徒然草 跋文
現代語訳
この徒然草上・下二巻は吉田先生が、暇な毎日に、だらだらしながら人生の黄昏に向かって、心に浮かんだ妄想を書き写したものである。最近、堺市の儒学者・三宅寄斎がこたつで脚を伸ばしながら、老子の虚しさを話し、荘子の自然を説明し、暇な日には、二、三人の弟子に対して、徒然草の講義を行った。それでは飽きたらず、後に、徒然草を書き写して、印刷屋に注文し版下を作り、その二、三人の弟子にくれてやった。その際に三宅寄斎は、句読点や清音、濁音、その他の校正を私に依頼してきた。私はなんとなく、その経緯を気に入って、自分が未熟なことを忘れて、すぐに校訂を入れただけだ。なので、この本にやり残しがあるのではないかと恐れているのである。
一六十三年 八月十五日 中納言
原文
上、訓み下し
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?