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珈琲人としての故郷

夏も終わりに向かい、朝晩には少しずつ秋めいた空気が流れています。

ところが新型ウイルスの方は、東京では8月上旬に第2波が訪れたとの報道もありつつ、これから迎える秋から冬に向けて一切の予断を許さない状況で、終息の気配は未だにない思っています。
専門家でもなければ情報収集をそこまで熱心にしているわけではないのでなんともわからないのですが。

そんな中、私の方は状況としてはあまり変わっていません。

豆を焼きつつ、お供作りをしつつ、物件探しをしつつ来たるべき時に備える日々が続いております。

東京以外で開業する可能性

物件探しは、暑さとウイルスであまり街に出て存分にブラブラできる様子でも気持ちでもないので出来ていません。
インターネットでの物件探しがメインです。

先日1件、可能性としてなくはない物件を見かけました。
いや、なくはないではなく、気持ちとしてはなかなか良いと思っています。

ただ正直に言うとわからないことが多すぎて、大きすぎて、どうにも困っています。

その物件が東京ではないのです。
そして少々癖のある場所です。
リスクも大きいです。
今回のように、予期せぬ何かがあった時に、もはや何も打つ手がなくなるような、そんな気もしてきます。

私の珈琲人としての故郷、ルーツは間違いなく東京です。

会社員時代から東京で美味しい珈琲に出会い、念願叶って働きたいお店2つで働かせてもらえて、今も東京の珈琲屋で働いていて。
少なくとも珈琲を介して繋がれた方々がいて、たまにでもいろいろな場所で顔を合わせてお話も出来たりして。

東京はやはりすごい街です。
人がたくさん集まってきて、いろいろなものがあって、街ごとに特色があって。
面白いです。
(ちなみに冒頭の写真はいつかの渋谷です)

根底には東京でやるだろうな、やりたいな、という気持ちがありました。
それは「人が多い」ということは競合が多かったりコストがかかったりするとはいえ、なんだかんだ大失敗しづらいという部分もあるでしょう。
働いている人が多ければ、私の作りたいと思っているような場所を求めてくださる人もまた多いのでしょう。
「人が多い」ということは、それだけ大きな可能性があることだと思うのです。

しかし新型ウイルスによって人は大きく動いています。
東京のオフィスビルは空き率が上昇していて、今後もその傾向は続くだろうといわれているようです。
確かに、これだけリモートワークを余儀なくされて、それでも仕事をすることができる、と多くの人が知ったのです。
都心で高額なオフィステナントを借りることは、これからは大きなリスクになるのかもしれません。

このような状況が1〜2年ではなく、10年単位で続くことも十分にあり得るだろうと思うと、もはや東京に「人が多い」という前提は通用しないかもしれません。

ただ、ただ、そう簡単に割り切れるものでもなく。
私も東京に7年ほど住んできました。
池袋に通っていた大学時代も含めると、12年間を東京をベースに生きてきました。
馴染み深い、思い出深い土地もたくさんあります。
珈琲屋に限らずとも、美味しいつけ麺屋も油そば屋も、和食屋もフレンチもイタリアンも中華屋も、ケーキ屋もパン屋もハンバーガー屋も、たくさん知っています。
離れ難くもあると同時に、ただの引っ越しではなく一か八かの珈琲屋の開業を東京ではない土地で始める、ということ。

本当にわからない。
考えれば考えるほどに「失敗」のイメージが思い浮かんでしまいます。

迷った時の、答えの出し方

一方で私の中のポジティブな私はいま、宇宙兄弟(小山宙哉 / 講談社)の中のこの言葉を思い出しました。


迷った時はね
「どっちが正しいか」なんて考えちゃダメよ、日が暮れちゃうわ

頭で考えなきゃいいのよ
答えはもっと下
あなたのことなら、あなたの胸が知ってるもんよ

「どっちが楽しいか」で考えなさい

主人公ムッタが幼い頃から世話になっている大好きな天文学者のシャロン博士の言葉。

何が正しいのか、何が間違っているのか。
たぶん世の中には明確に「正しい」「間違い」といえることもたくさん存在するんだと思います。
しかし、それと同じくらい「正しい」「間違い」とその瞬間には決められないこともたくさん存在して、それをどちらに結論付けるのかは、その人のその後の生き方であって、価値観であって、その答えは死ぬまでわからないこともあると思うのです。

自分が納得できるまで、堂々巡りを5巡も6巡も繰り返して考え続けて、「あーもういいや!こうしよう!」となるまで考えます。
こうしている間にどこかの誰かがその物件を契約してしまっていることもあるから、世の中は難しいものですね。

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