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【詩の森】8円と150円の鉛筆

8円と150円の鉛筆
 
百円ショップで
1ダース100円の鉛筆を買い
文房具屋で
1本150円の鉛筆を買った
早速削って比べてみると
違うのは芯を包む木材の匂いと書き味
百均の鉛筆にはなぜか匂いがなく
2Bでもややざらつく
 
しかし
この詩の草稿を書くのに
ことさら不便なわけでもない
一本の鉛筆の値段の開きは
およそ18倍
それはそのまま
この社会の経済格差なのでは
ないだろうか
 
そういえば
全国で初めて
百円ショップがオープンしたのは
1985年3月
86年には派遣法が施行され
89年には消費税が導入されている
やがてバブルが崩壊し
賃金の上がらない時代が続く
 
新自由主義といえば
聞こえはいいが
自由なのは庶民ではなく
ほんの一部の資本家たちだけだ
今では
100円ショップで
食料から衣料品まで
売られている
 
自己責任ばかりが強調され
政治責任が放棄されていく社会
僕らは
新自由主義の荒野に
抛り出されたのではないだろうか
貧富の極端な二極化―――
僕らはどこへ
向かっているのだろう
 

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