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【読書メモ】『優駿』(著:宮本輝)

「ナイスネイチャ・バースデードネーション(BD)」は、引退馬協会の広報部長として活躍したナイスネイチャの誕生日に合わせて、引退馬を生かすための社会的課題に取り組む寄付を募るイベントです。
ご寄付はナイスネイチャ自身の飼養費としてではなく、その年ごとのテーマ(目標)実現に使わせていただいてきました。「ナイスネイチャ・メモリアルドネーション」と名称を改めた本年も、テーマに添った引退馬支援のため、大切に使わせていただきます。

ナイスネイチャは旅立ちましたが、その大きな功績を讃え「ナイスネイチャ」という名前を残すために、これからもこのドネーションを継続していきたいと私たちは考えています。

出典:「ナイスネイチャ・メモリアルドネーション2024」
(「引退馬協会」ホームページより)

本日から始まりましたナイスネイチャの名前を冠したドネーション、今年からは「メモリアルドネーション」と名称をあらためています。今年の目標額は「2,500万」、と、現時点(4月16日22時時点)で「2,800万」にまで到達してますね、、えぇい、一日も持たないのか連邦の(略、、何はともあれ締め切りの5月15日まで可能な限りに集まってほしいなぁ、との祈りとともに。

それでふと思い出したのが『優駿』との一冊、最後に読んだのは(メモ的には)オルフェーヴルが凱旋門に挑戦した辺り(2012-2013年頃)ですから、もう10年以上前か、久々に読んでみようかな、なんて考えながら。

今までも何度か再読していますが、2012年頃は確か、恋愛をテーマとした読書会に持って行こうかと検討していたようです。どちらかというと家族愛の要素の方が強いようにも感じますが、、でもまぁ、一番愛情が向けられていたのは、馬(サラブレッド)に対してだろうなぁ、と。

主役となるのは、オラシオン(祈り)という名を与えられた一頭のサラブレッド、そして一組の男女とその家族たち。時系列としては、仔馬の誕生からダービー挑戦に至るまでの、数年間。

ここ最近でこそ冠名の無いお洒落な馬名も増えましたが、当時としては珍しい部類だったような、、小説だからできたことなのかもしれませんが。でもまぁ、強い馬の名前は何でもカッコよくなってしまうものですけども。それこそ、オルフェーヴル(金細工師)、とか。

さて、本書では「サラブレッド」への想いが、愛情が、これでもかというくらいに綴られていきます。そしてたまらなく夢を追いかけたくもなりますが、その一方で冷徹な現実も立ちはだかってきます。

人の世は有為転変、それでも自分のを見失うことが無ければ、どこかで一つに結実していくのでしょうか、それこそ祈りとともに、、なんて風に感じさせてくれる物語です。宮本さんの物語はたまに浸りたくなるのですよね、、等身大の人々が描かれているからでしょうか。

舞台となる1980年代は、今(最大18頭)とは違い多頭数立てのダービーの時代ですから大分古めかしいハズなのですが、今読んでも普通にその情景が浮かんできます。東京競馬場のラスト3ハロンの描写など、本当にたまらない。

そういった意味では、時代をも超越していけるのでしょうか、競馬というスポーツは。

また、社台ファームをモデルにした牧場も出てきたりと、日本競馬界での影響の大きさが伺いしれます。そして今年の凱旋門、その社台の血統にもつらなっているドウデュースに期待しています。前走(ドバイ)はワチャコチャしてしまったようですが、それでも掲示板には入ってきていますし。それこそ祈りをこめて、その日を楽しみに待ちたいと思います。

個人的には『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』『ダービージョッキー』『騎手の誇り』『風の向こうへ駆け抜けろ』などともあわせて、競馬に興味を持たれた方には是非お勧めしたい一冊です。

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