりました。

「天才西山圭太が、彼の数歩後からついてくる私たちにも分かるように親切に、しかも議論の質を落とさずに仕上げてくれたことに敬意を表するとともに、著述家としての彼の新たな才能を見たように思う。」 

P254 解説より

 私も理解力が乏しいので完全に人に教えられるレベルまで至ったかというと疑問なのですが、「天才」に咀嚼していただいた内容を少しは吸収できたのではと感じています。 具体と抽象の行き来の表現や、AIにおける多層構造のディープラーニングの話・パターン認識の話、と読み進めてきたところでの『カレー粉』のメタファー(P68)は最も腹落ちしました。 ソフトウェアとか仮想化とかの話で「隠蔽する」とか「ラッピングする」とかの表現が用いられますが、『カレー粉』は、めっちゃありがたかったです。

 読む前に一通り事前知識があったほうがより理解が深まる本ではございますが、非常に勉強になる本なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

 ふせんはいろいろ打ったのですが三点のみ引用抜粋します。

引用抜粋

P39 日本の弱み、日本のカイシャのロジックとデジタル化のロジックがずれてしまっていること、を理解するために重要なのは次の点である。 つまり、「単純な仕掛けをつくると、目の前にないものも含めて何でもできてしまうかもしれない」という一般化・抽象化の思想が、デジタル化の根底に常にある、ということである。そして、そのことがもつ破壊的ともいえるパワーがデジタル化を貫いていて、現代にいたるまで、そして今後ますますそれが影響すを広げつつあるという点である。

P42 デジタル化のロジックとは「具体でなく抽象」だということ、つまり「この手を打てば目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、何でも処理・解決できてしまうのではないか」という発想である。

本書 P39 および P42より

「基本的なことがわからないと何もわからない」の裏側にあるものは、「基本的なことさえわかれば何でもわかる」であるはずと信ずるからである。(P16)「これで何でも一気にできてしまうのではないか」という一般化・抽象化の予感であり、それがもつ力である。(P36)「これさえやってしまえば全部一気に片付いてしまうのではないか」という挑戦が生み出したものである。(P222)
など、天才西山圭太さんが何度も何度も本書で述べてくださっているので、抽象化・一般化(モデル化・概念化)していくことの重要性はすごく伝わってきましたね。


 DXのスタートラインは、自社のシステム構成を理解することではなく、まず本屋の本棚の前に立って、その本棚を見渡して、それで自社のビジネスをどう組み立てるかを考えることであるべきだ。自社のシステム構成や業務フローの最適化から発想すると、自社の置かれた競争環境=白地図を見失うことになる。

本書 P229より

本棚にある本」のメタファーもすごく腹落ちしましたし、今後使っていきたいキーワードだと思いました。(実際に使い始めています)本棚にはどういう本があって、すでに先人が苦労して書かれた本なのであるから、それを読めばいい、利用すればいい、買えばいい。その本棚にない本だからこそ努力する必要性がある、という観点は非常にわかりやすいと思いました。(さらにはそれをプラットフォームとして他社に販売できる可能性も含め)


 もし、本書を読んでデジタル化の本質的な意味合い、そしてIXの衝撃の実相を理解できない、実感できない、さらには(危機感であれ、わくわく感であり)マインドリセットをできないとすれば、今後、ビジネスの最前線で闘い続けるのは難しいかもしれない。
 この本に書いてあることが響くか⁉ そして心は奮い立ったか⁉ 本書は著者と私からすべてのビジネスパーソンへ、IX時代の生き残りと飛躍的成長をかけた応援的挑戦状なのだ。

解説(冨山和彦)P269より

(IXとはインダストリアル・トランスフォーメーションのことを言います)
冨山和彦さんの解説で締めくくられました。あとがきに記載があったのですが、本書はもともと西山さんが冨山さんと共著で検討されていたところを、西山さんが役人生活を終えられる第二の人生のスタートなんだから、と西山さんの主著という形になされたとのこと。 冨山和彦さんは、コーポレートトランスフォーメーションでもありましたが日本の未来に強い危機感を抱かれていて、こうして「応援的挑戦状」としてエールを送ってくれていますね。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。アウトプットするまでがインプットだ、なんてよく言われますが、こうしてまとめる作業もなかなか時間を要します…。 2023年はどこまで継続できるかわかりませんが、極力時間を確保して頑張っていきたいと思います。応援していただけるとうれしいです。

最後に事前に読んでおいた本のオオハシの読書レビューの履歴の一式を掲載しておきます。気になった本ございましたらリンクを読んでいただけるとうれしいです。

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