調剤をしていて、度々ぶつかる問題でもあり、よく質問されることでもあるので、書いておこうと思います。
個別具体的な薬や時期については、その都度ご相談いただくか、主治医とご相談していただければと思いますので、今日は、一般的に知っておいてほしいことについて書きます。

最も大切なことは、妊娠４週目〜７週目が一番影響を受けやすい大事な時期ということです。

🐣妊娠期間について

妊娠0週目０日は生理が始まった日なので、４週目から７週目というのは、受精卵が着床してから、細胞分裂をくりかえして、赤ちゃんの体がほぼ出来上がる頃までということになります。
４週間で出来てしまうなんて。早いですね。

体調の変化に気づいて受診すると概ね、「おめでとうございます。妊娠3ヶ月です。」という流れになりますね。
この頃がだいたい８週目ごろになります。
最近は、計画的に妊娠するケースが多いので、もっと早い時期に分かることも多いかもしれませんが。

妊娠が分かった頃には、赤ちゃんの体は、ほぼ出来上がっていることになります。
赤ちゃんの元気な心音も、この頃から聞くことができますね。

🐣薬に敏感な時期

受精卵が着床すると、赤ちゃんの器官形成が始まり、4週目から7週目頃までに、体のほとんどが作られていくので、この時期に服薬すると、影響が出る可能性があります。

8週目以降にも、まだ口や性器などが完成されていくので、15周目くらいまでは、注意が必要です。

逆に0週目から3週目までは、服薬しても、影響は0か100と言われており、生まれてくる赤ちゃんに影響はありません。

最近では、妊娠後期に解熱鎮痛剤を服用すると、赤ちゃんが、動脈管収縮を起こし、致命傷になることもあるということが分かったので、この時期に解熱鎮痛剤を服用してはいけません。

妊娠後期というのは、妊娠8ヶ月以降を指します。
この頃から、赤ちゃんは大きく育っていくので、肩や腰が痛くなったり、貧血の為に頭痛が起きたりすることが多い時期なので、気をつけましょう。

症状が辛い時には、一番安全なアセトアミノフェン製剤を処方してもらうのが良いと思います。

🐣薬を飲んでしまったら

時々、「薬を飲んでしまいましたがどうしましょう」と相談されることがあります。

風邪薬を２、３日服用した程度であれば、忘れてしまいましょう！

敏感な時期に服薬しても、必ずしも影響があるわけではありません。逆に、薬を何も飲まなくてもリスクは0ではありません。

薬を飲んだとしても、飲まなかったとしても、リスクはある程度ありますので、そのことでくよくよ悩むよりも、これから薬には気をつけよう！病気にならないように、健康に気を遣おう！と思っていただいた方がずっと良いです。

持病のために、服薬しながら妊娠、出産する人もいるかと思いますが、同じ理由で、医師の管理のもと、安心して治療を受けていただきたいと思います。

🐥授乳中の薬について

授乳中は妊娠中ほど薬の影響はないので、よほどでない限り、それほど心配はありません。

薬の中には、母乳が出なくなる作用があったり、薬を直接飲むのと同じくらい、母乳に出てしまうものもあるので、そういう薬は服薬しないか、服薬中は母乳を飲ませない方が良いです。

飲んだ薬は、母乳の中に僅かに移行することがあります。

そのため、動物実験で薬が母乳に僅かに移行すると、薬の添付文書には、服薬中は授乳を中止して下さいと記載されることが多いですが、
赤ちゃんに影響があるかどうかというと、そういうわけでもありません。

実際に、出産したばかりのお母さんに薬を飲ませて、赤ちゃんへの影響を見ることは倫理的に出来ませんので、多くの薬は、動物実験の結果もしくは、人の母乳に移行したことがあるかどうかで判断して書かれています。

ただ、実際問題として、授乳を一時中断するのは大変辛いことですし、母乳を飲まないことのデメリットもありますので、そう簡単にはいきません。

そのため、国内外で、長年かけて得られた情報から評価した基準があり、書籍も出ていますので、それらを参考にしてお答えしています。

また、国立成育医療研究センターでも、長年使われてきた実績を収集し、評価したものを公表していますので、私のところでは主にこちらの評価を参考にしてアドバイスしています。

🐤最後に

病気の治療や服薬について、出来るだけ不安にならず、安心して妊娠、出産、子育てをしていただきたいと、心から応援しています。

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