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1月読書まとめ

色々なジャンルを楽しめて。
色んな面白さを発見できた1月。

今月の読書の中から個人的おすすめ3冊:

1. 人間失格
2. 重力ピエロ
3. 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

2021年1月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4762ページ
ナイス数:196ナイス


■完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』に続き2作目の若林のエッセイ。
こちらの方が前に執筆出版されていることもあって、夜に出始めた社会人一年目からの想いが綴られて凝縮されてた。面白く共感でき、さらに勉強にもなる多くのものの捉え方考え方。
社会人四年目から一年目を振り返って、成長を自身で感じているのがとても良かったです。大人になると数年なんてあっという間に過ぎて、何も変わらないまま年だけ重ねているように思うけど、あんな風に成長とか考え方の違いを気付けるのっていいな。
読了日:01月31日 著者:若林 正恭


■彼女は頭が悪いから
実際に2016年に起きた東大生強制わいせつ事件がモチーフ。「私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?」という帯にもある言葉が、事件の胸糞悪さを全部表している気がします。
被告と被害者がどんな家庭でどう生きてきたか、当の事件の8年前から物語が始まる。とくに美咲の心情や性格が丁寧に描かれているのが印象的。美咲と家族の辛さが痛い。事件当日から被告とその家族の反省の無さ、被害者に対する世間のSNSの書き込みあたりは読むに耐えない程の言葉が並び、ただただぞっとした。
読了日:01月28日 著者:姫野 カオルコ


■となりの億万長者 〔新版〕 ― 成功を生む7つの法則
「好きなものを買うために稼ぎたい」と思っていた私は立派な蓄財劣等生だ...。考えを改めるきっかけを与えてくれた一冊でした。
所謂高級品に身を包み派手な生活をしているように見える人達より、自分と変わらない“普通”に見えるお隣さんが実はとんでもない資産家。この事実と資産家の考え方、生活の仕方をいくつかの角度から知ることができた。とくに興味深かったのは、3,5,6章。研究することに時間と手間を惜しまないこと、家族親子関係内でのお金の在り方を学んだ。
あぁ倹約して守りを固めなければ。
読了日:01月28日 著者:トマス・J・スタンリー,ウィリアム・D・ダンコ


■走れメロス (新潮文庫)
読めば読むほど作家本人のことや小説が生まれた背景を知りたくなる、それが太宰治なんだな。
表題の「走れメロス」を含む全9編の短編集。
語り手以外の登場人物の心情描写が多くないから全体感が捉えられず難しいのかと思ったりもするものの、一方で語りてである太宰本人や主人公の心の機微はこれでもかというほど伝わってくる。その面白さも含めて不思議な読後感でもあり、他の作品も読みたくなる。本作中では「富嶽百景」「女生徒」が特に良かった。
読了日:01月24日 著者:太宰 治


■人間失格 (新潮文庫)
日本の代表文学を読みたくて、太宰治を選んだ。「恥の多い生涯を送って来ました。」あまりに有名なここから主人公葉蔵の手記が綴られる。
その前の「はしがき」の時点でもう引き込まれるのだけど。写真の中の葉蔵の異様さが語られ、そのあと当の葉蔵の手記が始まる。
あぁ葉蔵のあまりに生き辛い(文中で言うところの)性癖は、何によってもたらされたのか。
解説まで読んで、もし自分がリアルタイムでこの『人間失格』の連載を待っている読者の一人だったら、どれだけセンセーショナルな作家として太宰治を見たんだろう。
読了日:01月21日 著者:太宰 治


■スマホ脳 (新潮新書)
スマホを長時間使用することの影響を、人類の脳の仕組みとSNS等開発する企業の戦略に沿って説いている。
人類は狩猟時代から脳の仕組みが変わってないため、現代のテクノロジーの変化には対応できないそう。スマホの長時間使用によって鬱や集中力低下を引き起す可能性が高くなる。怖いな。
さらにSNSそのものも、そんな脳の仕組みに合わせて上手く開発されているから、なかなかスマホの誘惑から逃れられず依存が深刻になるばかり。
まずは自分でできることから。ベッドには目覚まし時計を置いてスマホは別室へ。読書は引き続き紙本で。
読了日:01月19日 著者:アンデシュ・ハンセン


■重力ピエロ (新潮文庫)
再読。何度読んでも素晴らしく痺れる。
兄弟の物語であり、家族の物語。
春が犯した罪とそれを“許す”家族。春と泉水の最強な関係性や、いつも優しく力強く兄弟を見守る父、そして記憶の中の朗らかな母。理想的に見える家族が抱える長年の苦悩に、春が10年越しに制裁を加える。春がずっと毎日誰よりもそのことに向き合ってきた、その苦悩。
やっぱり「春が二階から落ちてきた」の一文が秀逸すぎて、以前読んだのは10年くらい前だったけど今回もその始まりと終わりは鮮明に覚えていた。本当に好きな一冊。
読了日:01月17日 著者:伊坂 幸太郎


■表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 (文春文庫 わ 25-1)
あぁ面白かった。ニヤけながら声を出しながら笑った箇所も多数。話せて書ける著者の若林さん、すごい。
旅行を通して日本の在り方、自分の内面、人との関わり方を悟っていて、想像していた旅行エッセイよりもグッと深いものになっていた。こんなに自分と真摯に向き合うこと、なかなかできないのでは。キューバ編、社会主義と資本主義のそれぞれの不平等を考えながらも、結局どこにいても人との絆が充実と幸せの形を作るんだなと思った。
早く海外旅行行きたいな。滞在中と離着陸時のワクワクがあんなにリアルに伝わってきたんだもの。
読了日:01月13日 著者:若林 正恭


■JR上野駅公園口 (河出文庫)
「日本の光と闇」。まさにその闇にフォーカスした物語で読後感はずっしり重め。
天皇制、出稼ぎ労働、ホームレス、震災復興、これらを一人の男性老人の人生に沿って考えさせられる。家業によって裕福さが左右された時代、若くして上京し出稼ぎし数十年後、やっと故郷へ帰った後の再び降り立った上野でホームレス生活。重なる不幸としか言えない主人公の背景には言葉もない。孫を想ってとはいえ、ホームレスの道を選ぶことの葛藤はどれほどだったのか。それを経て最後の津波の描写がより辛いものになった。
読了日:01月10日 著者:柳美里


■ミルク・アンド・ハニー (文春文庫)
ダブルファンタジーの続編。正直、登場人物のどの言動にも共感はできないけれど、その官能的で心の機微の描写に目が離せず一気読み。
前作同様、奈津の欲と行動力にただただ驚く。奈津と関わる全男性がどうしようもなく甲斐性がないのだけど、奈津の側にも原因はあるしな...。
小説として読み応えがかなりあり、これってほぼ村山由佳さんの実話よねと、どうしてもリアリティーがありすぎて想像を働かせてしまう。
読了日:01月09日 著者:村山 由佳


■絶対に挫折しない日本史 (新潮新書)
良い意味で大雑把に日本史を説いてくれる一冊。
古市さんの書籍での語り口が元々好きなこともあり分かりやすかった。他著書同様、注釈も役立ち時に面白い。
「古代、中世、近代」を「まとまる、崩壊する、再びまとまる」という一貫した大枠を、いくつかのテーマに沿って書かれている。のび太の土地がどの時代に売るとどうメリットがあるかなどの例えと、ニヤリと笑える実在の人物や事柄も登場するので、歴史に詳しくなくてもイメージがしやすくて面白かった。
歴史はその時代(や国に)合った解釈がされるもの、ということに納得。
読了日:01月07日 著者:古市 憲寿


■SOSの猿 (中公文庫)
西遊記、悪魔祓い、暴力、株取引といった色んな要素が絡み合っていくエンターテイメント。
章によって語り手が変わる手法で、読み始めてから半分以上「猿の話」のパートが今いち理解しきれない感覚だったけど、後半のスパートで一気に納得。西遊記の内容を知っていたらもっと面白かったはず…と少し悔しくもある。
原因の原因、の原因…と永遠に解明しているようで面白かった。眞人は本当は何を思っていたのだろう。株での金儲けが真実なのか想像を巡らすしかない、この釈然とせず終わるところが面白いのかも。
読了日:01月05日 著者:伊坂 幸太郎


■波濤の城 (祥伝社文庫)
シリーズ2作目。面白かった!
豪華客船内での火災と沈没からの脱出の今作も、前作に続いて夏美と雅代、居合わせた一般人の活躍に感動した。様々な背景を背負った人達が集まり知恵を出しながら脱出していく勇気、そして人間模様にドキドキ。
とくに印象的だったのは、暴力団組員の冬木と余命宣告を受けていた長田、いち早く危機を察知したプロ船員の北条。みんな死んでほしくなかった...。どんな最新設備を備えても人為的ミスによって海難事故が起こるという恐怖ったらない。(あとがきにも記載あり)
読了日:01月01日 著者:五十嵐貴久


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