ひまわりが太陽の方を……向いてない!?【あなただけを見つめる】
夕方散歩をしていたある日のこと。
近くにひまわり畑があると聞いて、ちょっと寄ってみた。
小さい区画ながらも咲き誇るひまわりたち。
ああ、実に夏な風景で良いなあ……!
そんなひまわりは大量の花の集合体だそうだ。
寄っていくと確かにそれがわかる。
そしてその花の下にはやがてたくさんの種ができる。
なんだかよくよく見ると凄まじい種の付き方してるなと思ったりもしたが、せっかくの機会なのでひまわりの種について調べてみよう。
そうして検索した結果出てきたのは、なぜかメジャーリーガーの話だった。
メジャーリーガーは、ベンチで暇なときにひまわりの種を20粒くらい頬張り、口の中で上手いこと割って中身だけ食べ、殻は地面に吐き出すという。
いや、ひまわりの種を食べる文化があるとは聞いていたが、まさか殻のまま大量に口に入れて食べていたとは……。
口の中で種取り出し工場を稼働させ、殻は廃棄する(口から吐き出す)のがアメリカンスタイルらしい。
そして吐き出して地面に散らばった殻は、スタジアムの掃除人の仕事になるからむしろ良いことだという。
あまりよくわからない理屈だが、これもまたアメリカ流なのだろう。
そんなひまわりだが、名前の由来として「太陽の方を向くから向日葵(ひまわり)」という話があるのはよく知られた話だ。
だがこのひまわり畑をよく見てみると……
みんな盛大に太陽に背を向けている。
「いやもう暑いんで勘弁してくださいよ……」とでも言いたげに。
これは一体どういうことだろう……?
まあさっさと答えを言ってしまうと、
ひまわりが太陽の方へ向きを変えていくのは、花が咲く前の若い段階のときだけなのだ。
花が咲いたら、ひまわりは大体東向き固定になってしまう。
あの大きな花が太陽に向かって首を動かしていくわけではないのだ。
自分の見ているひまわり畑では、もうみんな大きな花をつけている。
つまり花の向きは東向きに固定されている状態だ。
時刻はもう夕刻なので、当然太陽は西にある。
だからひまわりが太陽に背を向けているように見えたというわけ。
ところでなぜ東向き固定になるのかというと、朝方の虫は温かい場所に寄ってくるので、大きな花の部分を朝日で温めて虫を寄せるという習性による。
こうやって花粉の授受を虫に行わせるわけだ。
温まるとひまわりが出す花粉の量も増えるそうで、なんとも上手いことできているなと感心してしまった。
参考論文:
Flower orientation influences floral temperature, pollinator visits and plant fitness
https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.17627
そういえば、ひまわりの花言葉は「憧れ」や「情熱」、
そして「あなただけを見つめる」という一途で情熱的なものらしい。
しかし先程述べたひまわりの習性を鑑みると、
『ひまわりがあなた(太陽)を見つめるのは若い時限定であって、花をつけたらそれ以降は利己的に振る舞う』ということになるような……?
……なんだか深いような気がしてきた。
人間の恋愛に当てはめたらなんだかエグい話になるし、
子供に当てはめると親離れする様を言っているようにも思える。
まさか花言葉を作った人はそこまで考えて……!?
(ないな)
……なんだか最終的におかしな発想に行き着いてしまったが、相変わらず世の中知っているようで知らないことばかりだ。
たまには散歩して、こういう変なことを考えるのも楽しい。
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