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ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ

ジョゼフ・コーネルは古書店や雑貨屋で蒐集したお気に入りの小物を、手製の木箱に収めたボックスアートの先駆者として知られている。

外の世界から集めてきた小物などの「思い出」を手製の木箱という「空間」に閉じ込めるといった作風が彼の作品を通して窺える。

また、記憶を記録して留めておきたい人物像も垣間見られる展示だった。

小物は小さな雑貨や、印刷物の切り抜き、食品のデザイン缶、拾った自然物、何かの部品等といった、目に留まらなければ捨てられてしまうものたちだ。
モチーフには小さな子供や犬、猫、小鳥、女性などが多く登場する。
彼の手記や手紙には、詩的な感覚や、繊細な表現が常にある。

今回展示されていたのはボックスアート、コラージュ、モンタージュ映画だった。

そのどれもが断片的ではあるが、バランスよく一つの記憶として小さな空間の中に存在していた。
彼が知人の女性とその子供に宛てた、穏やかで愛情深いコラージュの施された手紙が印象的だった。

本来捨てられてしまうガラクタや、消えゆく刹那的な記憶を作品として記録する。
ジョゼフ・コーネルは人生を謳う詩人であり、表現者であり、愛情深い観察者なのかもしれない。



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