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構造デザインの講義【トピック2:古代の建物と構造】第4講:幻の古代都市

東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



高山都市、マチュピチュ

マチュピチュは、15世紀半ばに作られ、およそ100年間で発展し、その後放棄された高山都市です。

遠くの山の水源から、水道橋や水路を通して都市に水が引かれ、生活用水や農業などが営まれていました。
水は最上層に貯水され、順次下層へ流れ落ちる仕組みでした。
遺跡には16か所の水汲み場の跡があり、精巧な石造りの建造物を見ることができます。

高所の切り立った地形にあることから、太陽観測に適しており、太陽を利用した暦を作成したと言われています。
夏至と冬至を正確に知るための窓が設けられています。
暦を持つ、ということは、農作業、乾季や雨季を知るために、極めて重要なことです。
暦を作るには、高度な天文学、そして物理と数学が必要です。

高度な石造りの技術によって、建造されている。
生活のための水路の整備、 暦を知るための建造物も見ることができる。
(写真、Pixabay, https://pixabay.com/ja/)

石工技術、インカ帝国

南米は、しばしば巨大地震により、都市・建物が被災してきました。
クスコの町の壁は、様々な形状・寸法の石を高精度に積み上げ、耐震化されています。
インカには、極めて高度な石造技術があります。
しかし、その技術に関する記録は決して多くありません。
(ナスカの地上絵を見れば、インカ帝国の科学技術力=高度な測量技術を容易に想像することができます)

(写真、Pixabay, https://pixabay.com/ja/)

高度な都市計画、テオティワカン

標高2000mの高原台地に、3つの巨大なピラミッドを有するテオティワカンの遺跡都市があります。
これらのピラミッドの配置は、高度な測量技術、天文学によって裏付けられていると言われています。

紀元前2世紀ごろより建設が始まったとされています。
350~650年ごろ、最盛期を迎え、24km2の規模となり、15万人の大都市として発展しました。
壮大な神殿、巨大なピラミッド、区画が整えられた都市計画を誇った高度な文明は、800年後の7世紀半ば、突如として都市が衰退しました。

都市中央部の大通りは、一定の間隔で石垣が設けられ、立派な水門もあります。
この道路は水を貯蔵し、光を反射する池であった、という説もあります。

中央に幅40m、長さ5kmにもおよぶ大通りが貫き、代表的なピラミッドだけでなく、 周辺には600基近いピラミッドや宮殿、住居、黒曜石の向上などが整然と配置されていた
ピラミッドの地上から頂上までの高さと、地上部の周長さの比が、円周率πとなっている
(写真、Pixabay, https://pixabay.com/ja/)

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